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997年目

07 謁見 ※チヒロ

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 ※※※ チヒロ ※※※



やられた!

王子を名で呼ぶなんて、《高い位》を押し付けられたのと同じだよね?

いつまでも王宮で過ごせと言われて何故《王宮で》なのか疑問だったけど。
《高い位》まで押し付けられた?!それってどういうことなのよ。

王宮でどんな生活をしろというの?

ずっと王族や、あの偉そうな人達(多分貴族)と付き合えってこと?
ムリムリ、私は一般市民なのよ?この国でいう平民(多分)よ?

衣食住は手に入れたけど、これじゃ自由がない!

どうしよう。

何故なのだ。
そりゃ、私は『空の子』とかいう者かもしれない。
でも私は《役立たず》なのだ。はっきり宣言した。
うまく言えたはずだ。

――《なんだ、ただの子どもだったのか》――

ってほっといてくれてもいいんじゃないの?


「――いい加減、諦めなよ。
君が『空の子』である以上、どこにも行かせるわけにはいかないんだから」

―――おう?

私は隣を歩く声の主を見た。
謁見が終わり、今は南の宮への帰り道だ。

「第3王子殿下」

「レオン」

「殿下」

「君も頑固だね。レオンだって」

「………様子が……」

さっきまでと違う、と続けようとして遮られた。

「これが本当」

今まで外面だったのかーーーっ!

がっくり肩が落ちた。

騙された。森の祭壇で出会ってから謁見まで。
喋り方も物腰もさすが王子様だわ、と密かに感激していたのに夢だったらしい。

隣には15歳という年相応の……


―――あれ?


ふと違和感を覚えた。

……似てない。国王様たちと。顔も雰囲気も。

なんなら髪の色も違う。
国王様たちは濃淡や色味の差はあれど、全員が茶色系だった。

瞳の色まではさすがに遠くて分からなかったけど、国王様たちには……
何というか、一体感があった。

目の前の第3王子殿下は、見事な金髪に琥珀色の瞳だ。

それに上の王子殿下お二人はどちらも30歳くらいだった。
そういえば王妃様はいなかったから、わからないけれど。

第3王子殿下は年の離れた末っ子で、殿下だけが母親似なんだろうか。

……それとも。殿下だけ、お母さんが違う?

「何?」

不機嫌そうに言われ、まじまじと殿下の顔を見ていたことに気付く。

「いえ別に」

どうでもいいことだわ。
王家のプライベートなことだし。

考えていたのと違うことを言おうとして
私はつい本音を言ってしまった。

「台無しだな、と思いまして」

「………君もいい性格してるよね」

前を歩いていた護衛の人に睨まれたのは気のせいじゃないと思う。


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