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3章 紅炎の巫覡
4 一つ目の炎
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ざく、と弾き飛ばされていた剣が地面に戻ってきた。
深々と突き刺さったそれだが、観客には一切注目されることはなかった。
「いやぁ、いいねぇいいねぇ!! アンタのその目、吸い込まれそうなほど綺麗だったよ!! ……だけどこの国の顔になるんだから、自ら傷を増やすようなことは控えた方が良いと思うんだけどねぇ」
「レオナさん、手合わせ感謝する。傷については慣れている。気にしなくても大丈夫だ」
「いや、そういう問題じゃ……まぁいいさ」
レオナは小さくため息をついて肩をすくめたが、すぐに切り替えてミセリアへ微笑みかける。
僅かに声のトーンが下がり、どこか厳かな雰囲気が辺りを包み込んだ。
「アンタの心意気と勇気は、アタシとこの地の全員に示せた。合格だ。ミセリアをこの国の女王として認め、マグナロアの燭台へ火を灯すことを許可しよう」
「あぁ。重ねて感謝する」
二人はほぼ同時に腕を伸ばし、堅く握手を交す。
それを見ていたレイとシャルロットの二人は顔を見合わせると同時にぱちん、とハイタッチをする。その後。二人は同時にソフィアへ振り向き、それぞれ片手を向けた。
ニコニコと嬉しそうな二人へ向けて、ソフィアも薄く微笑んだ。
「やったわね」
小さく手を叩き合う音が二つ、歓声に紛れていった。
***
その夜。
ソフィア達によって見事に磨かれたマグナロアの燭台の前にミセリアが立っていた。
彼女は所々にシアルワ王国の色である赤銅の刺繍が施された、ゆったりとした衣を身に纏っている。その手にはフェリクスの髪色を思わせる炎が揺らめく別の燭台。あれが聖火だ。
夜空色の髪が炎に照らされて輝く。
彼女は黄金の燭台へ近づき、そして――聖火は灯された。
昼間に行われたレオナとの戦いとは違い、爆発するような歓声はその場に満ちない。その代わり、次期女王の美しさに見とれ、期待する故の心地よい沈黙が辺りを包み込んでいた。
***
「ソフィア」
彼女を呼び止めたのはレオナだった。
少し前まで住民達と酒を飲み交わしワイワイと騒いでいたのだが、酔った様子もなく真っ直ぐソフィアへと歩み寄ってくる。辺りには誰もいない。
二人がいるのはマグナロアの燭台が置かれた場所だ。大きな燭台に灯された聖火は炎を大きく成長させ、辺りを金色に染め上げていた。
「どうしてここが?」
「あっはっは。アンタの考えることなんてお見通しだよ」
何故ここにソフィアがいたのか。
それは、隠しきれない寂寥を隠すためである。明日になればミセリアは儀式のために次の街へと旅立っていく。レイとシャルロットもそうだろう。
そうすれば、マグナロアには日常が戻ってくる。
楽しくはあるが、時折自分が抱く孤独への恐怖が蘇る日常が。
「……」
「隣、座るよ」
ソフィアの隣へ腰掛け、レオナは彼女へ身体をすり寄せた。温かい。
「聞きたいことがあってね。最近は忙しくて二人になる機会がなかったからね。好機と思ってアンタを探しに来たのさ」
「そう。私の部屋に全裸になって入ってくるくらい飲むものだと思っていたわ」
「遠慮なく言うね!? それはそれで良いけどねぇ。今日だから聞くんだよ」
あっはっは、と剛健に笑い飛ばしてレオナはソフィアの肩を叩く。それなりに強かったせいでぐらぐらと身体が揺れて。ついでに炎も揺れた気がした。
ソフィアが体勢を直してからレオナは口を開いた。
「さっきさ、レイがアタシのところまで来てね」
「レイが?」
「そう。なんて言ったと思う?」
礼儀正しい彼のことだ。今日のことで長のレオナに感謝の気持ちでも伝えたのだろうか。それとも、迷子になって道を聞いていたのか。
首を傾げて考えているソフィアを見て吹き出されてしまう。何故だろう。少しムッとしてしまう。
「あはは。『ソフィアはこの街で幸せそうに見えますか?』だってさ」
「……」
「あの子なんだろう? ソフィアが『守りたい人がいる』って言ってた子」
元々ソフィアがマグナロアに身を寄せたのは、戦闘能力を身につけるためだ。自分と、レイを守るためだけの力が欲しかったのだ。
