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マルクは見た
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ぼくは、ダンスが苦手だ。
なので、踊ることはせず、甘いものを片っ端から食べている。
王家主催だけあって、珍しいスイーツもいっぱいある。
はー、疲れた心が癒される…。
というもの、少し前、人だかりができていたので、のぞいてみたら、アデルとユーリ兄様とブルージュ国の第二王子がいた。
アデルにむかって、二人が微笑みながら、何かしゃべりかけている。
その様子を、女性たちが取り囲んで、うっとりと見ていた。
「本当に素敵なお二人よね…」
「アデル王女様が、うらやましいわ」
などなど、女性たちの声が聞こえてくる。
確かに、きらびやかすぎて、目をもっていかれる。すごい吸引力だ。
ユーリ兄様とはタイプは違うけれど、ブルージュ国の第二王子も美形。
しかも、微笑むと、甘い雰囲気が増して、…なんというか、胸やけしそうな感じだ。
しかし、ぼくは、長年の経験から、嫌な予感がびしびしとしてくる。
あの王子、ユーリ兄様と同類だ。
ほら、アデルも顔がひきつっている。
一人でも大変なのに、二人になったら…。
怖くて、ふるえがきた。
かわいそうに、アデル。強烈に癖のある人たちに好かれるカルマでも持ってるのかも。
あっ、アデルと目があった。
(ちょっと、たすけてよ!)
クチパクで、助けを求めてきた。
助けたいのは、やまやまだけど…。
(ごめん、ムリ)
ぼくもクチパクで、すぐに返した。
それを見た、アデルの顔。
長いつきあいだから、言いたいことは伝わってくる。
あきらめるのが早い、だよね。
でも、しょうがないよ。
小さいころから、あのユーリ兄様にかかわってきたんだよ。
これが、ぼくの生きるすべなんだ。
考えても見てよ。
ユーリ兄様だけでも太刀打ちできないのに、甘い仮面をかぶった、ややこしそうな王子までいるなんて。
二人の前にでた瞬間、ぼく、きっと、ごみくずにされちゃうよ…。
それにしても、まわりの女性たち。なんで、この二人が怖くないんだろう?
あの笑顔から黒いものが、あんなにもれだしてるのに…。
だいたい、物語の中でも、悪魔とか魔王って、美形だよね。
きれいな見た目で獲物を魅了するんだ。
まさに、あんな感じなのに。
ということで、アデルには悪いけど、そそくさと逃げ、甘いものを補給している最中だ。
が、あれ? なにか、あったのかな?
ダンスのフロアが騒がしい。
うん、嫌な予感がする…。また、あの人たち?
でも、ダンスは二人で踊るから、三人でもめることはないし。
怖いけど、気になるので、フロアに近づいた。
そして、女性たちの視線を追っていくと…。
げっ! なにしてんの、ユーリ兄様?!
ダンスをしながら、アデルの顔に自分の顔を近づけている。
もしや、キ、キ、キ、…してるわけではないよね。あー、びっくりした!
が、なんで、あんなに顔をひっつけるんだろう?
しかも、何度も顔を近づけるので、そのたびに、女性陣から悲鳴があがる。
ユーリ兄様が暴走してる…。
はじめてのライバル登場に、新たな扉が開いてしまったのかも。
今までも、アデルに近づこうとする男たちは沢山いたけれど、ユーリ兄様いわく、相手にもならない奴ばかりだそう……。
文字通り、瞬殺されていた。
アデルは自分がもてないと思ってるみたいだけど、ユーリ兄様が全部つぶしてきただけだからね。
が、今回ばかりは、ユーリ兄様と同等というか、同族というか、同じ魔族みたいな感じだしね。
焦ってるのかも。
ちなみに、ユーリ兄様はダンスがすごく上手で、いつもは、優雅で品のあるダンスをする。
が、その品がどこかにいってしまってるよ?!
しかも、色気があちこちからあふれだしてて、恐ろしいんですが。
ほら、アデルなんて真っ赤になってる。ほんと、気の毒に。
うわっ! 第二王子だ。
この国の貴族令嬢と踊っている王子が、すれ違いざまに、ユーリ兄様を笑顔のまま、すごい目つきでにらんでいる。
なんて、器用なんだ。
が、ユーリ兄様は見もしない。とろけるような視線で、アデルだけを見ているから。
そして、王太子様は、なにを笑ってるんでしょうか?
