50 / 89
2章 誰が為の蛇
21 蛇の口裂け
しおりを挟む
階段を一段下るごとに瘴気が濃くなっていくのが痛みとなって伝わってくる。ちくちくと刺されるようなそれは我慢できないほどではないが、煩わしいことに違いはない。
ずっしりと重い扉を開けたのは年長のソフィアとセラフィだ。二人の間でラルカとノアが固唾を呑んで見守る。
その部屋の印象は依然と気味が悪いまま変わらない。
違うのは黒い手の数が増えていることくらいだ。
血の池の中、瘴気の黒と血の赤を纏った青年がゆっくりと振り返った。
彼は血で濡れた顔で微笑んでいた。これまでの穏やかで優しい笑みではない。静かに、しかし確実な狂気を孕んでいる笑みだ。
悲嘆か。諦観か。絶望か。後悔か。
全てがぐちゃぐちゃになって最早笑うしかないのだろう、とソフィアは感じた。
隣でラルカとノアが息を呑む音が聞こえる。二人は瘴気を溢れさせた人間を見るのは初めてなのだ。無理もない。
「……セルペンス」
「その顔。全部知っちゃったんだね」
そう言って彼は血池に沈んでいた片手を持ち上げた。その手には濡れたナイフが握られている。
ソフィアには見覚えがあった。ありすぎるくらいあった。なぜなら、そのナイフを持つ人物と対峙したばかりなのだから。
「貴方、それは……」
「あの子は言っていたよ。俺は誰も救えないんだと。実際その通りだ。俺はあの子を助けてあげられなかった。あんなに近くにいたのに」
瞬時、悟ってしまった。
ヴェレーノはここに来たのだ。そしてセルペンスの目の前で死んだのだろう。
イミタシアが死ぬとき、遺体は残らない。狭間の者は生きた痕跡を残してはいけないという世界の理があるのだろうか。ヴェレーノがここに居たという証はセルペンスの記憶とそのナイフしか残っていないらしい。
「ねぇ。俺のことを哀れだと思う?」
「え?」
「可哀想だって。泥にまみれた現実から這い上がれない惨めな存在だって思う?」
「……」
彼は謳うようにそう問うた。
その場に居た誰もが何も答えることが出来なかった。
彼の人生が惨憺たるものであることは否定できない。しかし、そこで「可哀想だ」と言ってしまえば……彼のこれまで積み上げてきた全てを否定することにもなってしまう気がしたのだ。
「いいよ、別に答えなくても。どうせ俺は救われるべき人間じゃない。なら俺は俺がやるべき使命を果たすだけ――生まれた理由をなぞるだけ」
彼はにこにこと微笑みながら両腕を広げた。
それと同時に揺らめいていただけの腕が、その動きを変えた。
地面からどんどんと伸び、部屋をぐるぐると回り始めたのだ。まるで無数の蛇が同じ場所でとぐろを巻いているかのようだ。
「目障りな苦痛なんて忘れてしまえばいいんだよ。その方がきっと楽しく生きていられる……みんなの苦しみは、俺が食べてあげる」
「!!」
どこか楽しそうに語っていたその声音が低くなった瞬間、ソフィアはセラフィの槍を奪った。突然のことに驚く彼に内心謝りながら、槍を横に持ち長い柄を利用して三人を後ろへ追いやった。
意図を汲んだセラフィが次いで少年少女二人を部屋の外へ後退させ、残った彼女へ手を伸ばしかけたその時だった。
ソフィアの姿が黒一色に呑まれて見えなくなる。
「ソフィア!!」
あと一歩のところで間に合わなかったのだ。
彼女は瘴気が満ちるあの部屋へと閉じ込められてしまった。
助けに行こうと一歩踏み出したセラフィだが、部屋から更なる瘴気が溢れそうになっていることに気がつく。
このまま後ろの二人を放っておくことはできない。
セラフィは逡巡に表情を歪めつつ、二人を小脇に抱えて来た道を引き返すことにした。
***
ずるり、ずるりと何かが抜き取られるような気持ちの悪い感覚にソフィアは目を覚ます。
彼女は冷たい床に横たえられていた。
瘴気の波に呑まれ、頭に叩き込まれる砂嵐のような怨嗟の声に耐えきれず気絶していたのだ。それを思い出して吐き気を堪えつつ身体を起こした。
そして気がついた。
彼女の頭をあの手が撫でていたのだ。起き上がってもなお触れようとする手を振り払い、ソフィアは部屋の主を探した。
彼は錆びた鎖を弄びながら池の縁に腰掛けていた。ソフィアの覚醒に気がついた彼は無邪気に笑う。
「あ、起きた? 気分はどう?」
「最悪よ。貴方、私に何をしたの?」
「あれ……まだ足りないか」
「質問に答えて」
少し強めに問えば、彼は自慢げに目を細めた。
