亡国の姫と財閥令嬢

Szak

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閑話 転生した侍と姫の日常

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ここはとある国の城

 「おい、この子供は双子だぞ!」

 「なんてことだ、王族の念願であるお子が双子なんて、なんという悪夢だ!」

この世界では双子は忌み児とされている。特に姿形がそっくりな一卵性の双子は禁忌とされており産まれたら必ず処分しなければならないという口伝に則り処分されて来たのだが、さすがに王族のお子を勝手に処分することは出来ないため一卵性の双子であったことを王族に報告することになる。

 「なに?それは真の話なのか!」

 「はい、確かな話しでございます。わたくしもこの眼で見て確認しております故間違いないかと!」

 「そうか、それで双子は両方とも女の子めのこなのか?」

 「はい、残念ながら2児とも女の子めのこで御座います!」

なぜ、王は性別を確認したかというと双子が男の子おのこの場合処分する必要が無いのだが女の子めのこの場合どちらかを処分するか両方とも処分することになるからである。王族で話し合いを行う事となり赤子は一時的に保護されるのだがいつまで生かされるかはわからないという状況であった。

 都が双子の忌み児で大騒ぎしている頃、期を同じくしてこの国の最果ての地に2人の赤子が生まれていた。1人は武の心得のある家に産まれ、もう1人は地主の家で産まれていたとされている。

 「ついに我が家にも男の子おのこが産まれたぞ!よくぞ産んでくれたおまえは安心して休め!」

武の心得がある家には今まで娘しか産まれてこずにいたので男児が産まれたことを大いに喜んでいたのだが男児を産んだ母親はというと出産による衰弱が激しく今にも逝きそうなくらいだったため休ませるように指示をした旦那だったのだが男児が産まれて数日ののち轢死体で発見されたという。旦那を亡くした嫁と子供たちはというと何もなかったかのように過ごしている。そんな中地主の所で女の子めのこが産まれたという話が伝わって来たのだが特に関心を持つこともなく過ごしていた。

 「おい、この村で子供が2人産まれたというのは本当か?」

 「さあ?おらぁ知られねぇだ。」

 「何事ですか?」

 「この村で子供が産まれたと聞いたので確かめに来た!」

 「これは、これはお役人様、確かに我が家で子供が産まれましたがそれが何か問題でもおありなのでしょうか?」

この地をまとめている地主が自分の家で出産したことを明かしたが役人は訝し気な表情をしている。ちなみにこの地主は自分の家以外で子供が産まれたという話しは全く知らないということだった。地主が知らないも当然で武を修めるための修行場も兼ねて村はずれの場所に拠点を構えていたのだからなおさら気付かない。地主曰く、この村は近隣と言ってもかなり離れた場所に住んで居るため先ず顔を合わすことがないということだった。

 「すまぬが一番近い宿はどこにある?」

 「一番近い宿ですと馬で行って2刻ほどですかね」

 「そんなに遠いのか?」

 「いえ、これでも近い方ですよ!一番遠い宿ですと馬で行っても2年くらいかかりますので!」

 「なぜ、そんなに遠いんだ?」

 「お役人様が今立っている所から見える景色一帯が地主うちの土地なんですよ!」

地主から話しを聞いた役人は何をふざけたことを言ってるんだと思っているが口には出さずにいた。もし、それが本当なら都よりも広大な土地の権力者だということになるからである。実はこの地主は都以外のすべての土地の持ち主である。

 「産まれたばかりの娘を放ってあの人はどこで油を売ってるんだか?」

 「そうそう、名前を付けないといけないわね、どんな名前にしようかしら?」

地主の妻がそんな暢気なことを言ってる頃村はずれで旦那を失った妻と子供たちは武の稽古に励んでいた。この家族、実は父親より母親の方が鬼教官であった。

 「子供が産まれたばかりなんだから無理しないで母上」

 「そういう心配はしなくっていいから稽古を続けなさい!」

 「姉上の言うとおり無理しないでください母上。母上まで失ったら誰がこの子を教育するんですか?わたしには無理ですよ!」

ちなみにこの家族が住んでる村の外れは治外法権のような状態であり地主もそれを認めているため大きなトラブルも起きることは無かった。武の家族が住む場所は村の外れではあるが村ではないということである。