そのために幼く無垢なレイを存在が周囲に知られていない集落へ預け、自分はこの地まで仕事をしながらレオナに稽古をつけてもらっていた。
その思惑が裏目に出てしまい、逆に彼を傷つけていたことを知ってしまった今は、今までの行いが正しかったのか何とも言えない心境であるというのが正直なところである。
「しばらく観察させてもらったけどね、優しい、とても良い子じゃないか。アンタが気にかけるのも分かるよ」
「そうよ。あの子は良い子。そしてそれ以上に強い子。どんなに苦しくても、弱音を一切吐かずに耐えてしまうくらい、とても強い子なの。そんな子を守ろうだなんて、私は――」
「ソフィア」
そっと遮られた言葉に顔を上げれば、慈愛に満ちた視線がソフィアを射貫いていた。
未だに燻り続ける罪悪感から抜けられずにいる彼女へ、レオナは両頬を包み込むことで掬い上げてみせる。
「アンタも強い。アンタだって苦しかったはずだ。でも、強くありたいと願って、動けたじゃないか。それに、弱音を吐かないことが綺麗なことのように言うけどね。だから聞くよ。――悩みはないかい?」
「……」
「アンタ、まだ子どもじゃないか。弱音なんていくらでも吐いて良いんだよ。アンタ達二人とも間違っている。全部を我慢することが良いことだとはアタシは思わない」
「でも」
「ソフィアはアタシの娘だ。娘の悩み事を聞いてやるのも親ってものだろう?」
その言葉に確かな慈しみと、そして悲しみを感じ取ってソフィアは開きかけていた唇を閉ざした。
なぜなら、彼女は知っている。
レオナにとって、子どもという存在がどんなものであるのかを知っている。
「――」
「知っているだろ? アタシがどれだけ子を愛し思っているのか」
「――」
「アンタもその一人だ。そうさね、次女だ。姉ちゃんと兄ちゃんと同じくらい、ソフィアを愛している」
「私には」
「血のつながりが全てなのかい? そうじゃないだろう?」
ソフィアとレオナに血のつながりはもちろんない。
かつてレオナには二人の子どもがいた。一人は勝ち気な女の子。一人は大人しい男の子。そのどちらも、既にこの世にはいないけれど。街の子供たちと外へ遊びに行ってしまった。十になるまでは外に出てはいけないとあれほど言い聞かせていたのに。彼らは偶然、通りがかった賊に襲われた。あっけない命であった。
『……守ってあげられなくて、ごめんね』
かつてソフィアは捨て子だった。母親は、自分が自死の道を選ぶためだけに彼女を生んだ。彼女へ全ての絶望を叩き込むために物心つくまで育て、自らの力で火を放った家屋の中で微笑んでみせた。赤い髪を熱気になびかせ、娘を炎の中に突き落として、ただ嗤ってみせた。
『私を殺してくれて、ありがとう』
「アンタと会った日のことを忘れないよ。二人が生きていたならきっとこれくらいの年頃なんだろう、なんて思ってさ。最初は埋められない心の傷を埋めようとしていたのかもしれないね。認めよう。でも、我武者羅に突き進むアンタを見て……『今度こそ守らなきゃ』と思った」
「レオナさん……」
「本心だよ。ソフィアはいつの間にか娘になっていた。血は繋がっていないけど、何よりも大切な、アタシの娘」
そっと抱きすくめられる。
やはり酒の力もあるのだろうか。普段の彼女が見せない、少しばかり弱々しい声音でソフィアへと訴えかけてくる。
ソフィアも、血のつながりが家族であることの条件に入らないと思っている。実際に目の当たりにしたのだ。全員がバラバラの生まれでも家族だと愛し合った者達のことを。
しかし、自分のこととなるとどうにも受け入れがたいものがあった。こそばゆくて、自分にそんな大切なものがいても良いのかと、ためらっていた。
いつ誰を傷つけるかも分からない。大切な人が死んでも、追いかけることすら許されない。――だけど。
「私は――貴女の娘なの?」
「ああ、そうさ」
「私は貴女の娘になれるの?」
「ああ、なれるとも」
ソフィアはレオナの背へ腕を回す。女性にしては筋肉質な背。とても温かい。
修行を見守ってくれていて、共に食事をとって、叱られて、たくさん教えて貰って、たくさん抱きしめられて、暴走した時も止めてくれて、ずっとずっと守ってくれた。
なら。
「――私の悩み、聞いてくれる? お……おかあさん」
「あは、似合ってないね。でもどんどん話しておくれ。アタシの大事なソフィア」
深々と突き刺さったそれだが、観客には一切注目されることはなかった。
「いやぁ、いいねぇいいねぇ!! アンタのその目、吸い込まれそうなほど綺麗だったよ!! ……だけどこの国の顔になるんだから、自ら傷を増やすようなことは控えた方が良いと思うんだけどねぇ」
「レオナさん、手合わせ感謝する。傷については慣れている。気にしなくても大丈夫だ」
「いや、そういう問題じゃ……まぁいいさ」
レオナは小さくため息をついて肩をすくめたが、すぐに切り替えてミセリアへ微笑みかける。
僅かに声のトーンが下がり、どこか厳かな雰囲気が辺りを包み込んだ。
「アンタの心意気と勇気は、アタシとこの地の全員に示せた。合格だ。ミセリアをこの国の女王として認め、マグナロアの燭台へ火を灯すことを許可しよう」
「あぁ。重ねて感謝する」
二人はほぼ同時に腕を伸ばし、堅く握手を交す。
それを見ていたレイとシャルロットの二人は顔を見合わせると同時にぱちん、とハイタッチをする。その後。二人は同時にソフィアへ振り向き、それぞれ片手を向けた。
ニコニコと嬉しそうな二人へ向けて、ソフィアも薄く微笑んだ。
「やったわね」
小さく手を叩き合う音が二つ、歓声に紛れていった。
***
その夜。
ソフィア達によって見事に磨かれたマグナロアの燭台の前にミセリアが立っていた。
彼女は所々にシアルワ王国の色である赤銅の刺繍が施された、ゆったりとした衣を身に纏っている。その手にはフェリクスの髪色を思わせる炎が揺らめく別の燭台。あれが聖火だ。
夜空色の髪が炎に照らされて輝く。
彼女は黄金の燭台へ近づき、そして――聖火は灯された。
昼間に行われたレオナとの戦いとは違い、爆発するような歓声はその場に満ちない。その代わり、次期女王の美しさに見とれ、期待する故の心地よい沈黙が辺りを包み込んでいた。
***
「ソフィア」
彼女を呼び止めたのはレオナだった。
少し前まで住民達と酒を飲み交わしワイワイと騒いでいたのだが、酔った様子もなく真っ直ぐソフィアへと歩み寄ってくる。辺りには誰もいない。
二人がいるのはマグナロアの燭台が置かれた場所だ。大きな燭台に灯された聖火は炎を大きく成長させ、辺りを金色に染め上げていた。
「どうしてここが?」
「あっはっは。アンタの考えることなんてお見通しだよ」
何故ここにソフィアがいたのか。
それは、隠しきれない寂寥を隠すためである。明日になればミセリアは儀式のために次の街へと旅立っていく。レイとシャルロットもそうだろう。
そうすれば、マグナロアには日常が戻ってくる。
楽しくはあるが、時折自分が抱く孤独への恐怖が蘇る日常が。
「……」
「隣、座るよ」
ソフィアの隣へ腰掛け、レオナは彼女へ身体をすり寄せた。温かい。
「聞きたいことがあってね。最近は忙しくて二人になる機会がなかったからね。好機と思ってアンタを探しに来たのさ」
「そう。私の部屋に全裸になって入ってくるくらい飲むものだと思っていたわ」
「遠慮なく言うね!? それはそれで良いけどねぇ。今日だから聞くんだよ」
あっはっは、と剛健に笑い飛ばしてレオナはソフィアの肩を叩く。それなりに強かったせいでぐらぐらと身体が揺れて。ついでに炎も揺れた気がした。
ソフィアが体勢を直してからレオナは口を開いた。
「さっきさ、レイがアタシのところまで来てね」
「レイが?」
「そう。なんて言ったと思う?」
礼儀正しい彼のことだ。今日のことで長のレオナに感謝の気持ちでも伝えたのだろうか。それとも、迷子になって道を聞いていたのか。
首を傾げて考えているソフィアを見て吹き出されてしまう。何故だろう。少しムッとしてしまう。
「あはは。『ソフィアはこの街で幸せそうに見えますか?』だってさ」
「……」
「あの子なんだろう? ソフィアが『守りたい人がいる』って言ってた子」
元々ソフィアがマグナロアに身を寄せたのは、戦闘能力を身につけるためだ。自分と、レイを守るためだけの力が欲しかったのだ。
そのために幼く無垢なレイを存在が周囲に知られていない集落へ預け、自分はこの地まで仕事をしながらレオナに稽古をつけてもらっていた。
