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3章 紅炎の巫覡
8 白雪のニクス
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***
君は今、幸せ?
気がつけば、一面の銀世界が窓の外に広がっている。
ここはシアルワの最南端、寒冷地に属する地方だ。温暖な大陸の中でも珍しく雪が止まない地域としても有名であり、人間が暮らすには少し――どころかかなり不便な地だった。そのためか精霊もあまり近寄ることもなく、寒さに耐えることができれば平穏な暮らしが出来る……らしい。
その中にニクスという街がある。そこに、最後の燭台が保管されていると言われている。
雪が多い、というだけあって馬車が通れる道は雪かきが施されている。あらかじめ連絡していたため、ニクスの人々が用意してくれているのだろう。おかげでスムーズな旅路だった。
ほう、と吐き出した息が白く立ち上って消えていく。
見知らず知らずのうちに、慣れない光景に少し見とれてしまったようだ。
「さ、寒い」
普段が薄手の動きやすい服装をしているが、今回は厚手の防寒用の衣装に身を包んでいる。それでも慣れないものは慣れない。
馬車から降りたシャルロットは分かりやすく身体を震わせた。鼻頭がほんのり赤く染まっている姿が可愛らしい。
「早く行きましょうか。屋内はきっと暖かいわ」
ニクスの街はざっくり円を描く形をしており、中央には憩いの場である大きな図書館が建てられている。
街のあちらこちらには、雪の白に埋もれないように色とりどりの布地が飾られている。この繊維産業こそニクスの特徴であり、街並みを美しくしている要因だ。
門番から聞くに、中央の図書館の館長こそがニクスの長であるといい、まだ迎えの準備が整っていないとのことだった。
「……寒い、けど不思議。雪って本でしか見たことがなかったから。冷たいね」
「後で雪像ってものを作ってみようよ。ウサギさんとか絵本でもよく出てくるよね」
そんなほのぼのとした会話をするレイとシャルロットの後ろで、ソフィアは手袋についた雪を一瞥する。黒い生地の上に小さな結晶が鎮座している。首からさげている、レイから貰った首飾りにも少し似ているような、そうでもないような。そんな幾何学模様の綺麗な結晶は、息を吹きかければすぐに溶けてしまった。
そんなソフィアの後ろから、ざくざくと慌ただしい足音が聞こえてくる。
住民だろうが、まさかぶつかりはしないだろう――と考えていた矢先、予想を裏切ってソフィアの身体を衝撃が襲う。
慣れない雪道に大きくよろめき、驚いているうちにぷつん、と小さな音がやけに響いて聞こえた。
「ソフィア、大丈夫!?」
「私は平気だけど……あ」
無意識のうちに手を伸ばした胸元に、輝いていたはずの物がなくなっていることに気がつく。
急いで視線を巡らせても、地面に星形のペンダントが落ちている気配はない。
ならば。
「……っ。待ちなさい!」
「ソフィア、待って!」
逃げるように走る――いや、実際に逃げている少年の姿を確認し、ソフィアは急いで起き上がる。
あの少年こそペンダントを盗んだ犯人で間違いないだろう。それ以外考えられない。
背後からの制止を振り切って跡を追う。
弟のように大切に思っているレイがくれたものだ。このまま盗まれるわけにはいかない。
慣れたように雪を踏みしめていく背中を追いかけようとするが、こちらは全く慣れないせいか距離が縮まらない。おまけに、ちょこまかと路地裏を移動し続けているため姿を見失いかける。
「……」
走りながらどうしようかと考えた末、視界の大半を覆う白を見てため息をついた。
仕方ない。このまま少年を逃がすわけにもいかない。ならば能力を使ってしまおう。少しばかりの苛立ちからそう決心するのに、そう時間はかからなかった。
路地裏だけあって人通りはほとんどない。防寒のためか、建物の窓も分厚いカーテンが閉じられており、人目は気にしなくても大丈夫だ。
少年に勘づかれない程度に炎を展開させる。ソフィアの周りに円を描くように広がり、雪を溶かす。そうしてできあがった水分を今度は宙に浮かせた。
瞬時に鳥の形に変化したそれは、風を切るように少年の前へ躍り出る。
「へ?」
少年の顔面に羽を広げた鳥は、形を失ってただの水へと化してからぱしゃりとぶつかる。勢いも落としたため、大した衝撃にもならないだろう。
驚いた少年はぐら、と後ろ向きに倒れた。瞬時に受け身をしている辺り、雪に慣れたニクスの住人で間違いないはずだ。
「追いついたわよ。さぁ、盗んだ物を返しなさい」
にこやかな表情を貼り付けて仰向けの少年を真上から見下ろす。
初めて顔を見たが、ほっそりとして不健康そうな印象を受ける。意志の強そうな灰色の瞳が一瞬驚きに揺れ、それから生意気に睨み返してきた。
「やーだよーだ。金になるもん」
「高級品ではないのだけどね……。でもそれは大事な物なの。良いから返しなさい」
「女王様が持ってる物なんて全部金になるに決まってるだろー? 女王様が高級品だと思っていなくてもな」
「女王様……?」
怪訝な顔をしたソフィアに、少年は首を傾げる。
「あれ、違った?」
「……えぇ、そうね。私はシアルワの次期女王じゃないわ。私はそのお供、といったところね」
「ええええ」
がっかりしたように口を開け、瞬時に涙目になる少年に、ソフィアはふっと微笑みを零す。
「貴方、幸運ね。王妃になる方に直接手を出していたならどうなっていたことやら」
もちろん、ミセリアなら物を盗まれたとしても子どもに酷な罰は与えないだろう。よほど大切な物があるなら分からないが。まぁ、ないだろう。
これは単なる脅かしに過ぎない。この少年は物盗りの常習犯だろうから。
「……それにしても、そんな貧しいの? 身の危険を冒してまで王家関係者の持ち物を盗むなんて」
「王家だからだよ。盗めたら上々、盗めなくても俺たちが苦しんでいることをアピール出来るってね」
「苦しい……そうね。少し手荒な真似をしてしまったお詫びに話でも聞きましょう。ここじゃあ寒いし、せめて風が凌げる場所まで案内してくれないかしら。あぁそうそう、仲間がいたとしてもね、私から身ぐるみを剥がそうとしても無駄だから。そこだけはよろしくね」
腰に佩いた剣の柄を撫でる。見せつけるかのようにゆっくりと。
ごくりと息を呑んだ少年は、そろそろと起き上がる。しかめっ面はそのままな彼から差し出されたペンダントを受け取る。
走り回っている間振り回されていたペンダントだが、傷もなく無事だった。
ホッと息をついて再び首にかける。
「さ、とりあえず偽名でも良いから名前を聞きたいわ。私はソフィア。貴方は?」
「……ルプス」
「ルプスね。把握したわ」
ルプスはいかにも不満そうな表情を浮かべながら歩き出す。
騙しているような雰囲気はなさそうだ。ソフィアは数歩後ろを着いていく。
「……あのさ」
「何かしら」
「俺たちの住処、誰にも言うなよ」
「聞かせてくれる話によるわね」
「意地悪」
「貴方に言われたくないわ」
しばらく歩いて辿り着いたのは、郊外に位置する一軒家だ。街の中心部が色とりどりの布地に飾られている一方で、こちらは何もない。窓から建物の様子を窺えば、同じようにカーテンが閉じられているが、どう見てもボロボロで防寒には向いていない。その上、窓や壁にヒビが入っている家もある。これでは隙間風が入ってしまう。
ここは貧民が集まっている区域なのだろう。軽く観察しただけでそれが分かる。
ルプスが向かったのは、腐りかけた木の扉に“23”と掘られた家だ。
入ってみれば、明かりもなく薄暗い上にやはり寒い。
内装はほぼないに等しく、木箱がいくつかと薄汚れた毛布が何枚か。奥には長い間使われていないだろう薪ストーブ。それと、もう少しで溶けきってしまいそうな蝋燭が数本と焦げた木材の塊があちこちに転がっている。
「こっち」
ルプスは弱々しい光が差し込む一室へソフィアを通す。年間を通して雪が降るここは陽の光が弱いのだ。
「……兄ちゃん? 帰ってきたの?」
ソフィアが寒い部屋へ足を踏み入れた瞬間、小さな声が聞こえてきた。
その方向へ視線を向ければ、木箱の上でもぞもぞと動く何かがいる。くしゃくしゃの毛布から顔を出したのは幼い少女だ。年齢は五、六歳くらいか。
ルプスが柔らかい笑みを見せる。
「ただいま、ルパ」
君は今、幸せ?
気がつけば、一面の銀世界が窓の外に広がっている。
ここはシアルワの最南端、寒冷地に属する地方だ。温暖な大陸の中でも珍しく雪が止まない地域としても有名であり、人間が暮らすには少し――どころかかなり不便な地だった。そのためか精霊もあまり近寄ることもなく、寒さに耐えることができれば平穏な暮らしが出来る……らしい。
その中にニクスという街がある。そこに、最後の燭台が保管されていると言われている。
雪が多い、というだけあって馬車が通れる道は雪かきが施されている。あらかじめ連絡していたため、ニクスの人々が用意してくれているのだろう。おかげでスムーズな旅路だった。
ほう、と吐き出した息が白く立ち上って消えていく。
見知らず知らずのうちに、慣れない光景に少し見とれてしまったようだ。
「さ、寒い」
普段が薄手の動きやすい服装をしているが、今回は厚手の防寒用の衣装に身を包んでいる。それでも慣れないものは慣れない。
馬車から降りたシャルロットは分かりやすく身体を震わせた。鼻頭がほんのり赤く染まっている姿が可愛らしい。
「早く行きましょうか。屋内はきっと暖かいわ」
ニクスの街はざっくり円を描く形をしており、中央には憩いの場である大きな図書館が建てられている。
街のあちらこちらには、雪の白に埋もれないように色とりどりの布地が飾られている。この繊維産業こそニクスの特徴であり、街並みを美しくしている要因だ。
門番から聞くに、中央の図書館の館長こそがニクスの長であるといい、まだ迎えの準備が整っていないとのことだった。
「……寒い、けど不思議。雪って本でしか見たことがなかったから。冷たいね」
「後で雪像ってものを作ってみようよ。ウサギさんとか絵本でもよく出てくるよね」
そんなほのぼのとした会話をするレイとシャルロットの後ろで、ソフィアは手袋についた雪を一瞥する。黒い生地の上に小さな結晶が鎮座している。首からさげている、レイから貰った首飾りにも少し似ているような、そうでもないような。そんな幾何学模様の綺麗な結晶は、息を吹きかければすぐに溶けてしまった。
そんなソフィアの後ろから、ざくざくと慌ただしい足音が聞こえてくる。
住民だろうが、まさかぶつかりはしないだろう――と考えていた矢先、予想を裏切ってソフィアの身体を衝撃が襲う。
慣れない雪道に大きくよろめき、驚いているうちにぷつん、と小さな音がやけに響いて聞こえた。
「ソフィア、大丈夫!?」
「私は平気だけど……あ」
無意識のうちに手を伸ばした胸元に、輝いていたはずの物がなくなっていることに気がつく。
急いで視線を巡らせても、地面に星形のペンダントが落ちている気配はない。
ならば。
「……っ。待ちなさい!」
「ソフィア、待って!」
逃げるように走る――いや、実際に逃げている少年の姿を確認し、ソフィアは急いで起き上がる。
あの少年こそペンダントを盗んだ犯人で間違いないだろう。それ以外考えられない。
背後からの制止を振り切って跡を追う。
弟のように大切に思っているレイがくれたものだ。このまま盗まれるわけにはいかない。
慣れたように雪を踏みしめていく背中を追いかけようとするが、こちらは全く慣れないせいか距離が縮まらない。おまけに、ちょこまかと路地裏を移動し続けているため姿を見失いかける。
「……」
走りながらどうしようかと考えた末、視界の大半を覆う白を見てため息をついた。
仕方ない。このまま少年を逃がすわけにもいかない。ならば能力を使ってしまおう。少しばかりの苛立ちからそう決心するのに、そう時間はかからなかった。
路地裏だけあって人通りはほとんどない。防寒のためか、建物の窓も分厚いカーテンが閉じられており、人目は気にしなくても大丈夫だ。
少年に勘づかれない程度に炎を展開させる。ソフィアの周りに円を描くように広がり、雪を溶かす。そうしてできあがった水分を今度は宙に浮かせた。
瞬時に鳥の形に変化したそれは、風を切るように少年の前へ躍り出る。
「へ?」
少年の顔面に羽を広げた鳥は、形を失ってただの水へと化してからぱしゃりとぶつかる。勢いも落としたため、大した衝撃にもならないだろう。
驚いた少年はぐら、と後ろ向きに倒れた。瞬時に受け身をしている辺り、雪に慣れたニクスの住人で間違いないはずだ。
「追いついたわよ。さぁ、盗んだ物を返しなさい」
にこやかな表情を貼り付けて仰向けの少年を真上から見下ろす。
初めて顔を見たが、ほっそりとして不健康そうな印象を受ける。意志の強そうな灰色の瞳が一瞬驚きに揺れ、それから生意気に睨み返してきた。
「やーだよーだ。金になるもん」
「高級品ではないのだけどね……。でもそれは大事な物なの。良いから返しなさい」
「女王様が持ってる物なんて全部金になるに決まってるだろー? 女王様が高級品だと思っていなくてもな」
「女王様……?」
怪訝な顔をしたソフィアに、少年は首を傾げる。
「あれ、違った?」
「……えぇ、そうね。私はシアルワの次期女王じゃないわ。私はそのお供、といったところね」
「ええええ」
がっかりしたように口を開け、瞬時に涙目になる少年に、ソフィアはふっと微笑みを零す。
「貴方、幸運ね。王妃になる方に直接手を出していたならどうなっていたことやら」
もちろん、ミセリアなら物を盗まれたとしても子どもに酷な罰は与えないだろう。よほど大切な物があるなら分からないが。まぁ、ないだろう。
これは単なる脅かしに過ぎない。この少年は物盗りの常習犯だろうから。
「……それにしても、そんな貧しいの? 身の危険を冒してまで王家関係者の持ち物を盗むなんて」
「王家だからだよ。盗めたら上々、盗めなくても俺たちが苦しんでいることをアピール出来るってね」
「苦しい……そうね。少し手荒な真似をしてしまったお詫びに話でも聞きましょう。ここじゃあ寒いし、せめて風が凌げる場所まで案内してくれないかしら。あぁそうそう、仲間がいたとしてもね、私から身ぐるみを剥がそうとしても無駄だから。そこだけはよろしくね」
腰に佩いた剣の柄を撫でる。見せつけるかのようにゆっくりと。
ごくりと息を呑んだ少年は、そろそろと起き上がる。しかめっ面はそのままな彼から差し出されたペンダントを受け取る。
走り回っている間振り回されていたペンダントだが、傷もなく無事だった。
ホッと息をついて再び首にかける。
「さ、とりあえず偽名でも良いから名前を聞きたいわ。私はソフィア。貴方は?」
「……ルプス」
「ルプスね。把握したわ」
ルプスはいかにも不満そうな表情を浮かべながら歩き出す。
騙しているような雰囲気はなさそうだ。ソフィアは数歩後ろを着いていく。
「……あのさ」
「何かしら」
「俺たちの住処、誰にも言うなよ」
「聞かせてくれる話によるわね」
「意地悪」
「貴方に言われたくないわ」
しばらく歩いて辿り着いたのは、郊外に位置する一軒家だ。街の中心部が色とりどりの布地に飾られている一方で、こちらは何もない。窓から建物の様子を窺えば、同じようにカーテンが閉じられているが、どう見てもボロボロで防寒には向いていない。その上、窓や壁にヒビが入っている家もある。これでは隙間風が入ってしまう。
ここは貧民が集まっている区域なのだろう。軽く観察しただけでそれが分かる。
ルプスが向かったのは、腐りかけた木の扉に“23”と掘られた家だ。
入ってみれば、明かりもなく薄暗い上にやはり寒い。
内装はほぼないに等しく、木箱がいくつかと薄汚れた毛布が何枚か。奥には長い間使われていないだろう薪ストーブ。それと、もう少しで溶けきってしまいそうな蝋燭が数本と焦げた木材の塊があちこちに転がっている。
「こっち」
ルプスは弱々しい光が差し込む一室へソフィアを通す。年間を通して雪が降るここは陽の光が弱いのだ。
「……兄ちゃん? 帰ってきたの?」
ソフィアが寒い部屋へ足を踏み入れた瞬間、小さな声が聞こえてきた。
その方向へ視線を向ければ、木箱の上でもぞもぞと動く何かがいる。くしゃくしゃの毛布から顔を出したのは幼い少女だ。年齢は五、六歳くらいか。
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