6 / 7
写真
しおりを挟む
おそるおそる聞いたぼくに、男の人はフッと笑った。
「いや、それはない。ぼくのおばあちゃんは、幽霊になってまで働いたりしないよ。死んだら、まだ行ってない国に飛んで行くんだって、楽しそうに言ってたからね。それに、さっき、小さいおばあさんって言ったよね。でも、この時代の人にしたら、すごく背が高いんだ。……ああ、ほら、こんな感じの人だったから」
ダンボール箱の中から一枚の写真をとりだして、見せてくれた。
写真には、すらっとした女の人がうつっていた。
黄色のスカーフを颯爽と首にまき、サングラスをかっこよくかけている。
確かに、昨日、ぼくが見た小さなおばあさんとは全然違う人だ。
その女の人の足元には、灰色の大きな猫がすわっていた。
ん……?
なんだか、このシルエット、見覚えが……。
あっ! 昨日の小さなおばあさんに似ているんだ。
でも、猫だよ? ありえない……。
それに、あのおばあさん、しゃべってたじゃないか……。
ぼくがじっと写真を見ていると、男の人がのぞきこんできた。
「ああ、これは、ハチ。おばあちゃんが飼っていたんだ」
そういって、写真の中の灰色の猫を指さした。
ありえないと思いつつ、ぼくは頭の中で、この灰色の猫の頭に、黄色のスカーフをまき、大きなサングラスをかけさせてみた。
やっぱり、似てる……。
薄暗くて、ぼんやりとしか見えなかったけれど、灰色の服を着ているように見えたのが、灰色の毛だったと思うと、すべてがしっくりきた。
「あの、この猫、……じゃなくて、ハチ。今は、どこにいるんですか……?」
と、聞いてみた。
「それがね、おばあちゃんが死んだとき、いなくなったんだ……」
男の人が寂しそうに言った。
うーん……、ありえないけれど、言わずにはいられない。
「いや、それはない。ぼくのおばあちゃんは、幽霊になってまで働いたりしないよ。死んだら、まだ行ってない国に飛んで行くんだって、楽しそうに言ってたからね。それに、さっき、小さいおばあさんって言ったよね。でも、この時代の人にしたら、すごく背が高いんだ。……ああ、ほら、こんな感じの人だったから」
ダンボール箱の中から一枚の写真をとりだして、見せてくれた。
写真には、すらっとした女の人がうつっていた。
黄色のスカーフを颯爽と首にまき、サングラスをかっこよくかけている。
確かに、昨日、ぼくが見た小さなおばあさんとは全然違う人だ。
その女の人の足元には、灰色の大きな猫がすわっていた。
ん……?
なんだか、このシルエット、見覚えが……。
あっ! 昨日の小さなおばあさんに似ているんだ。
でも、猫だよ? ありえない……。
それに、あのおばあさん、しゃべってたじゃないか……。
ぼくがじっと写真を見ていると、男の人がのぞきこんできた。
「ああ、これは、ハチ。おばあちゃんが飼っていたんだ」
そういって、写真の中の灰色の猫を指さした。
ありえないと思いつつ、ぼくは頭の中で、この灰色の猫の頭に、黄色のスカーフをまき、大きなサングラスをかけさせてみた。
やっぱり、似てる……。
薄暗くて、ぼんやりとしか見えなかったけれど、灰色の服を着ているように見えたのが、灰色の毛だったと思うと、すべてがしっくりきた。
「あの、この猫、……じゃなくて、ハチ。今は、どこにいるんですか……?」
と、聞いてみた。
「それがね、おばあちゃんが死んだとき、いなくなったんだ……」
男の人が寂しそうに言った。
うーん……、ありえないけれど、言わずにはいられない。
0
あなたにおすすめの小説
瑠璃の姫君と鉄黒の騎士
石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。
そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。
突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。
大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。
記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
王さまとなぞの手紙
村崎けい子
児童書・童話
ある国の王さまのもとに、なぞの手紙が とどきました。
そこに書かれていた もんだいを かいけつしようと、王さまは、三人の大臣(だいじん)たちに それぞれ うえ木ばちをわたすことにしました。
「にじ色の花をさかせてほしい」と――
*本作は、ミステリー風の童話です。本文及び上記紹介文中の漢字は、主に小学二年生までに学習するもののみを使用しています(それ以外は初出の際に振り仮名付)。子どもに読みやすく、大人にも読み辛くならないよう、心がけたものです。
そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。
桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。
それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。
でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。
そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。
不幸でしあわせな子どもたち 「しあわせのふうせん」
山口かずなり
絵本
小説 不幸でしあわせな子どもたち
スピンオフ作品
・
ウルが友だちのメロウからもらったのは、
緑色のふうせん
だけどウルにとっては、いらないもの
いらないものは、誰かにとっては、
ほしいもの。
だけど、気づいて
ふうせんの正体に‥。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる