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2章 誰が為の蛇
13 焼き菓子の行方
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「ふむ」
ルシオラはよく磨かれた眼鏡を色々な角度から見ながら思案する。傷がどれだけあるか確認しているのだろうか。眼鏡をかけていない彼女にはよく分からない仕草だ。満足したのか、彼は眼鏡をかけ直すとふと思い出したように机の上に置かれた分厚いノートを閉じた。
そのノート――日記のようだ――を書いていた彼の元を訪れたのはソフィアだ。
例の「手」に関して実際に目撃し、触れた彼の見解を聞こうという魂胆である。普段この軟禁部屋に通っているシャルロットはいない。どこかへ出かけているらしい。
「これは俺の主観だが」
ひと月ほど前の記憶を呼び覚ます。
ラエティティア王国にある街リトレ。その地に残る祭祀遺跡。突如として現れ、彼の身体を崖の下へと突き落とした黒い手。
思い出しても気味が悪いものだ。しかし、そんなことで臆するルシオラではない。彼には傷つける分、傷つけられる覚悟が確かにあったのだ。今この時、遠くを見つめているかのような翡翠色の瞳を見てソフィアはそう感じた。ある意味強い人物だ。
「あれは人為的な……はっきり言ってしまえばイミタシアの能力によるものではないかと考えている。以前見たあのクロウとかいう男から発せられた瘴気。あれに近いものを感じた」
その答えは、ソフィアがクローロン村でレガリアから聞いたものとほぼ一致した。初めて手の噂を聞いたとき、セラフィの話も聞いたが彼の考察の中にも「イミタシア」が出てきていた。彼はあり得ないと言っていたが、兄であるルシオラは可能性を切り捨てていないようだ。
ソフィアとしても切り捨てられずにいる。しかし、できることなら否定はしたいというのが本音である。
「瘴気を操るイミタシアなんていないはずよ……」
「言っておくがな、あの手は俺だけを明確に狙っていたぞ。隣のセラフィには見向きもしなかった。あれは俺に恨みを抱く人間の感情によって動かされているのではないか? 精霊なら無差別に殺しにかかるだろう。これがお前の知るイミタシアや、知らぬ間に新たに生まれたイミタシアの仕業であったとしても――気を付けておくんだな」
怜悧な視線がソフィアに突き刺さる。
ルシオラにとっては得体の知れない彼女も犯人候補の一人なのだろうか。
ため息をつき、否定だけはしておく。
「少なくとも私は違うわ。貴方が何をしていたかなんて詳しく知ったのは最近だから。怒りの感情は確かにあるわ。でも殺したいと願うほどじゃない」
「そうだな。俺とお前はほぼ無関係と言っても過言ではない」
そう言って彼は微笑する。
先ほどよりは幾ばくか柔和になった顔は、弟や妹との確かな血のつながりを感じさせた。
***
ルシオラの部屋から出て、廊下を歩く。
クローロン村から引き上げてかれこれ七日ほどが経とうとしていた。ソフィア自身もあちこち出向き――もちろん付き添いとは名ばかりの監視役もついていたが――聞き込みも行ったのだが、芳しい情報は何一つない。
いくら思考したって新しい何かが見えるわけではなかった。ラルカやヴェレーノの目撃情報も一切入ってこない。
内心焦りが募る。こんな時にレガリアの力が借りられれば。
そんなことを考え、慌てて首を横に振った。
彼ばかりに頼っていられない。自分で道を切り開かねばならない。
「あれ、ソフィア?」
名前を呼ばれて思考の海から這い出た。
目の前に立っていたのはソフィアと同い年の青年だ。セピア色の横だけ長い髪、蒼穹を閉じ込めたかのような美しい瞳、穏やかな微笑。彼女が森で庇護していた存在、レイだ。彼は現在シャルロットと共にシアルワ城に滞在し、フェリクスや従者たちの仕事を手伝いながらルシオラとやりとりをしているらしい。楽しいらしく、瞳に宿る光は楽しげなものだ。
彼の手にはバスケットがさげられているが、白い布がかかっており中身は見えない。
「レイ」
「何か考え事? でも歩きながらは危ないよ。今もぶつかりそうになってたし」
