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第142話:そのあと

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「ん・・・」




「あ、起きたね」





シェリーはゆっくりとまぶたを開ける。



「ユウさん・・とシエラさん?ということは憑依が解けたのですね」





シェリーは自身の体を確認する。青白く透けて足がない、最初に会ったときと同じ霊体だ。





ふとシェリーはシエラに目をやる。服は着ておらず全身が体液にまみれており、今なお気を失ったままのその体を僕がきれいにしている途中だった。



「・・・・あっ!」




ぼんっ!と音でも聞こえてきそうなほど恥ずかしそうな顔をするシェリー。次の瞬間、恥ずかしさのあまりかそのまま霧散して見えなくなってしまった。



「あれ?シェリー?」







「す・・すいません!か・・かかかっ顔を合わせるのも恥ずかしく!」




声だけが部屋に響く。




(あはは・・・仕方ないよなぁ。初めてなのにあんだけ乱れちゃって、しかもお嬢様で聖女と呼ばれるほどに清楚だった女の子が。でもあれだけ怯えられたら、やっぱりスキルを使うしかなぁ・・・)




最初はスキルを使うつもりはなかったが、痛みと未知の性交への不安が感じて取れた僕は、初手で快感を与えて不安を吹き飛ばそうと思って結局弱点付与を使ってしまった。



入り口付近や処女膜のあたりを弱点にしてしまえば痛みはないだろうと思っていたけれど・・・ちょっと効きすぎたみたいだ。レベルが上がるのも困りものである。




「よしっ!」




シエラに服を着せると、姿は見えないがこの部屋にいるであろうシェリーに呼びかける。





「これで例の魔術は機能を失ったんだよね?」






「たぶん・・・・そうだと思います」




まだ恥ずかしがっているのだろうか。シェリーの言葉がいやに歯切れが悪い。




「地下施設とやらにいって確認してくるよ。場所を教えてくれないか?」





「あ!それでしたら私が案内しますよ」





僕は大丈夫、と首を横にふった。




「あんなところ、シェリーは近づきたくないだろう?それにシエラを一人で置いておくわけには行かないしね。シェリーは呪術が使えるみたいだからそばにいてくれれば安心だ」





「わ、わかりました。完全に魔術が沈黙したか確証がないので、どうかお気をつけて。地下施設の入り口で魔術の妨害を受けたらまだ機能していると思ってください。後はネクロスソウルの核となっている結晶体が起動していたらまだ安心はできません」





『結晶体』という言葉を聞いて僕はふと思い出す。




「あれ、そういえば結晶体には分離したシェリーの怨念がこもってるのだよね。機能を停止させたらシェリーの元に戻ってきちゃうんじゃ・・・」




「それは大丈夫だと思いますよ?」





「私の一部とはいえ完全に乖離してしまっていますし、私が生身の器であれば宿るために向かってくるかもしれませんが、所詮は本体である魂と切り離された唯の怨念ですから。擬似の器である結晶体が使えなくなれば消えてなくなると思います」





「ふーん、そういうものなのか」





どうやら機能を停止させようが破壊しようがシェリー自身に被害が及ぶことはなさそうだ。憂いもなくなったところで、僕はシェリーから聞いた地下施設の入り口を目指し、アインズワース邸を後にするのだった。
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