俺得?仕事中に転移した世界はゲームの魔法使えるし?アイテムボックスあるし?何この世界、俺得なんですが!

くまの香

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ステータスの確認

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 -------(鹿野香 視点)-------

 俺、中松さん、大森さんの3人で市場で昼食を食べたあと、いったん宿へと戻ることにした。

 だがその前に、大通りに出たところでもう一度ギルドに寄った。
 中松さんと大森さんに冒険者登録をしてもらった。

 妊婦さんである中松さんが冒険者として街の外に出てモンスターと戦う事はないと思う。
 だが、身分証としてプレートを作っておいた方が良いと判断して登録をしてもらった。
 まぁ、街中でできる軽い依頼とかあったら受けられるしな。


 さて、宿に戻ったが夕飯までにはまだ間があるので、俺の部屋にいったん集まってもらい話をすることにした。
 狭いが2人はベッドに腰掛けてもらい俺は壁を背に床に腰を下ろした。

 話は昨日騎士達が迎えに来なかったら会社の資料庫で中松さんと話そうと思っていたアレコレだ。


「ふたりともステータスを出してもらえるか?」

「ん? はーい。ステータス!」
「ステータスー」


 他人からは見えないがふたりの前にはそれぞれステータスが出ているのだろう。


「中松さん、職業に騎士が出てると言ってたよな?」

「うん、出てるー」

「中松さん、もしかして旦那さんに付き合ってパソコンでゲームとかした事ない?それで、そのキャラって騎士じゃなかった?」

「んん? ああああ! やったあ。というかやらされたー。ダンナがいつもゲームばっかやってるんで、ブーブー文句言ったら、お前もやれ、楽しいぞって、無理やりやらされたー」


 あははは…。『ネトゲ夫婦問題あるある』だな。

 奥さんに怒られないために奥さんをゲームに引き込むとか、よく聞く話だ。
 最近だと旦那がスマホゲームに夢中になるので奥さんにスマホをカチ割られた、なんて話もよく聞く。

 ふ、夫婦って大変だな。


「ふむ、それが騎士だった?」

「ん~~たぶん? ダンナがゲームの中で他の人とばかり遊んであたし置いてけぼりでつまんなかったからー、すぐやめちゃったんだよねー。だからあんまり覚えてなーい」

「じゃあ、ほぼ初心者か」

「うん。ガッツリ初心者ー」


 俺と中松さんの話をジッと聞いていた大森さんが何かを納得したようだった。


「私、やった事ないから職業ブランクなんですね」

「うん、そうだと思う。俺もゲームやってた時のが画面に出てるんだよね。だからそうかなって」


 ふ~~むふ~~むと頷きながらふたりはステータスを触っているようだ。


「中松さん、フレンドボタンの下のマップは開ける?」

「わわ! 開ける~~。これ、どこのマップー?」

「たぶんここだよ。指で摘むとマップの大きさが変えられるよ」

「おおおお! 黄色い点がいっぱい!」


 大森さんは俺と中松さんの顔を交互に見て首を傾げながら自分の前に出ているステータスをクリクリしていた。


「大森さんはマップボタン無い?」

「ないです~~  。見つからない~~  。おふたりが何を操作してるのかわからないです~~」



 この世界に飛ばされた人全員がステータス画面は見ることができた。
 フレンドボタンもあり、登録も可能だった。フレンドとのメールや念話もできた。

 だが、ゲーム経験者(キャラ持ち)は、職業やスキルがありマップも見れる。
 おそらくアイテムボックスもゲーム経験者のみだろう。


「中松さん、黄色い点はね、たぶん街の中の人間。青い点が自分で、黄色は他の人、そんで恐らく赤い点は敵。モンスターとか盗賊とかヤバイやつね。マップを開いて近くに赤い点があったらすぐに逃げるようにしてね」

「なるほどー」


「死霊の森に一泊した時にさぁ、夜中に赤い点がすごかったよ」


 ほんの2日前の事を思い出しながら苦笑いで話したら、ふたりともションボリとしてしまった。


「置いていってゴメンナサイーー」

「置き去りにしちゃってすみません~~うう…」

「あはは、いいのいいの。そんなつもりで言ったんじゃないよ」


 中松さんに向き直ってステータスの確認を続けた。


「中松さん、その下にアイテムボタンあるでしょ? 押してみて 。何か入ってる?」

「おおお!入ってる入ってる。初心者騎士の防具とー、初心者騎士 の剣とー、初心者の回復薬が5個入ってる!」


 初心者の回復薬?

 俺のゲームとは名称が違うな。俺のは……と自分のステータスからアイテムボックスを覗くと、初級体力回復薬とあった。


『初心者の回復薬』と『初級体力回復薬』。ゲームによって名称が違うと言う事は効果も異なるかもしれないな。
 確認したいが無駄に使うのは得策でない。効果の確認はそのうち、って事で。