レイが見た方を同じように見れば、ソフィアの斜め前には赤銅色のラインが入った甲冑がある。彼女との距離感は拳一つ分くらいだ。彼が呼び止めてくれなかったらぶつかって倒してしまっていたかもしれない。弁償、という言葉が脳裏を過ぎる。
ピク、と眉を動かしたソフィアにレイは笑う。
「昔から考え事している時は周りが見えてなかったよね」
「……ぶつかってないのだからいいじゃないの。それよりもレイ、それは?」
話を逸らすためにもレイのバスケットを指さす。
彼はそれを軽く持ち上げ、かかっていた布を捲った。
中に入っていたのは焼き菓子の数々だった。可愛らしく飾り付けされたクッキー、マフィン、メレンゲ菓子など……ふわりと甘い香りが漂ってくる。
彼は楽しそうに顔を綻ばせる。
「美味しそうね」
「城の調理場を借りて作ったんだ。試作も兼ねて沢山作り過ぎちゃったから、色々配り回っているところ。ソフィアもどうぞ」
すっと差し出されたバスケットの中からクッキーを一枚手に取る。星形に型抜きされた中心にくぼみをいれ、そこに赤く色づけた飴を流し込んでいるものだ。陽光にきらきらと反射して見た目にも可愛らしい。
一口食べれば、ほんのりと甘くて美味しい。
二人で森にいた頃はこの優しい味を知る者は自分しかいなかった。ソフィア自身がレイを森に縛り付けていたせいだ。
彼が森という鳥籠から解放され、こうして特技を周りに披露できている事実に僅かな寂寥と嬉しさを感じつつ微笑む。
「相変わらず上手ね。いつか店でも出してみたらどうかしら」
「お店、かぁ。それも楽しそう」
バスケットに布を戻しつつ彼は続ける。
「カフェみたいにして、たまに料理教室とか開いてもいいかもしれない。教えるの、思ってた以上に楽しかったし」
そこでソフィアは首を傾げる。
「誰かに教えていたの?」
「あ」
しまった、というレイの顔を見逃さない。一瞬にして消された焦りは作り笑いに取って代わる。
「シャルロットに、ね。彼女もお兄さんにお菓子を作ったりしてみたいって――」
「あ、レイここにいた! 捜したんだよ? ソフィアも!」
丁度良いタイミングで現れたのはそのシャルロットだった。楽しそうに瞳を輝かせている。
彼女の手には鉢植え。黄色の花が咲いている。どこかに運ぶつもりのようだった。
ソフィアはにっこりと微笑むと、彼女に尋ねる。
「あら、シャルロット。素敵な花ね。それはどうしたの?」
「ルシオラお兄ちゃんの部屋に飾ろうと思って。さっきまで庭園でベアトリクス様に色々教えて貰いながら選んだんだ。お花ってね、色によっても花言葉が違うものがあるらしいよ。この花には『つつましい幸せ』って意味があるんだって。今度図書館に行って調べてみるのも面白そう」
「その前は何を?」
「え? うーん、レイがお菓子を作るって言っていたから、それに合うお茶が欲しいと思って街までお買い物に行ってたよ」
そこまで聞いてソフィアは確信した。
レイは嘘をついている。明らかに何かを隠したがっている。
彼の隠し事――暴行を受け続け、それを黙っていたこと――には彼女は散々悩まされたのだ。あれは彼女の決断が招いたことであったが、レイが早く教えてくれれば別の道もあったかもしれない。
今度は隠し事などさせないぞとじとりと視線を向ければ、彼はそっぽを向いて冷や汗をかいている。例の隠し事があまりにも完璧だった分、今回は下手であることが浮き彫りになっていた。
「レイ?」
「うぅ、ごめんソフィア。これ以上は言うなって言われているから無理! それじゃあシャルロット、俺は先にルシオラさんの所に行っているから!」
空気に耐えかねたようにレイは足早に輪を抜けた。
ソフィアが追いかけるよりも前にシャルロットが彼女の前に立ちはだかる。長い白金の髪がふわりと揺れ、陽光を弾いて綺麗に煌めいた。
「ええと、ごめんね? 私には心当たりがあるんだけど、答えはソフィア自身が見つけた方が良いと思うの。その方がきっと良い方向に繋がるよ」
彼女もレイの隠し事に関して知っているようだ。
しかし、前回と違いソフィアに話さないということはレイが自身を傷つける隠し事をしているというわけではないようだ。それは彼女の表情からも窺える。
それに関しては安堵するべきだが、無関係というわけでもないらしい。
