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その日、私は酔っ払っていた。
「うぅー…あいつら…」
狐のぬいぐるみ─ウミは、ベッドの上にちょこんと置いてある。その名前通り、海のように深い蒼の石が胸元に飾られ、光を集めるように輝いている。
ウミは、私の声に気づいてかすぐに反応した。
『…大丈夫ですか?』
「ふふふ。たぶん~」
頭の中がふわふわとして、全てが曖昧だ。そして何より体が熱くてたまらない。上のパジャマのボタンを危うい手つきで外していく。
『風邪を引きますよ』
「いいのいいの~誰も心配なんてしないんだし…」
『僕は心配です』
「ほんと!?嬉しい~!」
ウミは優しいねと私は言ったが、優しいのはミクルの方だと言われてしまった。
いつも日々の細々としたことを話しているが、ちゃん返事が返ってくるので寂しくない。カタコトとはいえ、優しい思いやりを感じられるからかもしれない。
『彼のこと、どう思ってますか?』
「?だ…れのこと」
いきなり話が飛んだ気がしたが、忘れただけかもしれなかった。さっきまでの会話が思い出せない。
『彼氏としてレンタルされた…』
「あーあの。覚えてますよ~。確か日曜も、会う予定で…」
『元々僕は彼のモノだったので、気になってしまって…』
「なーるほど。クールな美形さんだなぁって…思っておりますよ~」
『どこかで以前会った覚えは?』
「???」
あんなキラキラした美形、一度見たら忘れない。不思議そうな私に気づいたのか、それきりウミがその話題に触れることはなかった。
頭にぽつぽつと浮かんだ思いのまま、口を開く。心の奥底にまだ未練があったのか、
元彼と話した取り留めのない会話が思い出されては消えていく。
首を振ると酔いが回ったのか、ぐわんと景色が揺れる。目を閉じ、ベッドに寄りかかる。
「…結構、好きだったのにな…」
それに対して返ってくる言葉はなく、私は眠気に抗うことなく力をぬいた。
▼
▼
▼
「─早くあんな男のこと…忘れろミクル」
だから、同時刻そんな呟きを残した男がいたなどと想像だにしなかった。
「うぅー…あいつら…」
狐のぬいぐるみ─ウミは、ベッドの上にちょこんと置いてある。その名前通り、海のように深い蒼の石が胸元に飾られ、光を集めるように輝いている。
ウミは、私の声に気づいてかすぐに反応した。
『…大丈夫ですか?』
「ふふふ。たぶん~」
頭の中がふわふわとして、全てが曖昧だ。そして何より体が熱くてたまらない。上のパジャマのボタンを危うい手つきで外していく。
『風邪を引きますよ』
「いいのいいの~誰も心配なんてしないんだし…」
『僕は心配です』
「ほんと!?嬉しい~!」
ウミは優しいねと私は言ったが、優しいのはミクルの方だと言われてしまった。
いつも日々の細々としたことを話しているが、ちゃん返事が返ってくるので寂しくない。カタコトとはいえ、優しい思いやりを感じられるからかもしれない。
『彼のこと、どう思ってますか?』
「?だ…れのこと」
いきなり話が飛んだ気がしたが、忘れただけかもしれなかった。さっきまでの会話が思い出せない。
『彼氏としてレンタルされた…』
「あーあの。覚えてますよ~。確か日曜も、会う予定で…」
『元々僕は彼のモノだったので、気になってしまって…』
「なーるほど。クールな美形さんだなぁって…思っておりますよ~」
『どこかで以前会った覚えは?』
「???」
あんなキラキラした美形、一度見たら忘れない。不思議そうな私に気づいたのか、それきりウミがその話題に触れることはなかった。
頭にぽつぽつと浮かんだ思いのまま、口を開く。心の奥底にまだ未練があったのか、
元彼と話した取り留めのない会話が思い出されては消えていく。
首を振ると酔いが回ったのか、ぐわんと景色が揺れる。目を閉じ、ベッドに寄りかかる。
「…結構、好きだったのにな…」
それに対して返ってくる言葉はなく、私は眠気に抗うことなく力をぬいた。
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「─早くあんな男のこと…忘れろミクル」
だから、同時刻そんな呟きを残した男がいたなどと想像だにしなかった。
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