ガルシア戦記

千山一

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第4巻 放浪の亡命者

第6章 新大陸へNo.1

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「ん?お主、帰ったのか?久しぶりじゃのう」
「……」

チャンドラは来て早々、不思議そうな顔をした。俺は皮肉を言って批判しているのか?それとも単に忘れてしまったのか?
あまりにも“イライラ”が止まらなかったが、真相が分からないので少し泳がせる事にした。
すると、奥から焦り気味のアゼルが走ってきて“ニコニコ”作り笑いをしながらコチラへ向かった。

「あっ!ガルシアさん!久しぶりですね!…今すぐに男同士の交流しませんか?」
「…俺は“ホ◯”じゃないぞ?」
「分かっとるわい!」

冷ややかな眼差しに対して、アゼルは思いっきりツッコミを入れた。すると、チャンドラは状況を理解したのか、チャンドラは青筋を立てながら“ニコニコ”を崩さなかった……。

「ほう、アゼルよ。まさか、ガルシアの件を忘れたことはなかろうなぁ…」
「いやいや、チャンドラ。そんなことはないよ!神に誓って覚えてた!いや、心の片隅にしまっていたんだよ!」

アゼルの必死な弁解はチャンドラの心を少し緩和したのか表情の顔を穏やかな顔にし、俺も少し“ホッ”としたように感じたが、隣の肩に乗ったシルバードラゴンが“ポツリ”と小さな声で呟いた。

「この夫婦、今日は荒れるぞよ…本当に凄いなぁ…表はニコニコしても裏では取っ組み合い……いや、一方的な殴り合いじゃ。すえ恐ろしいのう」

“いやいや、この夫婦は特殊だから!”と思わずツッコミを入れた。
そして俺はそのことが“キリがない!”と感じたが、注意深く観察をしているとチャンドラの女王としての振る舞いの影に怒りのオーラが一瞬だけど感じとってしまう…俺も“いたたまれない!”と思ってチャンドラの機嫌が損なわないように援護した。

「俺も誇張しすぎた。俺も謝るよ」
「ほう、援護とな?……まぁ、良い。夫婦の話し合いは後にして、お主の辿った経緯と説明をするが良い」

“どんだけ上か目線なんだよ……”と俺は思ったが“誤解されたら敵わん!”と思いキッチリ説明する。
“アレスに会うために砂漠の祠:ガァバに行ったのこと、アレスは3日以内にルジアム帝国に行き、解決し、サシル共和国に帰還すること”
それ以外に解決しなければならないが、チャンドラの機嫌があまり宜しくないので、今は黙っていた。

「……ほう、大まかは合っているが細かい所まで合っておらんぞ。たくっ、アレスめ、上手いこと、だし抜きおって……まずは…」

俺はチャンドラの説明に耳を傾けていた。
“アレスは砂漠の祠:ガァバで別れた後、すぐにコチラへ赴き、嘆悲しみ奇跡の魔法の説明し、見事成功したこと(本当は簡単に出来る)
目覚めたチャンドラはデッカい首飾りを身につけ、1年に1回はアレスに会いに行くこと。そして、1日1回は恥ずかしい儀式を執り行うこと”が本人の説明がなされた。

「……1年1回は能力が無くなるので会わないといけないけど…凄くにくいことだが、あとは遊びだな…しなくて良いよ」

俺はアレスのことを思い浮べる。
“あの性格だ。アレスのドSぷりのことを考えると全力で走っていれば“ギリギリ間に合うかどうか?”の所を狙っているはずだ。
それとアレスのような神っぷり……コレで信者が増えるぞ”
俺の予想は当たっていた。まだ、数日しか経っていないが確実に信者が増えている……“アレス様に会いに行こう!”という案が出ているくらいだ。

「アレスのことはムカつくがそれは置いといて、ソナタに大きなプロジェクトがある…」
「新大陸のことかのう?」

“そう俺はチャンドラの件についてゴタゴタに巻き込まれて言わなかったが、本来は“新大陸に行かせて欲しい!”ということを直談判に来たのだ。もちろん“王として行かせる訳にはいかない!”と言われるのが予想したが、どうしても行きたい!……まぁ、半分は王じゃないけどね。

「ん?知ってたのか?なら、話が早い!新大陸行ってみんかのう?」

“よっしゃ!チャンス!”俺は心の中でガッツポーズをした!だが、少しでも予算を多くするために交渉しなければならない……チャンドラのことだ。大盤振る舞いをするチャンスかもしれない。

「……どうした?ガルシアのことだ二つ返事で行くと思ったんじゃからのう…残念じゃわい」
「いやいや、行きます!行きますよ!」

俺は慌てて“行く!”という返事をした……チャンドラの交渉は1枚も2枚上手である。

「まだ不満はありそうじゃな?安心せい!サシル共和国は場所は貸しても船という本体はルジアム帝国のものじゃ。ルジアム帝国は予算があるから安心せい!」

チャンドラとの説明は俺が目指す理想と合致した。俺も“ニンマリ”と自然と頬が緩む。

「話が終わったかの?よし!決まりじゃ!アゼルよ。行くぞ」
「えっ…どこへ?」

アゼルは予想はしてたけど…いや、現実は信じたくないけど聞いた。

「どこって?夫婦一緒の話し合いじゃ❤︎」
「………」

“ギーーーーバダンッ”と乾いたドアが閉まっていた。もちろん、アゼルは死の宣告を受けたように黙って従うしかなかった……。
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