「本当にごめんね。でもソフィアなら大丈夫だから!」
誤魔化すようにそう言われ、彼女も足早に去って行く。
一人残されたソフィアはその場にぽつん、と立ち尽くすしかなかった。
ルシオラはよく磨かれた眼鏡を色々な角度から見ながら思案する。傷がどれだけあるか確認しているのだろうか。眼鏡をかけていない彼女にはよく分からない仕草だ。満足したのか、彼は眼鏡をかけ直すとふと思い出したように机の上に置かれた分厚いノートを閉じた。
そのノート――日記のようだ――を書いていた彼の元を訪れたのはソフィアだ。
例の「手」に関して実際に目撃し、触れた彼の見解を聞こうという魂胆である。普段この軟禁部屋に通っているシャルロットはいない。どこかへ出かけているらしい。
「これは俺の主観だが」
ひと月ほど前の記憶を呼び覚ます。
ラエティティア王国にある街リトレ。その地に残る祭祀遺跡。突如として現れ、彼の身体を崖の下へと突き落とした黒い手。
思い出しても気味が悪いものだ。しかし、そんなことで臆するルシオラではない。彼には傷つける分、傷つけられる覚悟が確かにあったのだ。今この時、遠くを見つめているかのような翡翠色の瞳を見てソフィアはそう感じた。ある意味強い人物だ。
「あれは人為的な……はっきり言ってしまえばイミタシアの能力によるものではないかと考えている。以前見たあのクロウとかいう男から発せられた瘴気。あれに近いものを感じた」
その答えは、ソフィアがクローロン村でレガリアから聞いたものとほぼ一致した。初めて手の噂を聞いたとき、セラフィの話も聞いたが彼の考察の中にも「イミタシア」が出てきていた。彼はあり得ないと言っていたが、兄であるルシオラは可能性を切り捨てていないようだ。
ソフィアとしても切り捨てられずにいる。しかし、できることなら否定はしたいというのが本音である。
「瘴気を操るイミタシアなんていないはずよ……」
「言っておくがな、あの手は俺だけを明確に狙っていたぞ。隣のセラフィには見向きもしなかった。あれは俺に恨みを抱く人間の感情によって動かされているのではないか? 精霊なら無差別に殺しにかかるだろう。これがお前の知るイミタシアや、知らぬ間に新たに生まれたイミタシアの仕業であったとしても――気を付けておくんだな」
怜悧な視線がソフィアに突き刺さる。
ルシオラにとっては得体の知れない彼女も犯人候補の一人なのだろうか。
ため息をつき、否定だけはしておく。
「少なくとも私は違うわ。貴方が何をしていたかなんて詳しく知ったのは最近だから。怒りの感情は確かにあるわ。でも殺したいと願うほどじゃない」
「そうだな。俺とお前はほぼ無関係と言っても過言ではない」
そう言って彼は微笑する。
先ほどよりは幾ばくか柔和になった顔は、弟や妹との確かな血のつながりを感じさせた。
***
ルシオラの部屋から出て、廊下を歩く。
クローロン村から引き上げてかれこれ七日ほどが経とうとしていた。ソフィア自身もあちこち出向き――もちろん付き添いとは名ばかりの監視役もついていたが――聞き込みも行ったのだが、芳しい情報は何一つない。
いくら思考したって新しい何かが見えるわけではなかった。ラルカやヴェレーノの目撃情報も一切入ってこない。
内心焦りが募る。こんな時にレガリアの力が借りられれば。
そんなことを考え、慌てて首を横に振った。
彼ばかりに頼っていられない。自分で道を切り開かねばならない。
「あれ、ソフィア?」
名前を呼ばれて思考の海から這い出た。
目の前に立っていたのはソフィアと同い年の青年だ。セピア色の横だけ長い髪、蒼穹を閉じ込めたかのような美しい瞳、穏やかな微笑。彼女が森で庇護していた存在、レイだ。彼は現在シャルロットと共にシアルワ城に滞在し、フェリクスや従者たちの仕事を手伝いながらルシオラとやりとりをしているらしい。楽しいらしく、瞳に宿る光は楽しげなものだ。
彼の手にはバスケットがさげられているが、白い布がかかっており中身は見えない。
「レイ」
「何か考え事? でも歩きながらは危ないよ。今もぶつかりそうになってたし」
レイが見た方を同じように見れば、ソフィアの斜め前には赤銅色のラインが入った甲冑がある。彼女との距離感は拳一つ分くらいだ。彼が呼び止めてくれなかったらぶつかって倒してしまっていたかもしれない。弁償、という言葉が脳裏を過ぎる。