「ソフィアの『苦しみ』を取り除いてあげようと思って。君は俺が助けてあげたいってずっと思ってたんだ」
「どういうこと?」
セルペンスは近くで蠢く手の一つを撫でた。
「これ、触れた人間の『苦しい』といった感情を吸い出す力があるみたいでね。悲しみも、怒りも、嘆きも、後悔も……嫌な気持ちは全部忘れられる」
抜き取られたのはそれか、とソフィアは冷や汗をかく。
ソフィアが感じてきた負の感情……そのどれかが黒い手によって奪われたということか。ここに来るまでの間、彼女に多く手が寄ってきたのはそういうことなのだろう。
ふと疑問が湧き起こる。
「その吸い出された感情はどこへゆくの?」
「……」
彼は薄い胸に手を添えた。
「つまり……黒い手が吸い取った負の感情は全て貴方まで運ばれているということ? それじゃあ、貴方の心はどうなって……」
「全部慣れているから平気平気。世界から嫌な感情が全部消えればきっと優しい世界になる。誰も傷つかなくて良くなる。そのためなら俺一人が受け皿になるくらいどうってことはないよ。この村の人々の感情を食べてみても、俺はこうして何事もなく無事だよ。今はもっと規模を広げようと思っているところ」
平気なわけがない。
ソフィアは彼が先ほどよりもどこかふわふわとしている理由に察しがついた。
彼は食べ過ぎてしまったのだ。
痛みの形は人それぞれだ。無数の痛みを食べては飲み込み、食べては飲み込み……一度に沢山の料理を口に放り込んでしまえば元々食べていたものの味が分からなくなってしまうように、彼は自分自身の痛みが分からなくなってしまっている。
この小さな村でこうなっているのだから、規模を広げたら『セルペンス』という心は掻き消えてもおかしくない。今でさえ不安定になっている。
そこへ更に追い打ちをかけるように彼は謳った。
「俺はね、誰かの傷を治すとその人の感じた痛みを吸収しちゃうみたいで。シェキナと違って全く痛くないわけじゃないけど、なんかもう慣れちゃってたから特に気にしてはなかったんだけどね……あぁ、でも舌をかみ切って自殺しようとしていた人を治療したら後遺症で味覚全部なくなったのには驚いたな……」
「なんですって?」
今語られているのは、これまでずっと彼がひた隠しにしてきたイミタシアの代償だ。
他人の傷を癒やすこと。その代償は、傷の痛みを受け入れなければならないことのようだ。
彼はノアと共に医者もどきとして各地を巡っていたという。怪我や病気を能力で癒やしては感謝されるか気味悪がられていたようだが……その裏でそんなことがあったとは。ソフィアはしばらく言葉を発することが出来なかった。
彼が他人の苦しみを肩代わりしていたのはこれが初めてではなかったのだ。
おまけに味覚までないという。彼が痩せている原因だろう。
「……」
「ソフィア、苦しそう。大丈夫だよ、全部俺が食べるから」
「駄目よ……これ以上は貴方が壊れてしまう」
「とっくの昔に壊れてる。精霊のお墨付き」
「……」
何故彼の事を知ろうとしなかったのだろう。ソフィアは俯いた。
話を聞く限り、彼は自分が救われることに対して興味を持っていない。始めから諦めている。そのように生きるしかなかったのだ。
『あいつだけだったんだ。兄ちゃんのことを知りながら無謀にも干渉しようとした奴……ケセラなら兄ちゃんを救える可能性があった』
アングの言葉が蘇る。
ケセラだけだったのだ。本当の意味で彼を理解し、救おうと願っていたのは。
運命は残酷だ。
彼女の死を、彼がどう感じたのか今は想像に難くない。
ソフィアは顔を上げる。
ここで諦めるわけにはいかないのだ。
ラルカやノアの願いを、ケセラの残した願いを叶える術は残されているはずだ。そう信じるべきだ。
「セルペンス、私の目を見て」
まずは彼の自我を強く支えてやる必要があるだろう。
力業だが、彼自身の記憶を揺さぶる方法が手っ取り早いはずだ。得たばかりの石の力を利用すればそれもたやすい。
彼は素直にソフィアと視線を合わせる。
桃色に輝く瞳をじっと見つめて――そして。
「あ……」
彼は、紫紺の瞳に光を宿した。
ずっしりと重い扉を開けたのは年長のソフィアとセラフィだ。二人の間でラルカとノアが固唾を呑んで見守る。
その部屋の印象は依然と気味が悪いまま変わらない。
違うのは黒い手の数が増えていることくらいだ。
血の池の中、瘴気の黒と血の赤を纏った青年がゆっくりと振り返った。
