(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

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第一章

ついに報告

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「リリーから留学なんて言葉、聞いたことがなかったら、驚いちゃったわ。前から、ロジャン国に留学したかったの?」
と、エルザおばさまが、お茶を淹れてくれながら、聞いてきた。

「それが、思い立ったのは、一週間前なんです」

「え?! そんな最近決めたの? なにか、きっかけがあったの?」
と、驚いているエルザおばさま。

まあ、そうだよね。私ですら、こうなるなんて思いもしなかったんだから…。

「留学するなんて、本当に考えたこともなかったんです。一週間前、アイシャにロジャン国の図書館や書店の話を沢山聞いて、行ってみたいと思ったところで、短期留学をすすめられて。なんか勢い?みたいな感じで、行くことに決めたんです」

「なるほど…。さすがアイシャねえ。ラルフより、ずっと上手うわてだわ…」
エルザおばさまが、つぶやいた。

「え?」

「いえいえ、なんでもないの。続けて」
と、エルザおばさまが微笑む。

「実は、その日、アイシャに連れられて、王宮へ行ってたんですけど、自分があまりに子どもだなあ、と思わされることがあって反省して…。だから、しっかりするためにも留学してみようと! ほら、エルザおばさまや、ラルフにも甘えてばっかりだったし」

「そんなことないわよ! リリーはしっかりしてるわよ? お金を節約して、好きな本を沢山買い集めてるし」

ん? それは、しっかりしてるというのかな? ただ、好きなだけだよ…。

「それに、なんと、マクシミリアン先生のファンの方が経営している書店があるそうなんです。しかも、時々ご本人が来られて、ファンの集いがあるんですって! 
実は、これに参加したいっていうのも、大きな要因です!」

「えええ?! ほんと?! 私も行ってみたいわ!」
と、エルザおばさま。

「エルザおばさまも、マクシミリアン先生、好きですもんね」

エルザおばさまは、力強くうなずいた。

「リリーのおかげで、すっかりファンになったわ。…そうだわ! ファンの集いにあわせて、私もロジャン国に行こうかしら。一泊して帰ることは可能よね? うん、リリーにも会えるし、いいことづくめだわ。決めたわ! 私、会いに行くわね! なんだか、私、ワクワクしてきたわ!」
そう言って、エルザおばさまが、なんとも、楽しそうに笑った。

「うわ、嬉しい! 日程がわかったら、お知らせしますね! エルザおばさまに、留学中に会えるなんて、更に楽しみ!」

そこへ、ノックの音がして、執事さんの声。
「ラルフ様が帰られました。いかがいたしましょう」

「ここへ連れてきて」
と、エルザおばさまが答えると、すぐに、ラルフがやってきた。

部屋へ入るなり、私を見て、ちょっと驚いているのか、目を見開いた。

「リリー、来てたのか」

私は、うなずき、
「一週間ぶりだね、ラルフ」
と、私が言った。

良かった、今日は大丈夫だ。ラルフといつも通り、話せそう。

ということで、先日のことは、さらりと謝っておこう。

「そうだ、ごめんね。この前、王宮で変な態度とっちゃって。なーんか、自分が子どもっぽくて、自分でもびっくりしたわ。ということで、立派な大人になるため、そして、ラルフから、独り立ちするため、私、ロジャン国へ短期留学することにしました!」
と、はりきって発表する。

ラルフが固まった。

「ええと、ラルフ。…大丈夫かな?」
と、目の前で、手のひらをひらひらっとさせてみる。

エメラルド色の目が見開いたと思ったら、
「はあああ?! ロジャン国?! 俺から独り立ちってなんだ?! なんでそうなる?!」
と、ラルフが声を荒げる。

エメラルド色の目が、狂暴なほど鋭くなって、私を射抜く。
どうやら、怒ってるみたいだね?

留学をすると言ったら、アイシャには歓迎され、両親には喜ばれ、エルザおばさまにはさみしがられ、ラルフは怒ってる。
みんなそれぞれ違った反応だけど、ラルフは、なぜ、怒るのかな?

「落ち着きなさい、ラルフ」
エルザおばさまが、たしなめた。

いつも、ほわほわして、可愛らしいエルザおばさまとは思えない、きつめの口調だった。
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