そして、十数年の時間ときが流れ子供たちも元服や裳着と言った成人の儀式を済ませており父や母の後を継げるよう修行に励んでいた。そんな中治外法権化しているこの土地に突然役人がやって来た。

 「あのう、どちら様でしょうか?」

 「我らは都の役人だ!この土地のことについて聞きたいことがある!」

 「はぁ?家の土地がなにか?ここは地主様から許可を得てる場所ですし、先祖代々から受け継いだ土地に都の役人ごときが何を聞きたいというのですか?」

 「き、貴様、何様のつもりだ!貴様らは我らより格下のくせにその態度はなんだ!!」

 「あら、都のお役人は知らないんでしたか?ここは我らの土地で我ら武の民の規則が適用されるということを!今、ここであなたの首を刎ねても何ら罪に問われないということを!地主様も認めていることですので都の役人ごときが何を言っても無駄なことですよ」

都の役人は村はずれに住む住人のことを何も調べずに来ているため、ここが治外法権化していることも都が出来る前からあることも知らなかったのである。そもそも、ここに都の役人が来ること自体がおかしいことなのだが役人は我関せずとばかりに来ていた。

 「ところで態々約定を無視してまでこの土地に来た理由は何なのかしら?上が変わったから約定が消えたとか言ったら都滅ぼすけどいいわよね、そういう約定だったはずだしね!」

 「き、貴様はなにを言ってるいる!」

 「何もわかってないのね。役人がこの土地に来た時点で約定違反で私たちは都に対して侵略行為にたいする報復が出来るって言ってるのよ!」

 この都と武の民との約定は地主立ち合いの下永続的に結ばれたものであり、内容は「都は如何なる理由があろうと武を修めた家族および武の一族の住む土地に立ち入ってはならん事を永続的に約束するものであり、これを都側が破ったり、武の一族の土地に立ち入った場合武の民は都の侵略行為に対し都を消滅させる報復を出来るものとする。」というものである。これは地主、武の一族、都の3者間で約定の紙を保管するものであり如何なる理由があってもこれを破棄することは出来ないとされている。

 「あちゃ~、すでにやらかした後でしたか!」

 「あら、地主さん珍しいわねここに来るなんて」

 「いえね、都の役人が宿を紹介してくれって言ってたのが気になりまして後を追いかけて来たんですよ!」

 「あら、そうなの地主さんも大変ね。それでこの馬鹿が来たのだけれど都に報復してもかまわないかしら?」

 「奥方様、それは少しお待ちいただいてもよろしいですかな?役人がここに来たのが約定違反なのはわかりますが、今都を消されると困った事になりかねないので少しお待ちください!」

 「そうね、地主さんにはいつもお世話になってるから、まず役人コレをどうにかしてからにしましょうか?(都の役人に指を指しながら)」

武の一族の現長である鳴雷なるかみは地主と役人の処分について話していたのだが、都の役人はなぜ自分が処罰されなければならないと大きな声で喚き始めていた。地主がなぜ都への報復を躊躇ったかというと都に地主の娘が居たからであり特に都が消えても構わないというのが地主の本音である。そもそも、ここの土地はある人たちのために用意された土地であり、人がどうこう出来る土地ではないとされている。

 「それにしても都はどういうつもりなのかしらね?こんな無知な木っ端役人をここに送り込んで来るなんて、都はそんなに消えたいのかしら?」

 「それは私も計りかねているんですよ、鳴雷なるかみ殿」

実はこの鳴雷なるかみなる人物は異世界から転生してきた姫で前世の記憶は無いものの前世で身に付けていたものは武術にしろ所作や作法にしても転生するときにパッシブスキルとして身に付けて産まれている。そして、もう1人の転生者である侍も転生するときに同じようにパッシブスキルとして身に付いており、今世ではまだ赤子である。ちなみにこの処分される木っ端役人の息子がのちに女神否定派の国を作った初代国王である。


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