(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

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第一章

幼児ではありません

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アイシャは、
「じゃあ、リリー、すぐに戻るから、ここにいてね。ほら、あそこ見て。フロアのすみにいる二人。仲がいいと評判になってる婚約者だそうよ」
と言って、一組の男女を目で示した。

「だから、リリー。ここから溺愛を観察しててね。もうすぐ、ラルフも戻ってくると思うけど。絶対、このフロアからはでないようにね、わかった?」
と、アイシャが、子どもに言うように念をおす。

「フフフ。これって、物語だと、まさに、このフロアからでて、ヒロインが危険にあう、お決まりのパターンよね!
でも、大丈夫。私はヒロインではなく観察者。なので、そのようには動きません。だから、安心して。アイシャ!」

ロイさんがプッとふきだした。

が、気にせず、アイシャにむかって、
「私はここで、溺愛観察に集中してるから。ゆっくり行ってきて!」
と、小さく手をふった。

ロイさんが、笑いながら言った。
「小さい頃から、他人に興味なしみたいな顔をしているアイシャのこんな姿が見られるとはねえ。しかも、ラルフもだろ。冷めた二人を過保護の保護者にするだけでもすごいのに、その変な趣味! 溺愛観察? なにそれ、おもしろいな。見た目とすごいギャップだよね」
そう言って、私をぎらぎらした目で見ている。

更に、
「いいなあ、このおもしろくって、かわいい生きもの。持って帰りたいなあ。飼いたいなあ。欲しいなあ。ねえ、アイシャ、俺にリリーちゃんをちょうだい…」
と、つぶやきながら、私に近寄ってくるロイさん。

ちょっと、怖いよ、この人! 不穏な言葉のオンパレードなんだけど?!

すると、アイシャが、さっと私の前に立ち、
「こら、変態! それ以上、リリーに近寄ると全部ばらすわよ。ほら、さっさと行く!」
と言って、私に手をふって、ロイさんを引き連れていった。

アイシャ、かっこいい! が、ロイさん。本当に王太子の側近なんだろうか?
国の未来が、なんだか不安になってきた…。

それにしても、アイシャとラルフは、私をどうやら幼児と思ってるぽいよね?

二人には、幼い頃から何度も言ったけど、前世は女子高生だったんだよ!
前世の女子高生+今15歳。

そう、私、実質、30歳以上なのだ! 
二人より私は1歳年下だけど、実は、二人よりお姉さんなんだよ。
あ、そうだ、ここんこと、二人に強調しとこ。

ではでは、次のターゲットは、アイシャの教えてくれた、あの二人ね。
観察スタート!
早速、テーブルから何かとって、食べ始めた二人。

ふむふむ。男性がとってあげてる。…が、ここからだと、ちょっと遠いな。
表情が良く見えないわ。

あー、そういえば、私もおなかすいたなあ。
そうだ、私も何か食べにきた感じで近づけばいいんじゃない。
そしたら、食べながら、会話も聞けるし、間近で観察できる! 
一石三鳥! ナイスアイデア!

ここにいて、って言われたけど、フロアからでるわけではないし、いいよね。
では、早速、目立たないように移動しようっと。

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