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999年目
11 王太子妃来訪 ※エリサ
しおりを挟む※※※ エリサ ※※※
「王太子妃様?」
部屋に入ってこられた方を見て、チヒロ様が声を上げた。
王太子妃様は悪戯っぽくウインクされた。
「ふふ、貴女が来ないから私が押しかけてしまったの。
いいかしら?セバス。
できたら予定通り、チヒロとお茶会をここでしたいのだけれど」
「お久しぶりでございます、王太子妃様。
授業はここまでに致しますので、どうぞお茶会を。私は下がりますので」
セバス様が一礼をして去ろうとしたのを、王太子妃様は引き留めた。
「あら、いいのよセバス。
できたら貴方には加わって欲しいの。人数は多い方が楽しいから」
セバス様は驚き、部屋の中を見回し戸惑っている。
「いえ、お誘いいただき光栄ですが。
しかし、ご婦人方のお茶会に、私が参加させていただくわけには……」
「そんなことないわ。是非、参加して頂戴。絶対強いはずよ。ねえチヒロ」
「え?」
チヒロ様はこちらを向かれ、私と顔を見合わせた。
とてもいい笑顔の王太子妃様。
私は嫌な予感を覚える。(多分、チヒロ様も)
―――ま、まさか王太子妃様?
「ふふふ、どうしてもやりたくて持ってきてしまったの。ほら」
嫌な予感、あたったーーー!!
王太子妃様の侍女がうやうやしく持っていた包みを王太子妃様にお渡しする。
中身は貴族の似顔絵カードだ!
チヒロ様もそれを見て頬がヒクヒクしている。
「お、王太子妃様?それは……さすがにここでやるのは。
セバス先生もいらっしゃいますし……」
一方、王太子妃様はあくまで笑顔だ。
「あら、大丈夫よ。だからセバスには《一緒に》やってもらうんですもの。
――ねえ、断らないわよね、セバス?」
王太子妃様の目は捕食者のそれだ。
セバス様が困惑されている。
「は?あの、それは?」
「ふふ、貴方のことだもの。チヒロがどうやってこの国の全貴族を覚えたのか。
知りたいのでしょう?違って?」
「ええ、それはまあ……」
「それを今から教えてあげるわ。はい、これ」
王太子妃様はセバス様に貴族の似顔絵カードを渡した。
わあ、完全にセバス様を引き込んで共犯にする気だ。
後ろでは侍女たちが急いでテーブルと椅子など、お茶会のためのセッティングしている。
その前で、セバス様は王太子妃様から渡された貴族の似顔絵カードに目を通されていた。
「ほう。これがリューク公夫人シャナイア様が描かれたと言う似顔絵ですか。
貴族のフルネーム入りですね。
それにしても、ずいぶん特徴を誇張して描かれている……。
おや?こちらは?
……こちらはお名前と地位、役職が描かれている?
なるほど、貴族お一人につき二枚で一組みなのですね。
しかし、これを一体どう使うのですか?」
―――ブツブツと一人呟きながら一枚一枚、真剣に見ておられる。
そうこうするうちにお茶会のセッティングが完了した。
王太子妃様は
「突然来たからお菓子の準備が大変でしょう。お茶はあとでいいわ」と言って
南の宮の侍女を下がらせ、ご自分の侍女とご護衛にも外で待つように言った。
つまり完全に人払いされたのだ。
そして真っ先に椅子に座られた。
「……さて。すぐに遊んでも良いのだけれど。
――先ずは話をしましょうか。
座ってくれる?チヒロ。エリサ。そして貴方もよ、セバス」
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