その思惑が裏目に出てしまい、逆に彼を傷つけていたことを知ってしまった今は、今までの行いが正しかったのか何とも言えない心境であるというのが正直なところである。
「しばらく観察させてもらったけどね、優しい、とても良い子じゃないか。アンタが気にかけるのも分かるよ」
「そうよ。あの子は良い子。そしてそれ以上に強い子。どんなに苦しくても、弱音を一切吐かずに耐えてしまうくらい、とても強い子なの。そんな子を守ろうだなんて、私は――」
「ソフィア」
そっと遮られた言葉に顔を上げれば、慈愛に満ちた視線がソフィアを射貫いていた。
未だに燻り続ける罪悪感から抜けられずにいる彼女へ、レオナは両頬を包み込むことで掬い上げてみせる。
「アンタも強い。アンタだって苦しかったはずだ。でも、強くありたいと願って、動けたじゃないか。それに、弱音を吐かないことが綺麗なことのように言うけどね。だから聞くよ。――悩みはないかい?」
「……」
「アンタ、まだ子どもじゃないか。弱音なんていくらでも吐いて良いんだよ。アンタ達二人とも間違っている。全部を我慢することが良いことだとはアタシは思わない」
「でも」
「ソフィアはアタシの娘だ。娘の悩み事を聞いてやるのも親ってものだろう?」
その言葉に確かな慈しみと、そして悲しみを感じ取ってソフィアは開きかけていた唇を閉ざした。
なぜなら、彼女は知っている。
レオナにとって、子どもという存在がどんなものであるのかを知っている。
「――」
「知っているだろ? アタシがどれだけ子を愛し思っているのか」
「――」
「アンタもその一人だ。そうさね、次女だ。姉ちゃんと兄ちゃんと同じくらい、ソフィアを愛している」
「私には」
「血のつながりが全てなのかい? そうじゃないだろう?」
ソフィアとレオナに血のつながりはもちろんない。
かつてレオナには二人の子どもがいた。一人は勝ち気な女の子。一人は大人しい男の子。そのどちらも、既にこの世にはいないけれど。街の子供たちと外へ遊びに行ってしまった。十になるまでは外に出てはいけないとあれほど言い聞かせていたのに。彼らは偶然、通りがかった賊に襲われた。あっけない命であった。
『……守ってあげられなくて、ごめんね』
かつてソフィアは捨て子だった。母親は、自分が自死の道を選ぶためだけに彼女を生んだ。彼女へ全ての絶望を叩き込むために物心つくまで育て、自らの力で火を放った家屋の中で微笑んでみせた。赤い髪を熱気になびかせ、娘を炎の中に突き落として、ただ嗤ってみせた。
『私を殺してくれて、ありがとう』
「アンタと会った日のことを忘れないよ。二人が生きていたならきっとこれくらいの年頃なんだろう、なんて思ってさ。最初は埋められない心の傷を埋めようとしていたのかもしれないね。認めよう。でも、我武者羅に突き進むアンタを見て……『今度こそ守らなきゃ』と思った」
「レオナさん……」
「本心だよ。ソフィアはいつの間にか娘になっていた。血は繋がっていないけど、何よりも大切な、アタシの娘」
そっと抱きすくめられる。
やはり酒の力もあるのだろうか。普段の彼女が見せない、少しばかり弱々しい声音でソフィアへと訴えかけてくる。
ソフィアも、血のつながりが家族であることの条件に入らないと思っている。実際に目の当たりにしたのだ。全員がバラバラの生まれでも家族だと愛し合った者達のことを。
しかし、自分のこととなるとどうにも受け入れがたいものがあった。こそばゆくて、自分にそんな大切なものがいても良いのかと、ためらっていた。
いつ誰を傷つけるかも分からない。大切な人が死んでも、追いかけることすら許されない。――だけど。
「私は――貴女の娘なの?」
「ああ、そうさ」
「私は貴女の娘になれるの?」
「ああ、なれるとも」
ソフィアはレオナの背へ腕を回す。女性にしては筋肉質な背。とても温かい。
修行を見守ってくれていて、共に食事をとって、叱られて、たくさん教えて貰って、たくさん抱きしめられて、暴走した時も止めてくれて、ずっとずっと守ってくれた。
なら。
「――私の悩み、聞いてくれる? お……おかあさん」
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