俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

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206話 増える敵③

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「つまり、襲って来たのってゾンビじゃないか?」


 俺たちはちょっと前に、タウさんちの親戚の庭で腐った人間の死体を見た。
 タウさんの奥さんの妹さんは、その腐った人間に襲われたと。

 腐った人間、世間一般で言うと『ゾンビ』?
 わかりやすいから今後は『ゾンビ』と呼ぶ事にした。そもそもゾンビの定義なんて知らんし、ゾンビ犬やゾンビパンダが居るんだから、ゾンビ人間が居ても不思議じゃない。

 ミレさん達もそこに気がついたようだ。


「ゾンビか……、確かに居ても不思議じゃない」

「災害から死体は放置でしたからね」

「でもシェルター内には死体は無い、無かったはずでしょう?」

「絶対に無いとは言えないですよね。シェルター内で何らかで亡くなった方の遺体を保存していた」

「その遺体が動き出して周りを襲いだした?」


「あの時、マップを見れば確認出来たのに失敗した」


 ミレさんが悔しそうに舌打ちした。


「飛んでみましょう、脱衣室がまだ無事だといいのですが。カオるん以外にブックマークがある方はいますか?」


 皆、首を横に振った。


「では申し訳ないですが、カオるん、一緒に飛んでいただけますか?メンバーはミレさん、私、カオるんの3人で。まずはマップの確認のみですので。ミレさん、飛んだ場所でブックマークをお願いします」


 俺はタウさん、ミレさん、自分に『ブレスド』系魔法かけた。


 タウさんの指示でテレポート、タウさんとミレさんがブックマークをした。マップを開くと、結構な数の赤い点があった。


「これは……」

「ヤバイな、これ、シェルター内かなり汚染されてる」


 マップに映し出されたこの階(地下がどこまで下に延びているのか知らないが)、少なくともこのフロアは赤い点に占領されていた。


「黄色点が何箇所かに集まっているのは、ゾンビから逃げて隠れている人だろうか」

「目視で確認をしたいですね。本当に人間のゾンビなのか」


 タウさんは赤い点が本当に『ゾンビ(人)』かを確認したいのだろう。
 俺も確認したい。『ゾンビ』がどの系統のゾンビなのか。
『歩く系』か、『走る系』かでもこちらの対応は変わってくる。さらに『化け物にバージョンアップする系』だったら最悪だ。

 頼む、どうか歩く系であってくれ。両手を前に突き出してうーうー言いながらゆっくり歩くタイプでお願いしたい。


「脱衣室の前には居ないようだ、ここから近い赤い点まで行ってみるか?」

「ミレさん、こっちが行かなくても、廊下で叫べば来るんじゃないか?」

「そうですね。大声で呼び寄せて姿を確認後に即帰還しましょう」


 脱衣室から出て、シャワールームの外へ出る。廊下の見えるところには居ない。


「おぉーい! おーい!」


 ミレさんがデカイ声で叫んだ。
 ………………、廊下の向こう角から、ゆっくりとゾンビが現れた。


 黒ずんだ顔色、落ち窪んだ目、半開きの口。
 良かった。両手を前に突き出してゆっくり進んでくる。タウさんがスマホで動画を撮っていた。


「戻りましょう」


 俺達は函館へと戻った。


 ホワイトボードの横に、上からスクリーンが降りて来た。タウさんがさっき撮った映像が映し出されていた。しかもアップで撮影されていた。


「ゾンビですね」
「ゾンビだ」
「本当にゾンビなんだ」

「マップには赤い点でした。恐らく、いえ、確実に死後の遺体だと思います」

「カオるん、ゾンビにスリープって有効でしたっけ?」


 カンさんから聞かれてゲームを思い出した。が、ゲームでゾンビ相手にスリープは使った事がなかった。
 いつもファイアをぶっ放してたからなぁ。


「タウさん、ファイアでよくない?」


 アネさんも同じ事を思ったようだ。


「死んでいるとは言え、実際に歩いてくる人間、元人間ですがそれに向かってファイアが打てるかどうか、それとシェルター内で火器を使用した場合、どうなるのか」

「ああ、なるほど。スプリンクラーが作動するな。それと中途半端に火を消されると煙が発生しそうだな」

「カオるん!火力上げて瞬時に消し炭に出来ないの?」


 アネさん、無茶言わないで。ファイアストームくらいなら消し炭に出来るけど、レベル1程度のファイアはどうだろなー。


「スリープが効くとして、寝かせて置いても結局は処理しますよね?」

「けれどまずは黄色い点、生き残りの救出ですね」

「サンちゃん。念話通じない仲間は多分……生き残ってないって事だと思う」

「ええ、せっかくのリアルステータス持ちでしたが恐らく……」

「そう言えばさ、アイテムボックス持ちが死ぬとアイテムどうなるんだろうな」

「持ったままアンデッドか……」


 ボソリと呟いたタウさんの言葉が聞こえたようで、サンちゃんとフジが大きく息を吐き出した。
 まぁ、元は成金の財産だから。


「覚悟は出来てます。俺らはいつでも覚悟は出来てる……」

「マップの黄色点はかなり少なかった。シェルターに残っていた自衛隊のほとんどは、恐らく……」

「はい」


 アイテムボックスよりも仲間の死を悲しんでいたのか。当たり前だよな。ちょっと恥ずかしくなった。

 キツいな。仲間の死。
 こんな大災害でも俺はずっと『死』を他人事のように思ってた。もしも俺の仲間が……と、考えたら、物凄く辛い。

 

 俺たちは茨城の洞窟拠点へと全員で移動した。
 サンバとフジにも同行をしてもらう。北海道の駐屯地へは詳細の連絡をしてもらった。


 洞窟は急遽非常態勢に入った。病院拠点もだ。移動の難しい患者は病院の地下へ移した。勿論ドクターや看護師も一緒だ。
 拠点内のあちこちのテレビモニターで今回の情報を流している。

 今までも、植物の魔物化、動物魔物化についても情報の共有は行っていた。
 今回もわかる限りのゾンビ情報を流した。ネットを得意とする者達は、電波が繋がる県内へ注意の書き込みを積極的に行ってくれた。また情報収集も行ってくれている。

 暫くは地上(外)への外出は禁止となった。

『地上へ出る必要のある方は必ずギルドをお通しください。現在、外出の可能はランクB以上の2パーティ以上合同のみとなっております。……繰り返します。現在発生しておりますゾンビの脅威におきまして……』


 洞窟内を放送が流れている。個室のテレビモニターにもだ。
 俺らは各自、家族の安否を確認後に本部へ集合となっている。俺はマルクとキヨカとはいつも一緒なので安否確認は不要だ。

 しかし雪姉さんや、春ちゃん、政治叔父さん一家の確認をした。洞窟のアナウンスを聞いてそれぞれ家族が居室へと集まっていたので確認がしやすかった。
 政治叔父さんとは函館拠点から一緒に戻ったのだが、直ぐに養老のクラブハウスへと行ってしまった。


 最近忙しかったから気が付かなかったが、ツッコミどころが多すぎるぞ!

 養老のクラブハウスって何だよ!いつそんなん出来たんだよ!
 あと、ハロワが完全に『ギルド』呼びで定着してるぞ?
 そんで『ランクB』って何?いつからランク出来た?パーティランク?異世界でのパーティランク、あれと同じか?

 うちの『ハケン』は、ランク何なん?『ハケン』として活動してないから最低ランクっぽいな。
 てか、最低ランクは何なんだろ?

 パーティ合同って、パーティ合同って、いつから皆さんパーティで活動してるの?
 あー……、なんか時代において行かれてる。


「大丈夫だよ? 父さん?」


 俺はよっぽど不安な顔をしていたのだろう。マルクに慰められた。
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