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3章 紅炎の巫覡
7 ガラスの星
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***
屋敷では、一人につき一部屋与えられている。それに最上階であるため大変見通しが良い。リカードの計らいに感謝をするばかりである。
そのうちの一室、レイは窓から夜のポエタを見下ろしてぼんやりとしていた。
景観維持のためだろうか、街中に灯された明かりも青色で統一されており非常に美しい。飾られた銀細工と遠くに見える滝に反射してきらきらと瞬いている。
「綺麗、だなぁ」
まぁ、あの夜に見た夜華に比べれば劣るかもしれないが。
初めて訪れた場所に心が浮ついて、なんとなく眠れるような気がしない。
夜風にでも当たるかと、レイは軽く上着を羽織ってバルコニーに出た。
洞窟の中だけあって、冷たく湿った空気が流れている。部屋の中は暖められていたため、温度差に思わず身震いをする。
明日は一日自由行動を取ることになっている。何をするか具体的に決めていないのだが、歩いて回るだけでも楽しいかもしれない。
そんなことを考えていた時だった。
ひらり、と上から何かが落ちてきた。
「?」
反射的に手を伸ばすと、狙ったかのようにそれは手の中に収まる。
それは一枚の紙だった。細々とした文字と五芒星の絵が描かれている。
上に誰か居るのか、と見上げてもこれ以上上に階層はない。屋根の上に誰かがいるのなら話は違うが、こんな夜に屋敷の屋根に登るような人がいるのだろうか。
不思議に思いつつ、レイは手にした紙に視線を落とした。内容によっては落とし主の手がかりになるかもしれない。
「……へぇ」
蒼穹の瞳が好奇心に淡く輝く。
明日、これをリカードに預けて、この紙に書かれたことを実践してみよう。大事な書類かとも思ったが、そういうわけではないようだった。届けるのはすぐでなくても大丈夫そうだ。
そうと決まれば、早く寝なければ。
紙を手に部屋に戻るレイを見届けて、姿を隠していた影は唇に微かな弧を描く。
酷く穏やかな、優しい微笑みだった。
***
翌日。日が昇ってもなお薄暗い街へソフィアは歩み出す。
ミセリアは少しの間リカードと打ち合わせをし、他のメンバーは自由行動なのだが。
彼女の隣には白金の髪の少女がいる。
てっきりレイと共に観光するのかと思っていたが、そうではないとのことだ。つい先ほどソフィアを誘いに来た際にそう言っていた。
「私もそのつもりだったんだけどね、今日は行きたいところがあるんだって。どこだろう」
誘いを断られて少しばかりむくれていたシャルロットだが、すぐに切り替えて華奢な腕に抱えた地図を取り出して広げる。
「迷子になっていなければ良いけど」
「あの子も地図の見方くらいは分かるはずよ。まぁ、大丈夫でしょう。ぼったくりとかに巻き込まれていなければの話だけれど」
「自衛はできると思うから、大丈夫だと信じるよ。さ、私たちも行こう!」
こうして女子二人の観光が始まった。
ポエタ――巨大すぎる洞窟の上にはこれまた大きな湖があるという。湿地帯に位置するため、豊かな雨が湖を満たし、地面に染みこみ、洞窟内に一本の滝となって流れていく。
かつての先人たちによって地盤の強化がなされ、滝は合計六つに分けられた。
ポエタの中央にひとつ。後は五芒星の頂点になるように。
滝から落ちた水は水路を流れ、洞窟の外へと流れていく。
このように水に恵まれた、シアルワ有数の都市には旅人が訪れることも多く、観光施設も充実している。
精霊の襲撃も何度かあったらしいのだが、何の思惑か洞窟そのものを潰すことはしなかったようだ。人工の建造物は容赦なく破壊されたそうで、恐らく天然のもの――女神が作ったとされる――には手を出したくなかったのかもしれない。
「ねぇ、ここってガラス製品が特産なのかなぁ」
街中を歩いている途中、売られている商品を流し見てシャルロットは疑問符を浮かべた。
確かに、ガラスの食器や置物などの商品が多いように感じられる。ソフィアは頷く。
「そうかもしれないわね」
「何か買ってもいいかも。お兄ちゃん喜ぶかな」
「そうね。……シャルロット、その……貴女のお兄さん、調子はどう?」
「え? 二人とも元気そうだったよ」
無邪気な微笑みにソフィアは内心ホッとする。
しかし、次の爆弾発言には度肝を抜かれる羽目になったが。
「でもソフィアが気にするのってセラフィお兄ちゃんの方だよね。もしかして、二人ってそういう……?」
「断じて違うと言っておくわね。ただの昔馴染みよ」
「ふふ、誤魔化さなくても良いのに」
シャルロットは確実に何かを勘違いしている。確かに身を案じていることは事実だが、恋愛的な感情を抱いたことは一切ない。
明らかに楽しそうな笑みを零し、こてんと首を軽く傾げる少女の仕草が可愛らしい。気を抜けば否定することをためらってしまいそうなほどである。
努めて冷静に否定し、仕返しとばかりに意地悪く腕を組む。
「そういう貴女は、レイと上手くいっているのかしら?」
「上手く?」
「どこまで進展したのかしら。気になるわね。私、あの子の保護者のようなものだから」
そこまで言ってやれば、年下の少女はほんのり頬を染めて瞬きを繰り返す。鈍感といえども、これくらい追求すれば分かるらしい。
両手を組み、そろりと視線を逸らされる。
「……私たち、そういう関係じゃ」
「あら。またいつか一緒に暮らすのでしょう?」
「そ、それはそうだけど!」
シャルロットはソフィアの頬をつん、とつついてみせる。
「ソフィアも一緒なんだからね」
「……そうね」
そんな話をしながらあちこち歩いては街の人の話を聞き、食事をし、観光の他に言い表しようのない時間を過ごした。
洞窟の中にあるせいか、時の流れというものが少し分かりづらい街でもあるのだが、流石に暗くなってきた頃。
名物であるという中央の滝に訪れた二人は、見慣れた青年の姿を目撃する。
中央の滝の周りは湖のようになっており、彼はその縁に立っている。視線は滝――ではなく、自身の手に注がれていた。
「あ、レイだ」
近寄ってきた女子二人に気がついてレイは振り返る。
「二人とも、ちょうど良かった」
「ちょうど良かったって……何をしていたの?」
「はい、これ。二人に」
今まで何をしていたか、その答えが返ってくる前にレイは両手を差し出した。
その手のひらに乗っているのは、五芒星の形をした飾りがついているペンダントだ。華奢なチェーンが街灯の青を反射してきらきらと光っている。
五芒星の中には三角形の枠が五つと五角形の枠が一つぴったり収まっており、それぞれに色の違う小さなガラスがはめ込まれているようだ。
「わぁ、綺麗……」
「ポエタの伝統工芸品だって。ここ中央と合わせて六つの滝、それぞれ巡ってガラス片を集めるんだ。そうして作ったペンダントを、渡したい人にプレゼントすると色々良いことがあるんだってさ。選んだ色とか巡る順番によって込められる意味は違ってくるみたいだけど」
「なるほど、これを作りたくて一人で歩き回っていたのね」
「そういうこと。せっかくだし」
ほんのり頬を染めて喜んでいたシャルロットだが、ふと気がついて顔を上げる。
「でもそんなこと貰ったパンフレットには書いてなかったような」
「ええと、俺も拾った資料から知ったんだ。ちょっと古い伝統らしくて、ここの人に聞いて回っていたらびっくりされたよ」
「ふーん……」
そしてレイはシャルロットの手に乗ったペンダントを指し示す。暖色の可愛らしい色のガラスがあしらわれている。
「シャルロットのペンダントには『いつまでも一緒に』」
白い指が次に指し示したのはソフィアのペンダントだ。こちらは落ち着いた、しかし優しい寒色が綺麗なガラスが選ばれていた。
「ソフィアのペンダントには『君の幸せを願う』……だったかな」
なんとも彼らしい願いの選び方だ。
ソフィアはペンダントトップをそっと指でなぞる。桜色の唇には淡い笑みが浮かんでいた。
「ありがとう、レイ」
「ソフィアは思い詰めやすい性格だから、気休めになればと思って。喜んでくれたなら何よりだよ」
「えぇ、とても嬉しいわ。……とっても」
***
翌日の儀式も滞りなく完了する。
銀と青の街に灯る金色の炎は、涼しい空気ばかりが漂う街を熱く照らした。
金色と青色は、ポエタの人々になんとなくシアルワ王国の次期国王と女王を彷彿とさせたのだった。
屋敷では、一人につき一部屋与えられている。それに最上階であるため大変見通しが良い。リカードの計らいに感謝をするばかりである。
そのうちの一室、レイは窓から夜のポエタを見下ろしてぼんやりとしていた。
景観維持のためだろうか、街中に灯された明かりも青色で統一されており非常に美しい。飾られた銀細工と遠くに見える滝に反射してきらきらと瞬いている。
「綺麗、だなぁ」
まぁ、あの夜に見た夜華に比べれば劣るかもしれないが。
初めて訪れた場所に心が浮ついて、なんとなく眠れるような気がしない。
夜風にでも当たるかと、レイは軽く上着を羽織ってバルコニーに出た。
洞窟の中だけあって、冷たく湿った空気が流れている。部屋の中は暖められていたため、温度差に思わず身震いをする。
明日は一日自由行動を取ることになっている。何をするか具体的に決めていないのだが、歩いて回るだけでも楽しいかもしれない。
そんなことを考えていた時だった。
ひらり、と上から何かが落ちてきた。
「?」
反射的に手を伸ばすと、狙ったかのようにそれは手の中に収まる。
それは一枚の紙だった。細々とした文字と五芒星の絵が描かれている。
上に誰か居るのか、と見上げてもこれ以上上に階層はない。屋根の上に誰かがいるのなら話は違うが、こんな夜に屋敷の屋根に登るような人がいるのだろうか。
不思議に思いつつ、レイは手にした紙に視線を落とした。内容によっては落とし主の手がかりになるかもしれない。
「……へぇ」
蒼穹の瞳が好奇心に淡く輝く。
明日、これをリカードに預けて、この紙に書かれたことを実践してみよう。大事な書類かとも思ったが、そういうわけではないようだった。届けるのはすぐでなくても大丈夫そうだ。
そうと決まれば、早く寝なければ。
紙を手に部屋に戻るレイを見届けて、姿を隠していた影は唇に微かな弧を描く。
酷く穏やかな、優しい微笑みだった。
***
翌日。日が昇ってもなお薄暗い街へソフィアは歩み出す。
ミセリアは少しの間リカードと打ち合わせをし、他のメンバーは自由行動なのだが。
彼女の隣には白金の髪の少女がいる。
てっきりレイと共に観光するのかと思っていたが、そうではないとのことだ。つい先ほどソフィアを誘いに来た際にそう言っていた。
「私もそのつもりだったんだけどね、今日は行きたいところがあるんだって。どこだろう」
誘いを断られて少しばかりむくれていたシャルロットだが、すぐに切り替えて華奢な腕に抱えた地図を取り出して広げる。
「迷子になっていなければ良いけど」
「あの子も地図の見方くらいは分かるはずよ。まぁ、大丈夫でしょう。ぼったくりとかに巻き込まれていなければの話だけれど」
「自衛はできると思うから、大丈夫だと信じるよ。さ、私たちも行こう!」
こうして女子二人の観光が始まった。
ポエタ――巨大すぎる洞窟の上にはこれまた大きな湖があるという。湿地帯に位置するため、豊かな雨が湖を満たし、地面に染みこみ、洞窟内に一本の滝となって流れていく。
かつての先人たちによって地盤の強化がなされ、滝は合計六つに分けられた。
ポエタの中央にひとつ。後は五芒星の頂点になるように。
滝から落ちた水は水路を流れ、洞窟の外へと流れていく。
このように水に恵まれた、シアルワ有数の都市には旅人が訪れることも多く、観光施設も充実している。
精霊の襲撃も何度かあったらしいのだが、何の思惑か洞窟そのものを潰すことはしなかったようだ。人工の建造物は容赦なく破壊されたそうで、恐らく天然のもの――女神が作ったとされる――には手を出したくなかったのかもしれない。
「ねぇ、ここってガラス製品が特産なのかなぁ」
街中を歩いている途中、売られている商品を流し見てシャルロットは疑問符を浮かべた。
確かに、ガラスの食器や置物などの商品が多いように感じられる。ソフィアは頷く。
「そうかもしれないわね」
「何か買ってもいいかも。お兄ちゃん喜ぶかな」
「そうね。……シャルロット、その……貴女のお兄さん、調子はどう?」
「え? 二人とも元気そうだったよ」
無邪気な微笑みにソフィアは内心ホッとする。
しかし、次の爆弾発言には度肝を抜かれる羽目になったが。
「でもソフィアが気にするのってセラフィお兄ちゃんの方だよね。もしかして、二人ってそういう……?」
「断じて違うと言っておくわね。ただの昔馴染みよ」
「ふふ、誤魔化さなくても良いのに」
シャルロットは確実に何かを勘違いしている。確かに身を案じていることは事実だが、恋愛的な感情を抱いたことは一切ない。
明らかに楽しそうな笑みを零し、こてんと首を軽く傾げる少女の仕草が可愛らしい。気を抜けば否定することをためらってしまいそうなほどである。
努めて冷静に否定し、仕返しとばかりに意地悪く腕を組む。
「そういう貴女は、レイと上手くいっているのかしら?」
「上手く?」
「どこまで進展したのかしら。気になるわね。私、あの子の保護者のようなものだから」
そこまで言ってやれば、年下の少女はほんのり頬を染めて瞬きを繰り返す。鈍感といえども、これくらい追求すれば分かるらしい。
両手を組み、そろりと視線を逸らされる。
「……私たち、そういう関係じゃ」
「あら。またいつか一緒に暮らすのでしょう?」
「そ、それはそうだけど!」
シャルロットはソフィアの頬をつん、とつついてみせる。
「ソフィアも一緒なんだからね」
「……そうね」
そんな話をしながらあちこち歩いては街の人の話を聞き、食事をし、観光の他に言い表しようのない時間を過ごした。
洞窟の中にあるせいか、時の流れというものが少し分かりづらい街でもあるのだが、流石に暗くなってきた頃。
名物であるという中央の滝に訪れた二人は、見慣れた青年の姿を目撃する。
中央の滝の周りは湖のようになっており、彼はその縁に立っている。視線は滝――ではなく、自身の手に注がれていた。
「あ、レイだ」
近寄ってきた女子二人に気がついてレイは振り返る。
「二人とも、ちょうど良かった」
「ちょうど良かったって……何をしていたの?」
「はい、これ。二人に」
今まで何をしていたか、その答えが返ってくる前にレイは両手を差し出した。
その手のひらに乗っているのは、五芒星の形をした飾りがついているペンダントだ。華奢なチェーンが街灯の青を反射してきらきらと光っている。
五芒星の中には三角形の枠が五つと五角形の枠が一つぴったり収まっており、それぞれに色の違う小さなガラスがはめ込まれているようだ。
「わぁ、綺麗……」
「ポエタの伝統工芸品だって。ここ中央と合わせて六つの滝、それぞれ巡ってガラス片を集めるんだ。そうして作ったペンダントを、渡したい人にプレゼントすると色々良いことがあるんだってさ。選んだ色とか巡る順番によって込められる意味は違ってくるみたいだけど」
「なるほど、これを作りたくて一人で歩き回っていたのね」
「そういうこと。せっかくだし」
ほんのり頬を染めて喜んでいたシャルロットだが、ふと気がついて顔を上げる。
「でもそんなこと貰ったパンフレットには書いてなかったような」
「ええと、俺も拾った資料から知ったんだ。ちょっと古い伝統らしくて、ここの人に聞いて回っていたらびっくりされたよ」
「ふーん……」
そしてレイはシャルロットの手に乗ったペンダントを指し示す。暖色の可愛らしい色のガラスがあしらわれている。
「シャルロットのペンダントには『いつまでも一緒に』」
白い指が次に指し示したのはソフィアのペンダントだ。こちらは落ち着いた、しかし優しい寒色が綺麗なガラスが選ばれていた。
「ソフィアのペンダントには『君の幸せを願う』……だったかな」
なんとも彼らしい願いの選び方だ。
ソフィアはペンダントトップをそっと指でなぞる。桜色の唇には淡い笑みが浮かんでいた。
「ありがとう、レイ」
「ソフィアは思い詰めやすい性格だから、気休めになればと思って。喜んでくれたなら何よりだよ」
「えぇ、とても嬉しいわ。……とっても」
***
翌日の儀式も滞りなく完了する。
銀と青の街に灯る金色の炎は、涼しい空気ばかりが漂う街を熱く照らした。
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