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2章 誰が為の蛇
12.5 残酷な運命
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その日は快晴。深い青色があの日見た海を彷彿とさせる。
クロウは空へと向けていた顔を前へと向けた。
隣ではオレンジ色のワンピースを身に纏ったシェキナが歩いている。ふんふんと謎めいた鼻歌が聞こえる。
「機嫌良さそうだな」
「そりゃあ、やっとみんなの役に立てるかもしれないもの」
ふうん、と返しながら思うのは「そんなことはない」というもの。シェキナは自分をイミタシアの仲間はずれだと思っているようだ。真っ先に能力を失い、代償も失い、ただの人間へと戻った彼女だが――その真価はイミタシアであることにはない。
そう思うクロウもシェキナと同じくイミタシアではなくなった存在だ。気持ちが分からないわけではない。
クロウはフェリクスとシェキナに呼ばれて城を訪れた際、ラエティティア王国の遺跡を破損させた罪と以前ソフィアを逃した罪に問われるのかとげんなりしていた。が、そうではなかったようだった。
今の彼に与えられたのは違う任務だ。
旧クローロン村に潜む謎について調べること。
先にソフィアやセラフィが訪れたらしいが、アクシデントがあったこともあり深い部分まで知ることは叶わなかったようだ。
その辺りの事情をある程度聞いた上で、ひとつ気になることがある。
「俺さ、一人だけ能力が効かない奴がいたんだよ」
「……誰?」
「セルペンス」
クロウの能力は他人の思考を読み取るというものだ。今まではその力を利用しつつ、事細かな情報をかき集め情報屋として仕事をしていたのだ。例え口で嘘を吐く人物を相手取ろうが、心の中で真実を語る人間が大半だからか評判も良く、それなりに収入もあった。
そんな彼でも太刀打ちできない人物がいた。
シェキナは予想外の名前に驚く。
「正確に言えば『心の声は聞こえるけど、なんて言っているのか理解出来ない』だな」
「なにそれ」
「俺にも分からん。あいつからだけ有益な情報を何も聞き出せなかった。まぁ常人が持つような思考を元々していなかったんだろう。それか、自分でも何を考えているのか理解出来ていないとか」
確かに声自体は聞こえるのだ。しかし、ぼそぼそとして聞き取りにくい。それほどまで自我が薄い質のようである。
ある意味野生の獣のように本能で生きているだけの存在だ。
クロウは彼の事をそう思っている。故に少しだけ苦手に思うこともあった。
「ま、お前は随分分かりやすかったけどな。能力を使うまでもない」
「へっ? な、なにそれー!!」
思案顔から一転、意地の悪い笑みを浮かべた長身に向けてシェキナは憤慨する。ポカポカと肩を叩かれるが大して痛くはない。
ははは、と棒読み気味に笑いつつクロウは目の前に見えてきた木製の門――その残骸を見下ろした。
***
かつん、かつん、と硬質な足音が響く。
膝を抱えて座り込んでいたセルペンスだが、俯かせた顔を上げる気にはならなかった。すぐ側には不気味に輝き続ける血池と揺らめく手。黒々と揺らめく手は彼の頭をゆったりと撫でていた。母が子に、兄が下の兄弟にするように穏やかな動きだった。
近づいてきた気配が彼の隣に腰を下ろす。
ぎりぎり触れない距離で、気配だけを彼に伝えていた。
「どうしたの?」
聞き覚えのある声に、セルペンスは気怠げに顔を上げた。
隣に座っていたのはシェキナだった。彼女はニコニコしながら彼を見つめている。
「なんでもないよ」
「嘘。どう見たって元気なさそうだよ」
彼女は周囲の不気味さに一切触れず、ただセルペンスだけを覗き込む。黄水晶の瞳はどこまでも澄んでいた。
彼はいつものように微笑む。一見優しそうに見えて、それでいて無感情な笑みだ。
今までは誰もがこの笑顔を「彼の優しさが表れたもの」だと疑うことはしなかった。
本当は違う。ただ貼り付けただけの仮面だ。
今回もシェキナを騙そうとして――そして失敗した。
「きっと色々あって疲れたんだよ。ここちょっと寒いし。一回家に戻って寝よう? 今日は良い天気だし、お昼寝にはもってこいだよ」
彼女の優しさは本物だ。セルペンスとは違う。
その優しさが、今は痛かった。