彼は血で濡れた顔で微笑んでいた。これまでの穏やかで優しい笑みではない。静かに、しかし確実な狂気を孕んでいる笑みだ。
悲嘆か。諦観か。絶望か。後悔か。
全てがぐちゃぐちゃになって最早笑うしかないのだろう、とソフィアは感じた。
隣でラルカとノアが息を呑む音が聞こえる。二人は瘴気を溢れさせた人間を見るのは初めてなのだ。無理もない。
「……セルペンス」
「その顔。全部知っちゃったんだね」
そう言って彼は血池に沈んでいた片手を持ち上げた。その手には濡れたナイフが握られている。
ソフィアには見覚えがあった。ありすぎるくらいあった。なぜなら、そのナイフを持つ人物と対峙したばかりなのだから。
「貴方、それは……」
「あの子は言っていたよ。俺は誰も救えないんだと。実際その通りだ。俺はあの子を助けてあげられなかった。あんなに近くにいたのに」
瞬時、悟ってしまった。
ヴェレーノはここに来たのだ。そしてセルペンスの目の前で死んだのだろう。
イミタシアが死ぬとき、遺体は残らない。狭間の者は生きた痕跡を残してはいけないという世界の理があるのだろうか。ヴェレーノがここに居たという証はセルペンスの記憶とそのナイフしか残っていないらしい。
「ねぇ。俺のことを哀れだと思う?」
「え?」
「可哀想だって。泥にまみれた現実から這い上がれない惨めな存在だって思う?」
「……」
彼は謳うようにそう問うた。
その場に居た誰もが何も答えることが出来なかった。
彼の人生が惨憺たるものであることは否定できない。しかし、そこで「可哀想だ」と言ってしまえば……彼のこれまで積み上げてきた全てを否定することにもなってしまう気がしたのだ。
「いいよ、別に答えなくても。どうせ俺は救われるべき人間じゃない。なら俺は俺がやるべき使命を果たすだけ――生まれた理由をなぞるだけ」
彼はにこにこと微笑みながら両腕を広げた。
それと同時に揺らめいていただけの腕が、その動きを変えた。
地面からどんどんと伸び、部屋をぐるぐると回り始めたのだ。まるで無数の蛇が同じ場所でとぐろを巻いているかのようだ。
「目障りな苦痛なんて忘れてしまえばいいんだよ。その方がきっと楽しく生きていられる……みんなの苦しみは、俺が食べてあげる」
「!!」
どこか楽しそうに語っていたその声音が低くなった瞬間、ソフィアはセラフィの槍を奪った。突然のことに驚く彼に内心謝りながら、槍を横に持ち長い柄を利用して三人を後ろへ追いやった。
意図を汲んだセラフィが次いで少年少女二人を部屋の外へ後退させ、残った彼女へ手を伸ばしかけたその時だった。
ソフィアの姿が黒一色に呑まれて見えなくなる。
「ソフィア!!」
あと一歩のところで間に合わなかったのだ。
彼女は瘴気が満ちるあの部屋へと閉じ込められてしまった。
助けに行こうと一歩踏み出したセラフィだが、部屋から更なる瘴気が溢れそうになっていることに気がつく。
このまま後ろの二人を放っておくことはできない。
セラフィは逡巡に表情を歪めつつ、二人を小脇に抱えて来た道を引き返すことにした。
***
ずるり、ずるりと何かが抜き取られるような気持ちの悪い感覚にソフィアは目を覚ます。
彼女は冷たい床に横たえられていた。
瘴気の波に呑まれ、頭に叩き込まれる砂嵐のような怨嗟の声に耐えきれず気絶していたのだ。それを思い出して吐き気を堪えつつ身体を起こした。
そして気がついた。
彼女の頭をあの手が撫でていたのだ。起き上がってもなお触れようとする手を振り払い、ソフィアは部屋の主を探した。
彼は錆びた鎖を弄びながら池の縁に腰掛けていた。ソフィアの覚醒に気がついた彼は無邪気に笑う。
「あ、起きた? 気分はどう?」
「最悪よ。貴方、私に何をしたの?」
「あれ……まだ足りないか」
「質問に答えて」
少し強めに問えば、彼は自慢げに目を細めた。
「ソフィアの『苦しみ』を取り除いてあげようと思って。君は俺が助けてあげたいってずっと思ってたんだ」
「どういうこと?」
セルペンスは近くで蠢く手の一つを撫でた。
「これ、触れた人間の『苦しい』といった感情を吸い出す力があるみたいでね。悲しみも、怒りも、嘆きも、後悔も……嫌な気持ちは全部忘れられる」
抜き取られたのはそれか、とソフィアは冷や汗をかく。
ソフィアが感じてきた負の感情……そのどれかが黒い手によって奪われたということか。ここに来るまでの間、彼女に多く手が寄ってきたのはそういうことなのだろう。
ふと疑問が湧き起こる。
「その吸い出された感情はどこへゆくの?」