「そんだけ? ゲームで持ってたアイテムってそれだけだった?」

「よく覚えてないー。すぐやらなくなっっちゃったから。防具や剣は持ってたというか、ゲームキャラが着てたやつじゃないかな」


「んじゃ、防具触って"装備"っ言ってみて?」


 中松さんが「装備」と言ったあと一瞬白く光って眩しさに目を閉じた。
 瞼を開けたらそこには重そうな騎士の格好をした中松さんがベッドに窮屈そうに座っていた。

 さらにベッド上に立ち上がり「装備!」と言った直後、光った中松さんの右手にはガッシリとした剣が握られていた。


「中松さん、格好いいです~~」


 大森さんがキラキラした目で剣を持った騎士装備の中松さんを見上げていた。
 たしかに、美人な中松さんに女騎士の格好はすごく似合っていた。

 腕を上げたり降ろしたり足を開いたり腰をひねったりと、中松さんが騎士装備の自分を確認していた。


「何でかサイズがぴったりだよ。でもこれ、こんなジャストフィットじゃ、お腹大きくなったら絶対無理っぽいな」


 中松さんはまだ目立たないお腹あたりをさすっていた。


「アイテムボックスから出して着る事もできるよ。“装備"って言えば一瞬で着れるから、いざという時はそっちのが楽だよ。あと、資料庫で試したんだけど、"装備"で着ると何故かサイズぴったりだけどボックスから出すとフリーサイズ になるから他人への貸し出しも可能だと思う。たぶんだけどね」

「なるほどー」

「元の服はアイテムボックスに入ってるはずだから。戻したい時はそっちの服を触って"装備"って言えばOK」


 元の服に戻った中松さんが ボックスから騎士防具を出して大森さんに渡していた。


「着てみて着てみて」

「着方がわかりません~~」


 だよなー。平和な日本にいて、鎧甲冑なんて着ることないもんね。
 特に女性は普通に着方はわからないよ。いや、俺もだけどね。

 アイテムボックスが使える俺や中松さんは簡単に着脱可能だけど、
大森さんとか他の人は大変だ。自力で着ないといけないからな。
 アイテムボックスチート様様だな。

 それから昨日市場で買ったパンとリンゴを出して中松さんに渡した。
 アイテムボックスへの収納の仕方を説明した。

 中松さんはリンゴに触れながら「収納」というと目の前からリンゴが消えた。
 アイテム一覧にリンゴが出たようだ。今度はパンに触って収納していた。


「アイテム一覧にパンとリンゴが入りましたよ」

「うん、それ、そのまま持っていてね」

「いいな~~、ふたりとも」


 大森さんが俺たちを見て羨ましそうにしていた。


「次に、その下のボタンで"パーティ"を試そうか」


 俺がそう言うとすぐに俺のステータスに『ナカマツアツコからパーティの申請がありました  受けますか?  Yes  /  No  』という文字がでたので、Yesを選んだ。
 さすが中松さん、理解と行動が早くて助かるなぁ。


 俺のステータスのパーティ画面のメンバー一覧に中松さんの名前が載った。

 中松さんは大森さんの方を向いてパーティの申請をしているようだ。
 大森さんのステータスにはフレンドボタンしかないと言っていたので、パーティ申請は無理じゃないかな。

 そう思っていたら、俺のステータスのパーティ一覧に、オオモリユイの名前が加わった。


「フレンドボタンの下にパーティボタンが出ました~~」


 大森さんが嬉しそうに叫んだ。


「へえ、ゲーム未経験者でもパーティは組めるんだ?」

「パーティ組んだらマップの青い点が3つになったよ、かのさん!」


 俺もマップを開いてみると、ホントだ、中心に青い点が3つあった。と言っても同じ青ではなく、濃い青ひとつと若干薄い青がふたつ。
 大森さんのステータスには相変わらずマップは表示されていないそうだ。


「パーティは出来ればこのまま組んでおこうか。何かあっても青い点で仲間の場所がわかるし、パーティ念話が出来るしね。」

「はーい」

「あと、中松さん。マップは普段からずっとオンにしておいてね。赤いやつ来たらすぐ避難できるように。こんな世界だからいつ何があるかわからないからな」


「鹿野さん、気になってたんですけどかのさんの名前が「カオ」になってるんですけど…」

「あぁ、俺のゲームキャラの名前がカオだったから、ステータスもカオになってるんだよ」


 すると大森さんが不思議そうな顔になった。


「え?じゃ、何んで中松さんはナカマツアツコなんですか?」

「ああ、中松さん、ゲームで本名使ってたでしょー?」

「うん? ああ! だって最初のキャラ作成のとき面倒だったから本名にしたかも」

「あはは、だからだね」

「そうなんだ」

「そういえば鹿野さんは職業なんなんですか?」


 中松さんと大森さんのふたりが俺を見る。
 俺はニヤリと笑った。


「俺はね。ふっふっふ。ウィザード。魔法使いだ!」

「え!鹿野さん、ウィザード?」

「え? え? 本当ですか? じゃあ魔法とか使えるんですか?」


 ふたりが目をキラキラさせながらグイグイと迫って来た。
 部屋で話し込んでいるうちに、ちょうど日が暮れはじめていた。部屋が薄暗くなってきたので俺はあの魔法を使った。


「ハルックライト」


 部屋がパァっと明るくなった。(注:ゲームの魔法はただのライトである)

「「おおおお~」」

「固定!」


 ライトを部屋の天井に固定した。ふたりは口を開いて天井を見上げていた。

 そろそろお腹もすいてきたのでとりあえず食事に行こうとふたりを誘った。
一階の食堂に降りる前にふたりの部屋に寄り、天井にライトを設置した。


「寝る前に声かけてくれれば、ホテルライトにするから」

「ホテルライト?」

「薄暗いオレンジのですかね」

「そう、それ」

「うわ~ありがたい。昨日は夜中真っ暗でちょっと怖かった」


 なんて話しながら宿の食堂に夕飯を食べに行き、その後また俺の部屋に三人で戻った。


 もう少し話をする事になった。
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