男爵令嬢アデリナの仇討ち

ぴぴみ

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滑稽

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「私、実は…全く殿下に興味がないのです。一方的に言い寄られて迷惑していたのですわ。ですから、皆様ご安心なさいませ。
私が、未来の王妃などになることは、決してありませんから」

そう言って、くすりと笑った。

周りは、ほっとすればいいのか、獣人ごときに馬鹿にされて怒ればいいのか、悩んでいるようだった。

あちこちで顔を見合わせている。

「な、何を言うんだ?アデリナ!
私を捨てないでくれーー!!」

無様にも私の足にすがり付く王子を足で蹴りつつ私は思う。

さすが、媚薬の原液。王子にとって私は運命の相手で、一生、私に囚われるのだろう。

いい気味だとは思うが、好きでもない男に言い寄られても、気色悪いだけだ。

その気持ちを隠さずに私は言う。

「汚い手で私に触らないでくださいます?
ほら、周りの方も手伝ってくださいませ」

いくら罵倒しても離れない王子に業を煮やした私は、王子をただのミノムシだと思うことにして、そのまま最後のショーを始めることにした。

時折、王子の顔を蹴りながら。

動けない周りの貴族どもを睥睨へいげいして私は、話し出す。

「そういえば、皆様、先程の葡萄酒はお気に召しました?私が腕によりを掛けてつくった薬が入っていますのよ…

効果が出るまで一日と少し。お愉しみくださいませ。私たちは同類になるのです」

「…どういう意味だ?」

勇気ある貴族が私に問う。

「どういう意味も何も。ただ獣人になるだけですわ」

「獣人に!?どういうことだ!?説明しろ!」

「あらあら、私にそんな態度をとってもいいと思って?つくったのも私なら元に戻せるのも私だけですのよ?」

「そ、そんな…」

周りの貴族が皆、蒼褪める。そこには、既に傀儡かいらいとしての役割しか果たせぬ王もいた。

「その娘を捕らえろ…!」

誰かが、命じた。

こうなることは、分かっていた。

獣人になる薬というのは全て嘘だ。
もちろん効果が表れるまでの時間についても。
そんなもの、つくれはしない。

今まで蔑んでいた者になってしまったという恐怖を一瞬でも味わわせたかった。
それは、今いる場所がガラガラと崩れだす程の凄まじい恐怖だろう。

嘘とは言え、全てのグラスに媚薬の原液が入っている。彼らは程なくして私を好きになるだろう。

皆、私の操り人形。
奴隷にするも、奴隷として売り飛ばすも私の思いがまま。

でも、なぜだろう?思ったより愉しくはない。

ほら。私を捕らえようとする者たちの前に貴族どもが立ちはだかる。もう薬が効き始めたのか。

アオイが私をうっとりと見つめる視線には笑ってしまう。
私はにっこり笑って彼女に告げる。

「みっともないわね。でも、安心して…。
私があなたを導いてあげる。
獣人専門の娼婦…それもいいと思わない?」

困惑する警備の者たち。
命令を取り下げる貴族。
その場で一人異質なものがいることに私は気がついた。

目が合う。

「─あなたは…」

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