始発バスは異世界行き

春夏

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1.異世界行きのバス

1.至福の時間

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「ぉはよーございまーす」
「おはようございます。今日も元気だね」
「まだ眠いよー」

いつも通りの始発のバス。いつもの運転手さんと挨拶を交わして席に座る。
次のバスでも高校には間に合うんだけれど、そうなるとバスも電車も混んでしまう。
突然の事故で両親と妹を亡くした私は、祖父母に引き取られてこの田舎で暮らすことになった。それが高校入学の10日前。前の家からは自転車で通える距離の学校だけれど、今はバスと電車を乗り継いで1時間半。
ようやく通学に慣れたころから運転手さんと言葉を交わすようになった。

「どうも」
私が乗るバス停から4つ、サラリーマン?のお兄さん。
私がなんとか寝坊せずに学校に行けるのはこの人のおかげだ。…そう、ホントにカッコいいんだよね!
始発のバスに乗るのはたいてい私達だけ。
月曜日にはお兄さんは乗ってこないし、運転手さんはたまに違う人の時もあるけれど、私にとってこの20分は至福の時間なのだ。

たとえ、お互いの名前さえ知らない仲だとしても。
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