もともと、にこにこして、内心がよめない人だけれど、今、心底楽しそうなんですが…。
しかも、笑いがとまらなくなって、ダンスのパートナーの女性が不審な目で見てますよ。
みんな、のんびりした見た目にだまされているけれど、もしかしたら、一番危険なのは王太子様かもしれない。
はあー、なんだか、また疲れてきた。
甘いものでも食べてこよう。
なので、踊ることはせず、甘いものを片っ端から食べている。
王家主催だけあって、珍しいスイーツもいっぱいある。
はー、疲れた心が癒される…。
というもの、少し前、人だかりができていたので、のぞいてみたら、アデルとユーリ兄様とブルージュ国の第二王子がいた。
アデルにむかって、二人が微笑みながら、何かしゃべりかけている。
その様子を、女性たちが取り囲んで、うっとりと見ていた。
「本当に素敵なお二人よね…」
「アデル王女様が、うらやましいわ」
などなど、女性たちの声が聞こえてくる。
確かに、きらびやかすぎて、目をもっていかれる。すごい吸引力だ。
ユーリ兄様とはタイプは違うけれど、ブルージュ国の第二王子も美形。
しかも、微笑むと、甘い雰囲気が増して、…なんというか、胸やけしそうな感じだ。
しかし、ぼくは、長年の経験から、嫌な予感がびしびしとしてくる。
あの王子、ユーリ兄様と同類だ。
ほら、アデルも顔がひきつっている。
一人でも大変なのに、二人になったら…。
怖くて、ふるえがきた。
かわいそうに、アデル。強烈に癖のある人たちに好かれるカルマでも持ってるのかも。
あっ、アデルと目があった。
(ちょっと、たすけてよ!)
クチパクで、助けを求めてきた。
助けたいのは、やまやまだけど…。
(ごめん、ムリ)
ぼくもクチパクで、すぐに返した。
それを見た、アデルの顔。
長いつきあいだから、言いたいことは伝わってくる。
あきらめるのが早い、だよね。
でも、しょうがないよ。
小さいころから、あのユーリ兄様にかかわってきたんだよ。
これが、ぼくの生きるすべなんだ。
考えても見てよ。
ユーリ兄様だけでも太刀打ちできないのに、甘い仮面をかぶった、ややこしそうな王子までいるなんて。
二人の前にでた瞬間、ぼく、きっと、ごみくずにされちゃうよ…。
それにしても、まわりの女性たち。なんで、この二人が怖くないんだろう?
あの笑顔から黒いものが、あんなにもれだしてるのに…。
だいたい、物語の中でも、悪魔とか魔王って、美形だよね。
きれいな見た目で獲物を魅了するんだ。
まさに、あんな感じなのに。
ということで、アデルには悪いけど、そそくさと逃げ、甘いものを補給している最中だ。
が、あれ? なにか、あったのかな?
ダンスのフロアが騒がしい。
うん、嫌な予感がする…。また、あの人たち?
でも、ダンスは二人で踊るから、三人でもめることはないし。
怖いけど、気になるので、フロアに近づいた。
そして、女性たちの視線を追っていくと…。
げっ! なにしてんの、ユーリ兄様?!
ダンスをしながら、アデルの顔に自分の顔を近づけている。
もしや、キ、キ、キ、…してるわけではないよね。あー、びっくりした!
が、なんで、あんなに顔をひっつけるんだろう?
しかも、何度も顔を近づけるので、そのたびに、女性陣から悲鳴があがる。
ユーリ兄様が暴走してる…。
はじめてのライバル登場に、新たな扉が開いてしまったのかも。
今までも、アデルに近づこうとする男たちは沢山いたけれど、ユーリ兄様いわく、相手にもならない奴ばかりだそう……。
文字通り、瞬殺されていた。
アデルは自分がもてないと思ってるみたいだけど、ユーリ兄様が全部つぶしてきただけだからね。
が、今回ばかりは、ユーリ兄様と同等というか、同族というか、同じ魔族みたいな感じだしね。
焦ってるのかも。
ちなみに、ユーリ兄様はダンスがすごく上手で、いつもは、優雅で品のあるダンスをする。
が、その品がどこかにいってしまってるよ?!
しかも、色気があちこちからあふれだしてて、恐ろしいんですが。
ほら、アデルなんて真っ赤になってる。ほんと、気の毒に。
うわっ! 第二王子だ。
この国の貴族令嬢と踊っている王子が、すれ違いざまに、ユーリ兄様を笑顔のまま、すごい目つきでにらんでいる。
なんて、器用なんだ。
が、ユーリ兄様は見もしない。とろけるような視線で、アデルだけを見ているから。
そして、王太子様は、なにを笑ってるんでしょうか?
もともと、にこにこして、内心がよめない人だけれど、今、心底楽しそうなんですが…。
しかも、笑いがとまらなくなって、ダンスのパートナーの女性が不審な目で見てますよ。
みんな、のんびりした見た目にだまされているけれど、もしかしたら、一番危険なのは王太子様かもしれない。
はあー、なんだか、また疲れてきた。
甘いものでも食べてこよう。
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