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3章 寂しがり屋のかみさま
14 寂しがり屋のかみさま
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***
「今まで悪かったね」
相変わらず何もない草原。優しい風が二人の髪を揺らす。
レイは横たわったままのレガリアを見つめ、唇を噛みしめる。
「なんで、こんなこと」
二人は心象世界と現実世界の出来事を共有している。だからレイは知っていた。レガリアが己の半身を食われたことも、現実の体は再生し始めていることも、その血でシャルロットの女神としての力を底上げしたことも。
しかし、現実の体が復活しかけているとは言っても。
レガリアの半身は――精神体は、光に融けて消えかけていた。
「多分、疲れすぎたんだ。神だ悪魔だと言われようと、僕は別世界におけるちっぽけな人間の一人に過ぎなかった。それが、限界を超える力を手に入れて、限界を越える使い方をしてしまったから後戻り出来ないところまで来てしまっただけ。それとも、これが……僕の我儘に対する罰なのかもしれないね」
「それは……」
「安心して。君たちの予定通り僕だけが消えるから。元々はその予定だったんだろう?」
「そうだけど。でも、勘違いはしないでほしい」
レイはすぐさま訂正する。
「今は違う。確かに以前は君を憎んでいた。殺したいとさえ思っていた。……でも死んで欲しいなんて今は思っていない……生きて一緒に罪を償ってほしかっただけなんだ」
「甘いね。そこが君の良いところなんだけどさ」
レガリアは残された腕を残し、レイの髪を梳る。
「今更あの世界に戻りたいなんて思わないけれど。でも、ひとつだけ覚えていることがあって……母上もこの髪色だったなって。ふと思い出したよ」
この世界における神――シュミネの因子の影響で髪色と瞳の色が変貌してしまっていただけで、本来はレイのような色彩を持ち合わせていたのだという。
懐かしきセピア色と空の蒼。
自分はもう持つことのない色彩。いつの日か引き剥がされて、その命の終わりだけ告げられた――それまで唯一自分を愛してくれていたヒト。その人と同じ色彩からゆっくりと手が離れていく。
もう二度と、戻れない色と時間。でももう良い。
奪われて、奪って、ただそれだけの人生だった。
目的の半分も達成出来なかったけれど、もうそれで良いと思う自分がいる。
離ゆく手を、レイがつかみ取る。
彼には苦痛しか与えてこなかったはずなのに、その手は憎しみによるものではない震えを伝えてきた。
「待って、いかないで」
「……あぁ、レイ。僕の半身。生まれてきてくれてありがとう。そしてごめん」
青かったはずの空が白んでいく。
金色の光が強くなり、青年の姿を見えなくする。
ぽた、とレガリアの消えかけた頬に熱い雫が落ちた。
そうか。
僕にも……僕のために泣いてくれるヒトがいたんだな。
***
「――イ、レイ」
目を覚ます。
ぼやけた視界に仄かに輝く彼女が映り込み、レイは安堵した。最後に見たあの痛々しい姿からは一転、美しいと素直に思う少女の顔にも同じく安堵の表情が浮かぶ。
「良かった。一生起きないかと……」
「約束したから。君の元に戻るって」
「うん。ありがとう、レイ。私も勝てたよ」
「さすがシャルロット、だね」
シャルロットに支えられつつ体を起こす。
周囲を見渡せば瓦礫の山が転がっている。元々は白かったであろうそれらは多分、神のゆりかごだったものだ。いつの間に崩れたのか、レイは聞かずにいた。ここまでの悲劇を象徴していた場所が崩れ去ったのだ、野暮なことは聞くまい。
「レイ」
シャルロットが目を眇め、そっと手を伸ばす。その白い指がレイの目元を拭う。
透明な雫がそこに付いたことに、レイは酷く驚いた。慌てて自ら目元を拭えば、自分の手にも熱い雫が付いている。
泣いていた。
気付いてしまえば、涙は止めどなく溢れ出てくる。
今までずっと、自分は涙の涸れた欠陥品だと思っていた。嬉しくても悲しくても、辛くても怒りに震えても決して出ることはないと思っていた感情の証。
自分にもそれがあったのだと……嬉しくなった。
「……レガリアが、俺に泣くことを教えてくれたんだ」
「そうなんだね。彼の事は許せないけど……そこには感謝しなきゃ、だね」
「うん。……うん」
刹那、二人の体から光が立ち上る。
まるで蛍のように揺蕩うその粒子はやがてどこか遠くへ消えていく。
レイとシャルロットが粒子が消えた方を向くと、明るくなり始めた森の中、木々の隙間から二人の影が見えた。遠くからでも分かる。自分たちとそっくりなシルエットの男女が、手を繋いで顔を見合わせて――そして、目を凝らそうと瞬きをした次の瞬間にはもういなくなっていた。
「ありがとう」
小さく呟き、レイがシャルロットの方を見ると目を見開いた。
光の消えた彼女の姿が少し、否、かなり変わっていたのだ。
白金の髪が艶やかな黒髪になっていた。彼女の兄たちを彷彿とさせる、僅かに赤みがかった懐かしい色。そして、その頬からは黒い痣が綺麗さっぱり消えている。
数瞬遅れてシャルロットもレイを見上げ、あっと声をあげた。
「シャルロット、髪が」
「レイ、永久の花が」
言いかけて、二人は同時に黙り込む。
どうやらレイの方にも変化があったらしい。レガリアが寄生させた永久の花が枯れ、塵となって消えていったようだ。特に痛みを感じるわけではなく、視界に花びらが映るまでそのことに気付かずにいたくらいだ。
「……私の中から、女神様が帰っていったみたい。ありがとう、だって」
「そっか。こっちもレガリアが――その、旅に出たみたいだ」
「二人とも、私たちから“永遠”を持って行ってくれたんだね」
指を何度も開いては閉じ、金色の花が出せなくなっていることに気づいてシャルロットはつぶやく。
もしかしたら、異世界の神子の血を取り込んだ代償として大神子としての全てを失ってしまったのかもしれない。しかし、同時に救済でもあった。
神子の呪いと永久の花。これからレイとシャルロットを待ち構えていたはずの恐ろしい時間が無くなった。これでもうただの人間になったのだと、証拠はないにせよ二人は確信していた。
「ねぇ、シャルロット」
「なぁに?」
「もう一度、お願いしたくて」
金色の朝日が空を染め上げていく。
照らされた愛しい彼女の凜とした顔はとても綺麗で。
守りたい。守られたい。ずっと一緒に居たいと、切に思った。
「永遠に、とはいかないかもしれない。途中でどうしてこんな約束をしたんだって投げ出したくなる日が来るかもしれない。それでも良い。それでも良いから、だから……」
「うん」
「俺と、一緒にいてください」
シャルロットの翡翠の瞳が眇められる。まるであの日、霊峰でレイの手を握ってくれた時のように。その時よりも遙かに力強く手を握り返し、シャルロットは大きく頷いた。
「もちろん。約束だよ、レイ」
長い夜が終わり、朝が来る。
少し遠くから名前を呼ばれて二人が振り返ると、これまでの旅路で色々と困難を抱えてきた仲間たちがこちらに駆け寄ってくるところだった。そこに精霊の姿はないようだが、彼らはきっと自らの役割を果たすために動き出しているのだろう。
「さ、行こう。私たちの帰るべき場所へ!」
「一緒にね」
神の呪縛から解き放たれた少年少女が揃って立ち上がり、覚束ない足取りながら楽しげに駆け出す。光に融けて消えた影達とは逆の方向に――二人の在るべき場所へ。
ただいま、とその一言をかけるために。
きっと永遠にはならずとも、ちっぽけな約束を果たすために。
久遠のプロメッサ 第三部三章 寂しがり屋のかみさま 完
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久遠のプロメッサ 終章 約束
「今まで悪かったね」
相変わらず何もない草原。優しい風が二人の髪を揺らす。
レイは横たわったままのレガリアを見つめ、唇を噛みしめる。
「なんで、こんなこと」
二人は心象世界と現実世界の出来事を共有している。だからレイは知っていた。レガリアが己の半身を食われたことも、現実の体は再生し始めていることも、その血でシャルロットの女神としての力を底上げしたことも。
しかし、現実の体が復活しかけているとは言っても。
レガリアの半身は――精神体は、光に融けて消えかけていた。
「多分、疲れすぎたんだ。神だ悪魔だと言われようと、僕は別世界におけるちっぽけな人間の一人に過ぎなかった。それが、限界を超える力を手に入れて、限界を越える使い方をしてしまったから後戻り出来ないところまで来てしまっただけ。それとも、これが……僕の我儘に対する罰なのかもしれないね」
「それは……」
「安心して。君たちの予定通り僕だけが消えるから。元々はその予定だったんだろう?」
「そうだけど。でも、勘違いはしないでほしい」
レイはすぐさま訂正する。
「今は違う。確かに以前は君を憎んでいた。殺したいとさえ思っていた。……でも死んで欲しいなんて今は思っていない……生きて一緒に罪を償ってほしかっただけなんだ」
「甘いね。そこが君の良いところなんだけどさ」
レガリアは残された腕を残し、レイの髪を梳る。
「今更あの世界に戻りたいなんて思わないけれど。でも、ひとつだけ覚えていることがあって……母上もこの髪色だったなって。ふと思い出したよ」
この世界における神――シュミネの因子の影響で髪色と瞳の色が変貌してしまっていただけで、本来はレイのような色彩を持ち合わせていたのだという。
懐かしきセピア色と空の蒼。
自分はもう持つことのない色彩。いつの日か引き剥がされて、その命の終わりだけ告げられた――それまで唯一自分を愛してくれていたヒト。その人と同じ色彩からゆっくりと手が離れていく。
もう二度と、戻れない色と時間。でももう良い。
奪われて、奪って、ただそれだけの人生だった。
目的の半分も達成出来なかったけれど、もうそれで良いと思う自分がいる。
離ゆく手を、レイがつかみ取る。
彼には苦痛しか与えてこなかったはずなのに、その手は憎しみによるものではない震えを伝えてきた。
「待って、いかないで」
「……あぁ、レイ。僕の半身。生まれてきてくれてありがとう。そしてごめん」
青かったはずの空が白んでいく。
金色の光が強くなり、青年の姿を見えなくする。
ぽた、とレガリアの消えかけた頬に熱い雫が落ちた。
そうか。
僕にも……僕のために泣いてくれるヒトがいたんだな。
***
「――イ、レイ」
目を覚ます。
ぼやけた視界に仄かに輝く彼女が映り込み、レイは安堵した。最後に見たあの痛々しい姿からは一転、美しいと素直に思う少女の顔にも同じく安堵の表情が浮かぶ。
「良かった。一生起きないかと……」
「約束したから。君の元に戻るって」
「うん。ありがとう、レイ。私も勝てたよ」
「さすがシャルロット、だね」
シャルロットに支えられつつ体を起こす。
周囲を見渡せば瓦礫の山が転がっている。元々は白かったであろうそれらは多分、神のゆりかごだったものだ。いつの間に崩れたのか、レイは聞かずにいた。ここまでの悲劇を象徴していた場所が崩れ去ったのだ、野暮なことは聞くまい。
「レイ」
シャルロットが目を眇め、そっと手を伸ばす。その白い指がレイの目元を拭う。
透明な雫がそこに付いたことに、レイは酷く驚いた。慌てて自ら目元を拭えば、自分の手にも熱い雫が付いている。
泣いていた。
気付いてしまえば、涙は止めどなく溢れ出てくる。
今までずっと、自分は涙の涸れた欠陥品だと思っていた。嬉しくても悲しくても、辛くても怒りに震えても決して出ることはないと思っていた感情の証。
自分にもそれがあったのだと……嬉しくなった。
「……レガリアが、俺に泣くことを教えてくれたんだ」
「そうなんだね。彼の事は許せないけど……そこには感謝しなきゃ、だね」
「うん。……うん」
刹那、二人の体から光が立ち上る。
まるで蛍のように揺蕩うその粒子はやがてどこか遠くへ消えていく。
レイとシャルロットが粒子が消えた方を向くと、明るくなり始めた森の中、木々の隙間から二人の影が見えた。遠くからでも分かる。自分たちとそっくりなシルエットの男女が、手を繋いで顔を見合わせて――そして、目を凝らそうと瞬きをした次の瞬間にはもういなくなっていた。
「ありがとう」
小さく呟き、レイがシャルロットの方を見ると目を見開いた。
光の消えた彼女の姿が少し、否、かなり変わっていたのだ。
白金の髪が艶やかな黒髪になっていた。彼女の兄たちを彷彿とさせる、僅かに赤みがかった懐かしい色。そして、その頬からは黒い痣が綺麗さっぱり消えている。
数瞬遅れてシャルロットもレイを見上げ、あっと声をあげた。
「シャルロット、髪が」
「レイ、永久の花が」
言いかけて、二人は同時に黙り込む。
どうやらレイの方にも変化があったらしい。レガリアが寄生させた永久の花が枯れ、塵となって消えていったようだ。特に痛みを感じるわけではなく、視界に花びらが映るまでそのことに気付かずにいたくらいだ。
「……私の中から、女神様が帰っていったみたい。ありがとう、だって」
「そっか。こっちもレガリアが――その、旅に出たみたいだ」
「二人とも、私たちから“永遠”を持って行ってくれたんだね」
指を何度も開いては閉じ、金色の花が出せなくなっていることに気づいてシャルロットはつぶやく。
もしかしたら、異世界の神子の血を取り込んだ代償として大神子としての全てを失ってしまったのかもしれない。しかし、同時に救済でもあった。
神子の呪いと永久の花。これからレイとシャルロットを待ち構えていたはずの恐ろしい時間が無くなった。これでもうただの人間になったのだと、証拠はないにせよ二人は確信していた。
「ねぇ、シャルロット」
「なぁに?」
「もう一度、お願いしたくて」
金色の朝日が空を染め上げていく。
照らされた愛しい彼女の凜とした顔はとても綺麗で。
守りたい。守られたい。ずっと一緒に居たいと、切に思った。
「永遠に、とはいかないかもしれない。途中でどうしてこんな約束をしたんだって投げ出したくなる日が来るかもしれない。それでも良い。それでも良いから、だから……」
「うん」
「俺と、一緒にいてください」
シャルロットの翡翠の瞳が眇められる。まるであの日、霊峰でレイの手を握ってくれた時のように。その時よりも遙かに力強く手を握り返し、シャルロットは大きく頷いた。
「もちろん。約束だよ、レイ」
長い夜が終わり、朝が来る。
少し遠くから名前を呼ばれて二人が振り返ると、これまでの旅路で色々と困難を抱えてきた仲間たちがこちらに駆け寄ってくるところだった。そこに精霊の姿はないようだが、彼らはきっと自らの役割を果たすために動き出しているのだろう。
「さ、行こう。私たちの帰るべき場所へ!」
「一緒にね」
神の呪縛から解き放たれた少年少女が揃って立ち上がり、覚束ない足取りながら楽しげに駆け出す。光に融けて消えた影達とは逆の方向に――二人の在るべき場所へ。
ただいま、とその一言をかけるために。
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