44 / 108
第一章
どうするの?
しおりを挟む
エルザおばさまが、あきれたようにため息をついた。
「ラルフは、自分がどう見られるか、もっと気をつけて行動したほうがいいわね。貴族の社会は、好意的でない視線に常にさらされてるの。今回みたいに、あっという間に噂になるわよ」
「噂?」
「そう、あなたと、グラン国の王女が親密だという噂がながれてるそうよ」
「はあ?! なんで、そんな?!」
と、またもや、驚きの声をあげるラルフ。
「そりゃあそうでしょうよ。普段、令嬢たちに愛想のかけらもないラルフが、王宮に通い、王女のそばにいて、普通に接してたら、みんなの興味をひくでしょ」
「仕事だから、普通に親切にしただけだ…」
言い返しながらも、一気にトーンダウンしたラルフ。
「仕事だから、なんて、噂する人には関係ないわよね。せめて、常に、もう一人つけて、二人きりでいる状況を作らないようにしてほしかったわね…」
と、エルザおばさまが、ラルフにきつめに言った。
でも、ちょっと気になるのは、あの王女様だ。
ちらりと見ただけでも、相当ラルフを気に入っているように見えた。
ま、気になったことは、この際、放出しておこう。
だしきって、すっきりして、ロジャン国に行こう!
ということで、ラルフに言ってみる。
「でも、王女様は、ラルフが相当気に入ってたよね? 契約が終わったからって、このままですむのかな?」
と、聞いてみた。
「そんなんじゃないと思うが?」
「…あ、…でも…。うーん、やっぱりいい」
「なんだ、リリー。途中でやめるな」
と、ラルフ。
「そうよ、リリー。なんでも言ってやって! 言わないとわからないから」
エルザおばさまに促された。
そうだね。では、遠慮なく!
「ラルフは、相当鈍いと思う! どうみても、あの王女様はラルフに好意をもってるよ。それも、かなり好きだと思う。あのね、パーティー会場みたいなところで、はっきりとラルフに言いよってくる令嬢ばかりではないんだよ。
はっきり言わないけど、態度でまるわかりだった。
私は、そういう小説を読みまくってるから、鋭いの!」
ん? どうして、場がシーンとしたのかな?
エルザおばさまが、ぼそっとつぶやいた。
「なるほどね。ラルフもリリーも、自分のことに限っては鈍いということかしら」
そこへ、部屋をノックする音がして、執事さんの声がした。
「王宮より、ラルフ様に急ぎの書状が届いております」
ドクンと、心がなみうった。
エルザおばさまが、
「ここへ持ってきて」
と、声をかける。
「失礼します」
そう言って、執事さんが入ってきて、ラルフに書状を渡した。
すぐにひろげて、ラルフが目で読んでいく。
そして、手紙をぐしゃりとにぎりつぶした。
「何が書いてあったの? その封筒、王太子の紋章が入ってるわね?」
と、エルザおばさま。
「くそっ、コンラートのやつ。勝手なことを…」
一気に、ガラが悪くなるラルフ。
親戚とはいえ、王太子様だよ?
内容は、おそらく、王女様のことだよね…。
怒りにもえたぎっているラルフから、エルザおばさまが、くしゃくしゃになった手紙を奪い取り、読んだ。
そして、はーっとため息をついた。
「わがままな王女みたいね…。どうするの、ラルフ?」
「どうするもない。断る」
と、ラルフが、冷え冷えとする声で言った。
とりあえず、私も内容を聞いていいかな? 気になるよね?
