playball~この手で掴む~

雲母なぎ

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目が覚めた先は…

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俺は君が好きだよ。ずっとずっと愛してる。
だから前を向いていて

…………


ここはどこ?え?何で真っ白なの?
どこを見渡しても真っ白な世界だった。
「怖い…怖いよ雄ちゃん…助けて…」
私はそこにうずくまった
(…乙葉…)
(…乙葉…)
ふと、顔を覆っていた手を見たら赤く染まっていた
「きゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
涙が止まらなかった
うまく言葉に出来なくなって息もしづらかった
「ぁ、ぁぁ…」
苦しい苦しいもうやだやめて
(大丈夫…大丈夫だよ)
言葉とともに包みこまれた。
(まだ、思い出しちゃいけない。思い出さなくていい)
「ぁ、ぁぁ…」
声に出せなくて、力が入らず強く抱き締めることもできなくて。
でもこの人は私の大事な人それだけはわかる
その人は私の目を手で覆って
(大丈夫だよ)
私は静かに眠った



(起きて……起きるんだ乙葉…)
誰かに呼ばれている気がして必死に重いまぶたを起こした。
まぶしい……
見たことのない白い天井があった
ここは………
うまく体が動かせず首を少しずつ動かして辺りを見渡した
ピッピッピッピ…と一定のリズムを保っている機械が見えた
テレビとかで見たことあるなぁ……
それに私の顔には酸素マスクがつけてあった
あぁ…私病院にいるのか
丁度ドアが開くのが聞こえた
(お母さん)そう言おうとしたら上手く声が出なかった。
「乙葉……乙葉!!!!!」
お母さんが泣きながら私の手を握った
「いま先生呼ぶからね!」
そう言って出て行ってしまった
私何で病院にいるんだろ…確か…思い出せないや。
それからしばらくして先生と看護師さんとお母さんがきた
「乙葉さん聞こえる?」
私頷いた
「喋れるかい?」
「ぁぁ…」
上手く声が出ない…
「大丈夫だよすぐ出せるようになるからね」
「何でここにいるかわかる?」
首をゆっくり横にふった
お母さんは私の手を握っていてくれた
「大丈夫よ乙葉お母さんが守るから」
ごめんなさい………


それから数日後すっかり起きれる状態になった
だか、声も出すことが出来ず病院にいる理由もわからなかった。
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