「……」
彼は薄い胸に手を添えた。
「つまり……黒い手が吸い取った負の感情は全て貴方まで運ばれているということ? それじゃあ、貴方の心はどうなって……」
「全部慣れているから平気平気。世界から嫌な感情が全部消えればきっと優しい世界になる。誰も傷つかなくて良くなる。そのためなら俺一人が受け皿になるくらいどうってことはないよ。この村の人々の感情を食べてみても、俺はこうして何事もなく無事だよ。今はもっと規模を広げようと思っているところ」
平気なわけがない。
ソフィアは彼が先ほどよりもどこかふわふわとしている理由に察しがついた。
彼は食べ過ぎてしまったのだ。
痛みの形は人それぞれだ。無数の痛みを食べては飲み込み、食べては飲み込み……一度に沢山の料理を口に放り込んでしまえば元々食べていたものの味が分からなくなってしまうように、彼は自分自身の痛みが分からなくなってしまっている。
この小さな村でこうなっているのだから、規模を広げたら『セルペンス』という心は掻き消えてもおかしくない。今でさえ不安定になっている。
そこへ更に追い打ちをかけるように彼は謳った。
「俺はね、誰かの傷を治すとその人の感じた痛みを吸収しちゃうみたいで。シェキナと違って全く痛くないわけじゃないけど、なんかもう慣れちゃってたから特に気にしてはなかったんだけどね……あぁ、でも舌をかみ切って自殺しようとしていた人を治療したら後遺症で味覚全部なくなったのには驚いたな……」
「なんですって?」
今語られているのは、これまでずっと彼がひた隠しにしてきたイミタシアの代償だ。
他人の傷を癒やすこと。その代償は、傷の痛みを受け入れなければならないことのようだ。
彼はノアと共に医者もどきとして各地を巡っていたという。怪我や病気を能力で癒やしては感謝されるか気味悪がられていたようだが……その裏でそんなことがあったとは。ソフィアはしばらく言葉を発することが出来なかった。
彼が他人の苦しみを肩代わりしていたのはこれが初めてではなかったのだ。
おまけに味覚までないという。彼が痩せている原因だろう。
「……」
「ソフィア、苦しそう。大丈夫だよ、全部俺が食べるから」
「駄目よ……これ以上は貴方が壊れてしまう」
「とっくの昔に壊れてる。精霊のお墨付き」
「……」
何故彼の事を知ろうとしなかったのだろう。ソフィアは俯いた。
話を聞く限り、彼は自分が救われることに対して興味を持っていない。始めから諦めている。そのように生きるしかなかったのだ。
『あいつだけだったんだ。兄ちゃんのことを知りながら無謀にも干渉しようとした奴……ケセラなら兄ちゃんを救える可能性があった』
アングの言葉が蘇る。
ケセラだけだったのだ。本当の意味で彼を理解し、救おうと願っていたのは。
運命は残酷だ。
彼女の死を、彼がどう感じたのか今は想像に難くない。
ソフィアは顔を上げる。
ここで諦めるわけにはいかないのだ。
ラルカやノアの願いを、ケセラの残した願いを叶える術は残されているはずだ。そう信じるべきだ。
「セルペンス、私の目を見て」
まずは彼の自我を強く支えてやる必要があるだろう。
力業だが、彼自身の記憶を揺さぶる方法が手っ取り早いはずだ。得たばかりの石の力を利用すればそれもたやすい。
彼は素直にソフィアと視線を合わせる。
桃色に輝く瞳をじっと見つめて――そして。
「あ……」
彼は、紫紺の瞳に光を宿した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
誰からも食べられずに捨てられたおからクッキーは異世界転生して肥満令嬢を幸福へ導く!
ariya
ファンタジー
誰にも食べられずゴミ箱に捨てられた「おからクッキー」は、異世界で150kgの絶望令嬢・ロザリンドと出会う。
転生チートを武器に、88kgの減量を導く!
婚約破棄され「豚令嬢」と罵られたロザリンドは、
クッキーの叱咤と分裂で空腹を乗り越え、
薔薇のように美しく咲き変わる。
舞踏会での王太子へのスカッとする一撃、
父との涙の再会、
そして最後の別れ――
「僕を食べてくれて、ありがとう」
捨てられた一枚が紡いだ、奇跡のダイエット革命!
※カクヨム・小説家になろうでも同時掲載中
※表紙イラストはAIに作成していただきました。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる