思い出した

春夏

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後部座席で泣き疲れて眠る壮と、その手を握る真。ルームミラーに映る2人に充の苦笑が洩れる。

「…いろいろとすまなかった」「いえ、壮の声が出るようになって良かったです」「もう2度と離さないから」「…そうしてやってください……壮があなたのことを忘れたことなんて1度もありませんよ」「…じゃあの時も」充が頷く。「壮を責めないでほしい」「わかってる。俺の為だと思って…」「事務所の方は?」「社長が謝ってきたよ」「…壮を頼みます」真は頷いて、寄りかかる壮の肩を抱いた。

充と壮が暮らす仕事場を兼ねたマンションの一室。「明日迎えに来る。荷物の準備しておいて」「…本当に大丈夫?」滑らかに出るようになった声で壮が尋ねる。「壮がいなきゃダメなんだ。壮は?」「言わなくたってわかるだろ」「わかるけど、壮の口から聞きたいんだ」「…一緒にいたい」真が壮を抱きしめる。隣の部屋からそれを眺めた充は小さく安堵のため息をついた。
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