俺得?仕事中に転移した世界はゲームの魔法使えるし?アイテムボックスあるし?何この世界、俺得なんですが!

くまの香

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閑話 ある騎士の証言③ 騎士C

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 <騎士C    嘆きの奮闘記>

 予想通りというべきか、街道の手前あたりで野営となった。あのスピードでここまでこれただけでも奇跡といえる。


 俺は第三小隊の小隊長を務めるマクセルだ。

 第一小隊が死の森からお迎えした稀人さま101名を連れて、不平不満の垂れ流しを聞き流しつつ街道が見える草原までなんとか無事に到着することができた。

 そして、そこで野営する事となった。
 もちろん野営など想定外だったのでテントや食料の準備なない。水もない。

 というか、隊員は常に何かあった場合に備えて最低限の水と食料は各自が携帯している。

 30名の隊員から集めたそれらを稀人さまらにお渡ししたが、お口に合わなかったようで捨てられてしまった!貴重な食料を!
 水は捨てられる前に取り戻した。

 野営をする時も騒いでいた。


「こんなとこで寝られない」
「え? 地べた? 地べたで寝るの?」
「テントとかないの?」
「虫いるし、無理」
「もうヤダよお、帰りたい」
「何でこんなとこに連れて来られないといけないのよ!」
「帰りたい……うえええん」
「ビルに戻ろうよー! ちゃんとした床で寝たいのよ!」


 が、疲れていたのかすぐに眠り始めた。
 はぁ、助かった。出来れば永遠に眠ってくれ……。



 翌朝、陽が登っても稀人さまはまだぐっすり寝ていた。

 昨日早駆けで街に戻った騎馬と共に馬車が街道に到着するのが見えた。樽に入った水とパンを荷馬車で運んできてくれたようだ。
 稀人さまの口に会うかはわからんが。


 ポロポロと起き始めた稀人さまにパンと水を渡していく。
 昨日は水も携帯食もほとんど口にしていなかったので、よほど腹が空いていたのか、今朝は文句も言わずに黙々と食べていた。
 いや、文句を言いつつ食べていた。


「パン硬くない?」
「これ大丈夫なの? なんか汚くない?」
「かったー! 噛めないんだけど、これぇ」
「歯が折れたら責任とってくれるわよね」
「ねえ、水、臭いよね? 木臭い?」
「樽臭い? お腹壊しそう」


 食うな!
 飲むなよ!
 心の中で怒鳴った。


 稀人さまの朝食が終わり、小用も済ませてもらってから出発となった。

 ここからは街道沿いに進んで行くのでだいぶ危険は減る。
街道沿いは獣も魔物も少ないのだ。




 本当に大変だった。獣や魔物の相手ではなく、稀人さまを連れての移動が。

 街が見えてきた時はマジで涙が出てきたぜ。門に神殿関係の方々の姿が見えたときは、隊員同士肩を寄せ合って喜んだ。

 中隊長は稀人らを神殿関係者へとさっさと引き渡した。それはもう、さっさと!


「今回稀人さまのお迎えに参加した第一から第三小隊は、今から3日間の休暇を言い渡す。十分に身体を休めるように」

「おおお!」


 中隊長、ありがとうございます。いやとにかく一度詰め所に戻って俺は寝るぜ。


「おい、マクセル。今夜呑みに行こうぜ」


 同じ隊のゼノスに声をかけられた。
 そうだな。呑まないとやってらんねぇぜ。いや、まず、寝よう。
 あとでな、と声をかけて分かれた。


 部屋でぐっすりと寝て目が覚めたら夕刻だった。
 ゼノスの部屋に行き声をかけたら、ゼノスも今起きたところだった。他にも数名に声をかけて呑みに行った。



「いや、今回は大変だったなー」

「暴れそうになるコイツを何度押さえたことか」

「お前だって拳を握りしめていただろ」


 エールをグビグビと飲みながら話を続けた。


「稀人さまってあんななんかー」

「もっと神聖なんを想像してたぜ」

「だなぁいや、もう二度と関わりたくねぇ」

「中隊長と神官さまが話してるとこをちこっと聞いたんだがな。100人も現れたのはここくらいだそうだ」

「ほぉ」

「いや、あんなんがそこら中に現れたら大変だべ」

「100人はねえが、あちこちにそこそこ現れてるみてえだぞ」

「あんなんがあちこちにかー」


 ゼノスが遠い目になった。


「それがそうでもないみたいでよ」

「ん?そうでもないって? 何がだ?」

「あんな酷くないらしい」

「そうなんか?」

「黒髪黒目は同じだが、もっと普通に常識はあるらしいぞ。あと、何かすごいスキル持ちとかもいたみたいだ」

「すごいスキル持ち? 言い伝いの稀人さまみたいだな」

「ところが、ここの稀人さまはスキル持ちが見当たらんかったらしい」

「あ? 百人もいて?」

「ひとりも?」

「まあ、神殿の鑑定人がサラッと見ただけだからハッキリとしたもんじゃないらしいがな」

「百人もいて、スキルなしとはな」

「で、あの非常識?」

「神殿 大変だろうな」

「神殿長 大丈夫かな」


 みんなで遠い目になった。
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