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1000年目
81 始まり 空の独白10 ※空
しおりを挟む※※※ 空 ※※※
997年目。
その日、私は《王家の森》に《祭壇》を現した。
どうするつもりがあったわけではない。
現在の王には王子が3人いるが王女はいない。
つまり儀式も成立しないのだ。
それでも《祭壇》を現したのは、私の気持ちの問題だった。
『空』の皆で地上を作ることにしてから今まで。
《祭壇》を使って実にたくさんの生命を地上に降ろした。
だが、もう二度と《祭壇》を地上に現すことはない。
最後の『空』である私がいなくなるのだから。
《祭壇》を現したのは、私のための儀式だった。
しかし私の感傷など知らず、何と王子が儀式を始めることにしたのには笑うしかなかった。
怒りは全く湧いてこなかった。
私が思ってもいなかった発想をされたのが、ただ可笑しかった。
今、思えば《彼女》が一緒にいたことで、心が穏やかだったせいかもしれない。
3人の王子だけを参道に《入れる》ようにし、見守ることにした。
そう。それで終わるはずだったのだ。
「母上に幸せを」
第3王子が祈るまでは。
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