(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

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第一章

離して!

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「とりあえず、中に入って。パーティーが始まるから」
と、ロイさん。

そして、私の方をむくと、真顔になって、
「リリーちゃん、今日は本当に申し訳なかった。身内だからと、ラルフに甘えすぎた結果、リリーちゃんまで巻き込むことになってしまって…。
でも、来てもらって本当に感謝してる。今更だけど、王女には、何もさせないから。安心して、美味しいものでも食べて、楽しんでいって」
そう言うと、今度は、ラルフのほうをむいた。

「ラルフ。しっかり、リリーちゃんをエスコートして、王女に見せつけてね。彼女がラルフを、きれいさっぱり、あきらめられるようにね」

ロイさんの言葉に、ラルフが鋭い口調で返した。
「言われなくても」

アイシャが、
「はい、これ。おそろいの差し色になるでしょ。言っとくけど、ラルフのためじゃないからね! リリーのためだからね!」
と、真紅のチーフを、ラルフに渡す。
私のドレスとおそろいの色だ。

ラルフは、それを胸ポケットにさすと、
「悪いな、アイシャ」
と、言った。

ラルフは、
「じゃあ、リリー。行こうか」
そう言うと、私の手をとり、エメラルド色の瞳で私の顔をのぞきこむ。

またもや顔が近すぎて、心臓が、バクバクしはじめた。

「こら、近いわよ!」
すぐさま、アイシャの注意が入る。

が、ラルフは離れるどころか、私の手をぎゅっとにぎってきた。
ちょっと、ラルフ! 私の心臓がおかしくなるんだけど?!

思わず、ラルフをきっとにらむと、何故だか、微笑みかえされた。
涼しい美貌に甘さが混じり、すごい色気がもれだしている。

なんか変だよ、ラルフ?! それに、怖いよ、ラルフ?!

「エスコートするにしても、もうちょっと、離れなさい!」
と、怒るアイシャに、

「まあまあ、アイシャ。今日はラルフに任せてあげて? そして、アイシャのエスコートは、この俺にお任せを」
と、ロイさんが言った。

「いえ、別にいいわ。そんなことより、王女をリリーに絶対近づけないでよね?! 
これ以上、リリーを巻き込んだら許さないわよ。そんなことになったら、すぐさま、ロイの過去をばらしてやるから」

「ちょっと! だから、ほんと、それだけは、やめて?!」
ロイさんが焦ったように声をあげている。

が、そんな、アイシャとロイさんのやりとりも、ただただ聞き流している私。
というのも、今、私の頭はパニック状態だ。

だって、ラルフが私の手をにぎりしめて、離さないから。
手をがっちりとにぎりしめたまま、ラルフは私を連れて歩く。

そして、ついに、パーティー会場の入り口にきた。

「ちょっと、ラルフ! 手、離して? エスコートなんだから、軽く添えるだけでいいよね?」
と、私が言うが、

「ダメだ。今日は離さない。…こんなリリーを離せないし、離したくない」
と、ラルフがせっぱつまったように言う。

ラルフ、どうしたの?! いつも以上に過保護が爆発してるじゃない?!

と思ったら、プハッと、ロイさんが笑った。
「リリーちゃん、あきらめて。ラルフは、リリーちゃんから一時も離れたくないみたい。
本当なら、そんな姿、他の人に見せたくもないんだろうね。独占欲つよーい」
と、またまた、ふざけた様子をみせる。

また、ラルフに怒られるよ?と、思ったけど、ラルフは私を見たままだ。

「うん、俺の声、聞こえてないね」
と、ロイさん。

「こじらせてたのに、振りきったのか、変わり身がすごいわね…」
あきれた様子でつぶやくアイシャ。

というか、それより、この手どうにかして!
手汗もすごくなってきたし、はずかしくて、死にそうなんだけど?!

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