「……ごめんね。もう少しだけここに居させてくれないかな。――ここは落ち着く場所だから」
この世にはいない黄金蝶の彼女が初めて彼を助けてくれた場所。
血池に沈む自分を、痛みを顧みず引き上げてくれた彼女の姿は今でも瞼の裏に焼き付いて離れない。
今でもここにいれば彼女が助けてくれるような、そんな気分になるのだ。
ここまで辿り着くのに誰も助けてくれなかった。
誰もが彼に痛みの除去を求めた。
それに慣れきっているセルペンスは、無自覚にも差し伸べられる手を拒絶してしまう。傷を癒やすことには慣れていても、癒やされることには慣れていないからだ。
「……そっか」
シェキナは少し寂しげに微笑んだ。
「風邪、引かないようにね」
そう添えて彼女が立ち上がる。ぽんぽん肩を叩かれ、それから足音と気配が同時に遠ざかっていく。
そして彼は、また独りになった。
***
「うーんどうしよう」
彼のあの様子は重傷にもほどがある。ソフィアから聞いた話によると、セルペンスはケセラについて責め立てられたそうだ。
シェキナが覚えている範囲だが、彼と彼女は相思相愛と言っても良い関係だった。好意のアピールは専らケセラからが多かったが、セルペンスも彼女を大切に思っていることは端から見て明らかだったのだ。イミタシア仲間全員に聞いてもほぼ全員が是と答えるだろう。
ひとまずクロウに報告せねば、と歩調を速める。
訪れたばかりのクローロン村は、報告で聞いたとおりの不気味な村だった。旅人を装って入れて貰ったが、村人とどのように接するべきか迷ったものだ。
なるべく一目につかないように廃墟ばかりが建ち並ぶ一角を歩く。
すると、物陰に慣れ親しんだ暗い青色を見つけてシェキナはそちらへ近づいていった。
「――情報屋、なめんなよ」
低い声だ。
シェキナは足を止める。
クロウはボロボロの柱にもたれかかるようにしてへたり込んだ少年に向けてカツアゲをするかのごとく長い脚を片方壁に掛けている。足は少年の顔、その真横にめり込んでいる。強めに蹴りつけたのだろうか、ただでさえ崩れかけた壁にヒビが入っていた。
少年はガクガクと震えつつ、小さな声で何かを呟いている。
上手く聞こえない。シェキナは失われた能力――常人を越える視力と聴力――をこの時ばかりは恨めしく思いながら気付かれぬよう彼らに近づいた。
「――ここは、精霊ビエントと契約を結んでいた」
丁度良い大きさの瓦礫があったため、そこへ身を隠す。人の気配がほとんどない村だ、耳を澄ませばなんとか少年の声は聞こえた。
「精霊が選んだ人間同士を掛け合わせて、特殊な血筋を生み出そうとしていたみたいだ。兄ちゃんと俺は、その生まれだった」
少年が語った事実は、シェキナを戦慄させるものだった。
かつてクローロン村はビエントと契約を結び、滅亡を逃れていたこと。クローロンの花嫁、花婿と呼ばれる外部の者を招き入れて子をなし、特殊な血筋を残そうとしたこと。長子は精霊に捧げられていたこと。捧げられた長子は、生まれて間もないころから何かされていたこと。
少年が知っているのは赤い池に沈められる部分だけだった。
(それって)
精霊、赤と連想するものは血だ。シェキナたちイミタシアはそれを体内に入れられたせいで苦しむことになったのだ。指先が触れただけでも心が壊れてしまいそうになる代物に、全身沈められる? あり得ない、そんなことをしたら――彼女は恐怖で震えた。
忘れるはずもない。全身の血管にガラスの破片が無数に流れているかの如き激痛を。
少年は理解していないようだが、おそらく先ほど見たあの赤い池がそうなのだろう。
「……マジかよ」
流石のクロウも引きつった声でそう呟くしかない。
イミタシアは基本的に腕に点滴針を刺し、そうやって精霊の血を取り込んできた。全身直に触れたことなどない。
「居るんだろ、シェキナ? 出てこいよ。話したいことがある」
見破られていた。
ふらふらと影から現れたシェキナをクロウは一瞥する。
互いに青ざめた顔を見合わせ、そして少年を見下ろす。二人が知る青年とよく似た顔立ちの少年だ。彼は緊張に冷や汗をかきながら二人を睨みあげた。その目にはうっすら涙が浮かんでいる。
クロウはため息をつき、足を下ろした。
「言っておく。俺もこいつもお前の兄貴と同類だ。だからあいつのことを知りたい。助けたい。――いいな? 知ってることは洗いざらい吐いて貰うぞ」
正確に言えば同類だった、だ。しかし今はそんなことを突っ込んでいる場合ではない。