と、おそるおそる聞いてみた。
「ええと、どうしたの…?」
言い淀むラルフ。かわりに、エルザおばさまが教えてくれた。
「4日後、グラン国の一行が帰る前にパーティーがあるんですって。王女のエスコートは王太子がする予定だったけれど、王女たっての希望で、ラルフにエスコートをしてほしいって言ってるそうよ。だから、打ち合わせも兼ねて、明日、王宮へ来るようにと書いてあるわ。しかも、王太子の命として。つまり、断れないってこと。
リリーの心配があたったわね」
4日後か…。私が、ロジャン国へ旅立つ前の日だ。
「ラルフは、自分がどう見られるか、もっと気をつけて行動したほうがいいわね。貴族の社会は、好意的でない視線に常にさらされてるの。今回みたいに、あっという間に噂になるわよ」
「噂?」
「そう、あなたと、グラン国の王女が親密だという噂がながれてるそうよ」
「はあ?! なんで、そんな?!」
と、またもや、驚きの声をあげるラルフ。
「そりゃあそうでしょうよ。普段、令嬢たちに愛想のかけらもないラルフが、王宮に通い、王女のそばにいて、普通に接してたら、みんなの興味をひくでしょ」
「仕事だから、普通に親切にしただけだ…」
言い返しながらも、一気にトーンダウンしたラルフ。
「仕事だから、なんて、噂する人には関係ないわよね。せめて、常に、もう一人つけて、二人きりでいる状況を作らないようにしてほしかったわね…」
と、エルザおばさまが、ラルフにきつめに言った。
でも、ちょっと気になるのは、あの王女様だ。
ちらりと見ただけでも、相当ラルフを気に入っているように見えた。
ま、気になったことは、この際、放出しておこう。
だしきって、すっきりして、ロジャン国に行こう!
ということで、ラルフに言ってみる。
「でも、王女様は、ラルフが相当気に入ってたよね? 契約が終わったからって、このままですむのかな?」
と、聞いてみた。
「そんなんじゃないと思うが?」
「…あ、…でも…。うーん、やっぱりいい」
「なんだ、リリー。途中でやめるな」
と、ラルフ。
「そうよ、リリー。なんでも言ってやって! 言わないとわからないから」
エルザおばさまに促された。
そうだね。では、遠慮なく!
「ラルフは、相当鈍いと思う! どうみても、あの王女様はラルフに好意をもってるよ。それも、かなり好きだと思う。あのね、パーティー会場みたいなところで、はっきりとラルフに言いよってくる令嬢ばかりではないんだよ。
はっきり言わないけど、態度でまるわかりだった。
私は、そういう小説を読みまくってるから、鋭いの!」
ん? どうして、場がシーンとしたのかな?
エルザおばさまが、ぼそっとつぶやいた。
「なるほどね。ラルフもリリーも、自分のことに限っては鈍いということかしら」
そこへ、部屋をノックする音がして、執事さんの声がした。
「王宮より、ラルフ様に急ぎの書状が届いております」
ドクンと、心がなみうった。
エルザおばさまが、
「ここへ持ってきて」
と、声をかける。
「失礼します」
そう言って、執事さんが入ってきて、ラルフに書状を渡した。
すぐにひろげて、ラルフが目で読んでいく。
そして、手紙をぐしゃりとにぎりつぶした。
「何が書いてあったの? その封筒、王太子の紋章が入ってるわね?」
と、エルザおばさま。
「くそっ、コンラートのやつ。勝手なことを…」
一気に、ガラが悪くなるラルフ。
親戚とはいえ、王太子様だよ?
内容は、おそらく、王女様のことだよね…。
怒りにもえたぎっているラルフから、エルザおばさまが、くしゃくしゃになった手紙を奪い取り、読んだ。
そして、はーっとため息をついた。
「わがままな王女みたいね…。どうするの、ラルフ?」
「どうするもない。断る」
と、ラルフが、冷え冷えとする声で言った。
とりあえず、私も内容を聞いていいかな? 気になるよね?
と、おそるおそる聞いてみた。
「ええと、どうしたの…?」
言い淀むラルフ。かわりに、エルザおばさまが教えてくれた。
「4日後、グラン国の一行が帰る前にパーティーがあるんですって。王女のエスコートは王太子がする予定だったけれど、王女たっての希望で、ラルフにエスコートをしてほしいって言ってるそうよ。だから、打ち合わせも兼ねて、明日、王宮へ来るようにと書いてあるわ。しかも、王太子の命として。つまり、断れないってこと。
リリーの心配があたったわね」
4日後か…。私が、ロジャン国へ旅立つ前の日だ。
28
あなたにおすすめの小説
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。
ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる