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156話 基本はここから②
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久しぶりに洞窟拠点の大食堂で夕飯をたべる。勿論、マルクとキヨカも一緒だ。翔太や憲鷹も同じテーブルにいる。
真琴は同年代の女の子達と一緒に食べている。
知らなかったのだが、クラブの立ち上げはギルドへの報告が義務付けられているそうだ。
俺の知らない事がどんどんと増えていく。
茨城に来た当初は、タウ家、カン家、ミレ家、俺とマルクの少数だった。
そこにアネ家が、それから村の人達や避難民が徐々に洞窟拠点の仲間になり、今はゆうご達を北海道から避難させてきた。
洞窟拠点は大人数になった。洞窟が巨大なおかげか狭さは感じない。
だが、筑波山の麓を回ったところに病院拠点が、そこから筑波山までのトンネル、そのトンネルの先の筑波山にも拠点が完成した。
そう、タウさんから「第2、第2.5拠点が完成しました」と念話が入ったのだ。
まだカンさんが細かい部分の整備をしているそうだ。
明日は昼に完成祝賀会が予定されている。
明日10時に病院からトンネルで筑波山へ。
そして何と、筑波山内を道が掘られてこちらの洞窟へと続いているそうだ。その最後の壁を打ち壊して、こちらの洞窟で祝賀会が行われる。
病院でも祝賀会は開催される。
こっちの洞窟拠点でも、色々と催し物を考えているようだ。サークルやクラブで出し物もあるらしい。
そんなに大勢が集まれる場所があるのかと気になり、ギルドに聞いてみた。
「乾杯は正午に大広場でやります。が、明日は朝からあちこちで色々やってるみたいです」
「あちこち?」
「はい、洞窟内の中央通路に面した部屋がほぼ貸し出されています。そこで催されます。案内図コレです。どうぞ、お持ちください。あ、通路内に屋台も立ちますよ」
俺は渡されたA4の紙に印刷された観光マップのような物を見た。通路に並んだ部屋にはクラブ名などが並んでいる。
んー?何だ?どう言う事だ?
「ええと、そうですね、大学祭みたいなノリでしょうか?各部屋で自分達の作品を展示したり販売したり。ミニ講義とか講演もありますね」
『トマトの美味しい調理方』
『洞窟で簡単栽培』
『生活魔法を体験しませんか』
『エントから安全に実を貰う裏技』
『映画上映会 R60』
「えっ、何? R60って!」
思わず口に出てしまった。
「ああ、60歳未満はご遠慮ください、ですね」
「いや、それはわかってるけど、どんな映画だよ!60以上しか見れないって」
「上映会ではないですけど、R75を掲げている催し物もありますよ」
「いや、それ、普通にシルバーオンリーでいいのでは」
「カオさん……、この洞窟でシルバー扱いは命を狙われますよw それとR75は年齢ではなくてレベルですね」
ええっ、レベルぅ?ゲームのレベルかよ。いや、75未満お断りって皆さんどんだけレベル上げてるんだよ!
俺のウィズ……まだ59になったばかりなのに。
俺はその紙を見ながら面白そうなイベントをチェックした。マルクとキヨカはどうするんだろう。
いつも一緒にいてくれるけど、明日は興味があるとこを回りたいだろうなぁ。
マルクは歳の近い子供らで回るだろうし、一応後で聞いてみよう。夕食後に出ていたふたりが、部屋に戻ってきたので明日の話を切り出した。
「僕、父さんと一緒に回りたいけど、生活魔法クラブで出演する時間があるの。父さん、観に来てくれる? 僕が水と風を出すんだ。洗濯実演なの。水の噴射で汚れを落として風で乾かして、生活魔法の便利さを伝えるの」
「あの、実は私も缶詰クラブで調理の実演がありまして、それ以外はカオさんとマルク君とご一緒したいです」
キヨカまでいつの間にクラブに!入ってないのは俺だけか?
ちょっと悲しかったが、3人の時間を擦り合わせた。合わない部分は近くのカフェ(クラブ)で時間を潰して待ち合わせだ。
それにしてもカフェ系は多いな。……お化け屋敷?洞窟でお化け屋敷とは怖すぎるだろう。
キヨカは大学時代を思い出して楽しいですねと言っていたが、俺にはその思い出はなかった。
大学祭は勿論あったのだが、俺は事情により一度も参加しなかったのだ。
何であの頃はあんなに生き急いでいたのだろう。子供時代、学生時代、会社員時代、どれもがむしゃらに脇目も振らずに通り抜けた記憶しかない。
そう言えば、中学時代にも文化祭はあった。練習はした。イベントの準備もした。うん、確かに楽しかった。ただ、本番は日曜日だったので不参加だったんだよな。そうだ、高校の時もだ。
それで友人とも拗れたんだ、当日参加出来ないくせにとか何とか。
でも俺にとっては文化祭も体育祭も本番前日まででも参加出来て楽しかった。それは楽しかったんだ。俺もちゃんと思い出はあった。
明日は楽しみだ。マルクにとっては初だろうから、マルクには楽しんで欲しい。
俺もマルクやキヨカと新しい思い出を作ろう。
ところで俺は、『ファンタジックBONSAI』がとても、気になっている。ここ、絶対に周ろう。
真琴は同年代の女の子達と一緒に食べている。
知らなかったのだが、クラブの立ち上げはギルドへの報告が義務付けられているそうだ。
俺の知らない事がどんどんと増えていく。
茨城に来た当初は、タウ家、カン家、ミレ家、俺とマルクの少数だった。
そこにアネ家が、それから村の人達や避難民が徐々に洞窟拠点の仲間になり、今はゆうご達を北海道から避難させてきた。
洞窟拠点は大人数になった。洞窟が巨大なおかげか狭さは感じない。
だが、筑波山の麓を回ったところに病院拠点が、そこから筑波山までのトンネル、そのトンネルの先の筑波山にも拠点が完成した。
そう、タウさんから「第2、第2.5拠点が完成しました」と念話が入ったのだ。
まだカンさんが細かい部分の整備をしているそうだ。
明日は昼に完成祝賀会が予定されている。
明日10時に病院からトンネルで筑波山へ。
そして何と、筑波山内を道が掘られてこちらの洞窟へと続いているそうだ。その最後の壁を打ち壊して、こちらの洞窟で祝賀会が行われる。
病院でも祝賀会は開催される。
こっちの洞窟拠点でも、色々と催し物を考えているようだ。サークルやクラブで出し物もあるらしい。
そんなに大勢が集まれる場所があるのかと気になり、ギルドに聞いてみた。
「乾杯は正午に大広場でやります。が、明日は朝からあちこちで色々やってるみたいです」
「あちこち?」
「はい、洞窟内の中央通路に面した部屋がほぼ貸し出されています。そこで催されます。案内図コレです。どうぞ、お持ちください。あ、通路内に屋台も立ちますよ」
俺は渡されたA4の紙に印刷された観光マップのような物を見た。通路に並んだ部屋にはクラブ名などが並んでいる。
んー?何だ?どう言う事だ?
「ええと、そうですね、大学祭みたいなノリでしょうか?各部屋で自分達の作品を展示したり販売したり。ミニ講義とか講演もありますね」
『トマトの美味しい調理方』
『洞窟で簡単栽培』
『生活魔法を体験しませんか』
『エントから安全に実を貰う裏技』
『映画上映会 R60』
「えっ、何? R60って!」
思わず口に出てしまった。
「ああ、60歳未満はご遠慮ください、ですね」
「いや、それはわかってるけど、どんな映画だよ!60以上しか見れないって」
「上映会ではないですけど、R75を掲げている催し物もありますよ」
「いや、それ、普通にシルバーオンリーでいいのでは」
「カオさん……、この洞窟でシルバー扱いは命を狙われますよw それとR75は年齢ではなくてレベルですね」
ええっ、レベルぅ?ゲームのレベルかよ。いや、75未満お断りって皆さんどんだけレベル上げてるんだよ!
俺のウィズ……まだ59になったばかりなのに。
俺はその紙を見ながら面白そうなイベントをチェックした。マルクとキヨカはどうするんだろう。
いつも一緒にいてくれるけど、明日は興味があるとこを回りたいだろうなぁ。
マルクは歳の近い子供らで回るだろうし、一応後で聞いてみよう。夕食後に出ていたふたりが、部屋に戻ってきたので明日の話を切り出した。
「僕、父さんと一緒に回りたいけど、生活魔法クラブで出演する時間があるの。父さん、観に来てくれる? 僕が水と風を出すんだ。洗濯実演なの。水の噴射で汚れを落として風で乾かして、生活魔法の便利さを伝えるの」
「あの、実は私も缶詰クラブで調理の実演がありまして、それ以外はカオさんとマルク君とご一緒したいです」
キヨカまでいつの間にクラブに!入ってないのは俺だけか?
ちょっと悲しかったが、3人の時間を擦り合わせた。合わない部分は近くのカフェ(クラブ)で時間を潰して待ち合わせだ。
それにしてもカフェ系は多いな。……お化け屋敷?洞窟でお化け屋敷とは怖すぎるだろう。
キヨカは大学時代を思い出して楽しいですねと言っていたが、俺にはその思い出はなかった。
大学祭は勿論あったのだが、俺は事情により一度も参加しなかったのだ。
何であの頃はあんなに生き急いでいたのだろう。子供時代、学生時代、会社員時代、どれもがむしゃらに脇目も振らずに通り抜けた記憶しかない。
そう言えば、中学時代にも文化祭はあった。練習はした。イベントの準備もした。うん、確かに楽しかった。ただ、本番は日曜日だったので不参加だったんだよな。そうだ、高校の時もだ。
それで友人とも拗れたんだ、当日参加出来ないくせにとか何とか。
でも俺にとっては文化祭も体育祭も本番前日まででも参加出来て楽しかった。それは楽しかったんだ。俺もちゃんと思い出はあった。
明日は楽しみだ。マルクにとっては初だろうから、マルクには楽しんで欲しい。
俺もマルクやキヨカと新しい思い出を作ろう。
ところで俺は、『ファンタジックBONSAI』がとても、気になっている。ここ、絶対に周ろう。
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