ピク、と眉を動かしたソフィアにレイは笑う。
「昔から考え事している時は周りが見えてなかったよね」
「……ぶつかってないのだからいいじゃないの。それよりもレイ、それは?」
話を逸らすためにもレイのバスケットを指さす。
彼はそれを軽く持ち上げ、かかっていた布を捲った。
中に入っていたのは焼き菓子の数々だった。可愛らしく飾り付けされたクッキー、マフィン、メレンゲ菓子など……ふわりと甘い香りが漂ってくる。
彼は楽しそうに顔を綻ばせる。
「美味しそうね」
「城の調理場を借りて作ったんだ。試作も兼ねて沢山作り過ぎちゃったから、色々配り回っているところ。ソフィアもどうぞ」
すっと差し出されたバスケットの中からクッキーを一枚手に取る。星形に型抜きされた中心にくぼみをいれ、そこに赤く色づけた飴を流し込んでいるものだ。陽光にきらきらと反射して見た目にも可愛らしい。
一口食べれば、ほんのりと甘くて美味しい。
二人で森にいた頃はこの優しい味を知る者は自分しかいなかった。ソフィア自身がレイを森に縛り付けていたせいだ。
彼が森という鳥籠から解放され、こうして特技を周りに披露できている事実に僅かな寂寥と嬉しさを感じつつ微笑む。
「相変わらず上手ね。いつか店でも出してみたらどうかしら」
「お店、かぁ。それも楽しそう」
バスケットに布を戻しつつ彼は続ける。
「カフェみたいにして、たまに料理教室とか開いてもいいかもしれない。教えるの、思ってた以上に楽しかったし」
そこでソフィアは首を傾げる。
「誰かに教えていたの?」
「あ」
しまった、というレイの顔を見逃さない。一瞬にして消された焦りは作り笑いに取って代わる。
「シャルロットに、ね。彼女もお兄さんにお菓子を作ったりしてみたいって――」
「あ、レイここにいた! 捜したんだよ? ソフィアも!」
丁度良いタイミングで現れたのはそのシャルロットだった。楽しそうに瞳を輝かせている。
彼女の手には鉢植え。黄色の花が咲いている。どこかに運ぶつもりのようだった。
ソフィアはにっこりと微笑むと、彼女に尋ねる。
「あら、シャルロット。素敵な花ね。それはどうしたの?」
「ルシオラお兄ちゃんの部屋に飾ろうと思って。さっきまで庭園でベアトリクス様に色々教えて貰いながら選んだんだ。お花ってね、色によっても花言葉が違うものがあるらしいよ。この花には『つつましい幸せ』って意味があるんだって。今度図書館に行って調べてみるのも面白そう」
「その前は何を?」
「え? うーん、レイがお菓子を作るって言っていたから、それに合うお茶が欲しいと思って街までお買い物に行ってたよ」
そこまで聞いてソフィアは確信した。
レイは嘘をついている。明らかに何かを隠したがっている。
彼の隠し事――暴行を受け続け、それを黙っていたこと――には彼女は散々悩まされたのだ。あれは彼女の決断が招いたことであったが、レイが早く教えてくれれば別の道もあったかもしれない。
今度は隠し事などさせないぞとじとりと視線を向ければ、彼はそっぽを向いて冷や汗をかいている。例の隠し事があまりにも完璧だった分、今回は下手であることが浮き彫りになっていた。
「レイ?」
「うぅ、ごめんソフィア。これ以上は言うなって言われているから無理! それじゃあシャルロット、俺は先にルシオラさんの所に行っているから!」
空気に耐えかねたようにレイは足早に輪を抜けた。
ソフィアが追いかけるよりも前にシャルロットが彼女の前に立ちはだかる。長い白金の髪がふわりと揺れ、陽光を弾いて綺麗に煌めいた。
「ええと、ごめんね? 私には心当たりがあるんだけど、答えはソフィア自身が見つけた方が良いと思うの。その方がきっと良い方向に繋がるよ」
彼女もレイの隠し事に関して知っているようだ。
しかし、前回と違いソフィアに話さないということはレイが自身を傷つける隠し事をしているというわけではないようだ。それは彼女の表情からも窺える。
それに関しては安堵するべきだが、無関係というわけでもないらしい。
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