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6章
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しおりを挟むダレンシア王家の血を引く………?
そんなはずはない。だって血を引くのはジョエル様お一人のはず。マリアンヌ様はダニエル様の庶子であるとはっきり言っていた。
「ダニエル。養子をとったのは聞いたがそこのマリアンヌがダレンシア王家の血を引くとは聞いていなかった。本当なのか?」
ジュリアン陛下はダニエル様に真偽を問う。しかし話を振られたダニエル様は顔色一つ変えない。
「事実にございます陛下。マリアンヌの母は我が妻ジョセリンの侍女として共にダレンシアより迎え入れました、ダレンシア王家の血筋の者にございます。」
広間のざわめきは最高潮に達する。
皆口に出さないまでも庶子だと思っていたマリアンヌ様が王家の血筋だと知り、今まで中立を保っていた貴族までもがこの状況には慌てているようだ。いくらマーヴェル家の養女とはいえ並の出自では王家と縁を結ぶのは難しいが、隣国の王家の血を引くとなれば話は違う。ガーランド王家にとってマリアンヌ様は無視できない存在になった。
「それが真の話だとしてもユリシスとマリアンヌ嬢は婚約などしていない。リンシア王女、大変申し訳ないがこの品々は受け取る訳にはいかないね。」
ジュリアン陛下の言葉に周りの貴族から声が上がる。
「いやしかし、これを期にダレンシアとの絆が強固なものになるのは喜ばしい事ですぞ!」
「そうですぞ陛下!マリアンヌ様はダレンシア王家の血を引くだけでなく、我がガーランドの三大公爵マーヴェル家のご令嬢でもある。ユリシス殿下のお相手としてこれ以上の方はおりますまい!」
広間のあちこちからめでたい!めでたい!と声が上がって行く。
舞台の上の主役のような気分なのだろう。マリアンヌ様の頬は紅潮し、その表情は興奮を隠せていない。
「陛下、皆様もこんなに喜んでいるではありませんか。我がダレンシア王家も初めてこの話を聞いた時は驚きましたが、今では報せてくれた従兄弟に感謝をしているのです。ねぇジョエル殿?」
名前を呼ばれ、ジョエル様は無言で礼をとる。
やっぱりこの人が関わっていたのね………。
「聞けば同じく公爵家出身の婚約者候補の方もおられるようですが………その方にはマリアンヌを正妃に迎えたのち同じく妃の称号を与え、側妃としてお迎えになられれば良いこと。ユリシス殿下もお心を決めかねていらっしゃるとの事でしたから、私、後押しをさせていただきに参りましたのよ。これで両国の絆は更に強固なものとなり、ガーランド国内の均衡も保たれる。素晴らしいご縁ですわ。」
リンシア王女はにっこりと微笑んだ。
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