更に強くなった眼光二人分が少年と絡め取る。
あまりの勢いに、ごくりと少年の喉が鳴った。
クロウは空へと向けていた顔を前へと向けた。
隣ではオレンジ色のワンピースを身に纏ったシェキナが歩いている。ふんふんと謎めいた鼻歌が聞こえる。
「機嫌良さそうだな」
「そりゃあ、やっとみんなの役に立てるかもしれないもの」
ふうん、と返しながら思うのは「そんなことはない」というもの。シェキナは自分をイミタシアの仲間はずれだと思っているようだ。真っ先に能力を失い、代償も失い、ただの人間へと戻った彼女だが――その真価はイミタシアであることにはない。
そう思うクロウもシェキナと同じくイミタシアではなくなった存在だ。気持ちが分からないわけではない。
クロウはフェリクスとシェキナに呼ばれて城を訪れた際、ラエティティア王国の遺跡を破損させた罪と以前ソフィアを逃した罪に問われるのかとげんなりしていた。が、そうではなかったようだった。
今の彼に与えられたのは違う任務だ。
旧クローロン村に潜む謎について調べること。
先にソフィアやセラフィが訪れたらしいが、アクシデントがあったこともあり深い部分まで知ることは叶わなかったようだ。
その辺りの事情をある程度聞いた上で、ひとつ気になることがある。
「俺さ、一人だけ能力が効かない奴がいたんだよ」
「……誰?」
「セルペンス」
クロウの能力は他人の思考を読み取るというものだ。今まではその力を利用しつつ、事細かな情報をかき集め情報屋として仕事をしていたのだ。例え口で嘘を吐く人物を相手取ろうが、心の中で真実を語る人間が大半だからか評判も良く、それなりに収入もあった。
そんな彼でも太刀打ちできない人物がいた。
シェキナは予想外の名前に驚く。
「正確に言えば『心の声は聞こえるけど、なんて言っているのか理解出来ない』だな」
「なにそれ」
「俺にも分からん。あいつからだけ有益な情報を何も聞き出せなかった。まぁ常人が持つような思考を元々していなかったんだろう。それか、自分でも何を考えているのか理解出来ていないとか」
確かに声自体は聞こえるのだ。しかし、ぼそぼそとして聞き取りにくい。それほどまで自我が薄い質のようである。
ある意味野生の獣のように本能で生きているだけの存在だ。
クロウは彼の事をそう思っている。故に少しだけ苦手に思うこともあった。
「ま、お前は随分分かりやすかったけどな。能力を使うまでもない」
「へっ? な、なにそれー!!」
思案顔から一転、意地の悪い笑みを浮かべた長身に向けてシェキナは憤慨する。ポカポカと肩を叩かれるが大して痛くはない。
ははは、と棒読み気味に笑いつつクロウは目の前に見えてきた木製の門――その残骸を見下ろした。
***
かつん、かつん、と硬質な足音が響く。
膝を抱えて座り込んでいたセルペンスだが、俯かせた顔を上げる気にはならなかった。すぐ側には不気味に輝き続ける血池と揺らめく手。黒々と揺らめく手は彼の頭をゆったりと撫でていた。母が子に、兄が下の兄弟にするように穏やかな動きだった。
近づいてきた気配が彼の隣に腰を下ろす。
ぎりぎり触れない距離で、気配だけを彼に伝えていた。
「どうしたの?」
聞き覚えのある声に、セルペンスは気怠げに顔を上げた。
隣に座っていたのはシェキナだった。彼女はニコニコしながら彼を見つめている。
「なんでもないよ」
「嘘。どう見たって元気なさそうだよ」
彼女は周囲の不気味さに一切触れず、ただセルペンスだけを覗き込む。黄水晶の瞳はどこまでも澄んでいた。
彼はいつものように微笑む。一見優しそうに見えて、それでいて無感情な笑みだ。
今までは誰もがこの笑顔を「彼の優しさが表れたもの」だと疑うことはしなかった。
本当は違う。ただ貼り付けただけの仮面だ。
今回もシェキナを騙そうとして――そして失敗した。
「きっと色々あって疲れたんだよ。ここちょっと寒いし。一回家に戻って寝よう? 今日は良い天気だし、お昼寝にはもってこいだよ」
彼女の優しさは本物だ。セルペンスとは違う。
その優しさが、今は痛かった。
「……ごめんね。もう少しだけここに居させてくれないかな。――ここは落ち着く場所だから」
この世にはいない黄金蝶の彼女が初めて彼を助けてくれた場所。
血池に沈む自分を、痛みを顧みず引き上げてくれた彼女の姿は今でも瞼の裏に焼き付いて離れない。
