とけい屋

水無月あん

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キャラメル

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家に帰ると、すぐに、紙袋の中から、キャラメルをひとつとりだした。

ものすごく小さくて、やわらかい。
透明のつつみがみをはがして、口に放り込んだ。

やさしい甘さが口いっぱいにひろがっていく。
美味しい……!

でも、小さすぎるせいか、あっという間にとけてなくなった。
ものたりない。

だから、もうひとつ、もうひとつ……。

気がついた時には、袋はからっぽ。
とけてしまうのが早いキャラメルだけれど、体の中にたまっていたイライラも、一緒にとけて消えてしまったよう。

だって、食べ終わって一番に思ったのは、ゆうすけのことだったから。
このキャラメル、ゆうすけにも食べさせてあげたいな……。


◇ ◇ ◇


次の日、ぼくは朝早く目がさめた。
今日は祭日で学校は休みだけれど、早く、ゆうすけに会いにいって謝りたかったから。

ぼくは、ごはんを食べたら、すぐに家を飛び出した。

そうだ、あのお店によって、キャラメルを買っていこう!

確か、こっちの道だったよね……?

うろうろしながら、やっと、それらしき道にでた。

あった! あのお店だ!

でも、あんなに静かだったお店が、なんだかにぎやか。
いりぐちの扉が開いていて、色々な人たちが忙しそうに出たり入ったりしている。

何かあったのかな……?

あわててかけよった。

開いたままの扉には、昨日と同じく「とけい屋」という看板はあるけれど、その下の「おかし、あります」という小さな張り紙はなかった。

中をのぞいていると、お店の中からエプロンをした人がでてきた。
若い男の人だ。

ぼくは思い切って、聞いてみた。

「あの、……ここにお菓子を買いに来たんですが、何かあったんですか?」

男の人が、一瞬、きょとんとしてから、
「お菓子を買いに? ここへ?」
と、聞きなおしてきた。

「はい、昨日ここで買っていったキャラメルが美味しかったから。また、買いに来たんです」

男の人は、首をかしげた。

「どこかと間違えてない? ここは、ぼくの祖母が時計屋をしていたんだけれど、店を閉めてからは、ずっと、空き家だったんだよ」

え……?

その時、作業着を着た人が、お店の中からでてきた。

「これらが中にあったものです。確認お願いします」

そう言って、男の人に小さな段ボール箱を手渡すと、また、お店の中へと入っていった。
ふたのあいたままの箱の中身がぼくにも見えた。

「あっ、これっ……!」

思わず、声がでた。

だって、箱の中には、見覚えのあるものが入っていたから。


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