亡国の姫と財閥令嬢

Szak

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無人島の秘密とアルテミス邸

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 如月きさらから聞き出した無人島に屋敷を建てることになったアルテミスだが、この島には3つの造船所と屋敷が存在する。その屋敷の管理者すべて違いお互いが干渉しないという暗黙のルールが存在しているのだが、ここにアルテミスの屋敷と造船所が出来るとなると話が変わって来る。ただ、救いなのはアルテミスの造船所は地下に造るということである。

 「アルテミスお嬢様、本当にここにお屋敷をお建てになるつもりなんですか?」

 「ええ、そうよ!むしろ、ここじゃないとダメなのよ!理由は言えないけど、ここじゃないといろいろと問題が起きるのよ。」

 「問題ですか?」

 「そう、問題が起きるのよ!この島は3家がそれぞれ監視の意味で屋敷を置いてるから下手な所に屋敷を建てることが出来ない。でも、私はこの高台にしか屋敷を建てる事を許されていないから3家とは問題が起きることが無いのよ!それに造船所も地下に造ることしか出来ないけど、それが逆に問題を解決することになったのよ!」

 「どういうことなのでしょうかお嬢様、わたくしには理解出来ないのですが?なぜ、ここにお屋敷を建てることが問題の解決になるのかを教えていただけますでしょうか?」

 「いくら信濃あなたでも教えることは出来ないわ!これは家同士の力関係が絡んでる話だから理解してもらえる?」

 アルテミスは心の中で(あの方については誰にも話すことが出来ないし、話してはいけない!高台に屋敷を建てるのは昔からの習わしであると共にあの方との約束でもある)言えない理由を考えていたのだが、それを見て心配した侍女はアルテミスに声をかけるのだが気付いてもらえなかった。アルテミスはふと我に返り何事も無かったかのように侍女に指示を出し始める。

 「そこのあなた達、ちょっと調べて欲しい事があるのだけどお願い出来るかしら?」

 「はい、どのようなことをお調べすればよろしいですか?」

 「3家について調べて特に四瑞家は念入りにお願いね!」

 「信濃はいるかしら?」

 「はい、アルテミスお嬢様が私や長良を通さずに侍女に指示を出すのは珍しいですね。なにか気になることでも?」

 「今、指示を出した侍女2人の様子を監視してくれるかしら?もちろん、あなたの仕事をしながらでかまわないわ!」

 (アルテミスお嬢様は何をお考えなのかわかりませんが侍女として護衛としても言いつけは守らないといけませんね・・・・・)

 「はい、かしこまりました!」


 信濃はなぜアルテミスが四瑞家を気にしているのかわからずにいるものの護衛対象でもあるアルテミスからの指示は信濃にとって最優先事項である。アルテミスが自ら指示を出した侍女に対して四瑞財閥ではなく四瑞の情報を念入りに調べるように言った者を監視せよという意図がイマイチ掴めていない信濃だが四瑞家がなにかしら動いているということは理解出来ていた。


 「ねぇ、さっきのアルテミス様に言われたことどう思う?」

 「さあ?私は言われた事を調べるだけだしそれ以上に詮索する気も起きないわ!」

 「でも、どうやって四瑞家に探りを入れるのよ?私たちレベルじゃ相手にもされないんじゃない?」

 「私は蒼井家と水無月家の方を調べるから四瑞家はあなたに任すわね!」

 「そ、そんなぁ~、一番大変なところを私に任さないでよ!」

 「何を言ってるの仕事よ!(四瑞家より蒼井家と水無月家の方が調べるの大変なのにましてや両家の確執みたいなものもあるから私が受けてるという事に気付いていないなんてね・・・・)」

 アルテミスから直接指示をを受けた侍女2人は仕事の内容について話していたのだが、緑色の髪で怠惰なクセが抜け切らない侍女の名をナイラナという。そして、もう1人の銀に近い白髪で侍女というよりは令嬢という雰囲気を醸しだてるのがセイラ・アルビオン・鞍馬という名前である。セイラ・A・鞍馬は名前が長いため普段はセイラと呼ばれる事が多い!信濃は会話を聞いて1つ不思議に思ったのは3家というのは水神、四瑞、如月のことをを指すのだがセイラは敢えて蒼井家と水無月家という名前を出しており、ナイラナはそのことにすら気付いていない!

 (セイラが隠語を知っていたのは意外だったわ!確かあの娘、ここの出身ではなく外から来たと聞いてなのだけど?)

 信濃が困惑するなか監視をしている人物がいた、長良である。彼女はメイド長でありがならメイドの管理をすることはなく反乱分子と成りえる者の監視をしている事が多いのだが今回は少し違うようだった。

 「そうなりましたか?(信濃が監視役というのは予想外でしたが、まあ大丈夫でしょう!私も如月の任務もありますから精々利用させてもらいましょうかね!)」

 「あなたは、そこで何をしておられるんですか長良メイド長?」

 長良は声のした方に身体を向けると、そこに立っていたのは居るはずのない人物だったことに驚きと困惑を隠せないでいた。それも、そのはずである普段研究施設から出て来ることの無い人物なのだから。長良に声をかけたのは水無月家の長女にして親姉妹にまで研究馬鹿とまで言われている水無月木葉時雨である。

 水無月木葉このは
 とある理由から表向きは時雨が亡くなったとされているため時雨が自分の名前を使えないがために名乗っている名前である。時雨は文乃と皐月の姉であり、水無月家きっての研究者でもある。時雨が生きていることを知っている家は水無月家以外にはないとされている。

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