今でもここにいれば彼女が助けてくれるような、そんな気分になるのだ。
ここまで辿り着くのに誰も助けてくれなかった。
誰もが彼に痛みの除去を求めた。
それに慣れきっているセルペンスは、無自覚にも差し伸べられる手を拒絶してしまう。傷を癒やすことには慣れていても、癒やされることには慣れていないからだ。
「……そっか」
シェキナは少し寂しげに微笑んだ。
「風邪、引かないようにね」
そう添えて彼女が立ち上がる。ぽんぽん肩を叩かれ、それから足音と気配が同時に遠ざかっていく。
そして彼は、また独りになった。
***
「うーんどうしよう」
彼のあの様子は重傷にもほどがある。ソフィアから聞いた話によると、セルペンスはケセラについて責め立てられたそうだ。
シェキナが覚えている範囲だが、彼と彼女は相思相愛と言っても良い関係だった。好意のアピールは専らケセラからが多かったが、セルペンスも彼女を大切に思っていることは端から見て明らかだったのだ。イミタシア仲間全員に聞いてもほぼ全員が是と答えるだろう。
ひとまずクロウに報告せねば、と歩調を速める。
訪れたばかりのクローロン村は、報告で聞いたとおりの不気味な村だった。旅人を装って入れて貰ったが、村人とどのように接するべきか迷ったものだ。
なるべく一目につかないように廃墟ばかりが建ち並ぶ一角を歩く。
すると、物陰に慣れ親しんだ暗い青色を見つけてシェキナはそちらへ近づいていった。
「――情報屋、なめんなよ」
低い声だ。
シェキナは足を止める。
クロウはボロボロの柱にもたれかかるようにしてへたり込んだ少年に向けてカツアゲをするかのごとく長い脚を片方壁に掛けている。足は少年の顔、その真横にめり込んでいる。強めに蹴りつけたのだろうか、ただでさえ崩れかけた壁にヒビが入っていた。
少年はガクガクと震えつつ、小さな声で何かを呟いている。
上手く聞こえない。シェキナは失われた能力――常人を越える視力と聴力――をこの時ばかりは恨めしく思いながら気付かれぬよう彼らに近づいた。
「――ここは、精霊ビエントと契約を結んでいた」
丁度良い大きさの瓦礫があったため、そこへ身を隠す。人の気配がほとんどない村だ、耳を澄ませばなんとか少年の声は聞こえた。
「精霊が選んだ人間同士を掛け合わせて、特殊な血筋を生み出そうとしていたみたいだ。兄ちゃんと俺は、その生まれだった」
少年が語った事実は、シェキナを戦慄させるものだった。
かつてクローロン村はビエントと契約を結び、滅亡を逃れていたこと。クローロンの花嫁、花婿と呼ばれる外部の者を招き入れて子をなし、特殊な血筋を残そうとしたこと。長子は精霊に捧げられていたこと。捧げられた長子は、生まれて間もないころから何かされていたこと。
少年が知っているのは赤い池に沈められる部分だけだった。
(それって)
精霊、赤と連想するものは血だ。シェキナたちイミタシアはそれを体内に入れられたせいで苦しむことになったのだ。指先が触れただけでも心が壊れてしまいそうになる代物に、全身沈められる? あり得ない、そんなことをしたら――彼女は恐怖で震えた。
忘れるはずもない。全身の血管にガラスの破片が無数に流れているかの如き激痛を。
少年は理解していないようだが、おそらく先ほど見たあの赤い池がそうなのだろう。
「……マジかよ」
流石のクロウも引きつった声でそう呟くしかない。
イミタシアは基本的に腕に点滴針を刺し、そうやって精霊の血を取り込んできた。全身直に触れたことなどない。
「居るんだろ、シェキナ? 出てこいよ。話したいことがある」
見破られていた。
ふらふらと影から現れたシェキナをクロウは一瞥する。
互いに青ざめた顔を見合わせ、そして少年を見下ろす。二人が知る青年とよく似た顔立ちの少年だ。彼は緊張に冷や汗をかきながら二人を睨みあげた。その目にはうっすら涙が浮かんでいる。
クロウはため息をつき、足を下ろした。
「言っておく。俺もこいつもお前の兄貴と同類だ。だからあいつのことを知りたい。助けたい。――いいな? 知ってることは洗いざらい吐いて貰うぞ」
正確に言えば同類だった、だ。しかし今はそんなことを突っ込んでいる場合ではない。
更に強くなった眼光二人分が少年と絡め取る。
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