(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

文字の大きさ
103 / 108
第二章

朝から

しおりを挟む
手を叩きながら、満面の笑みで部屋に入ってきたのは、ジョッシュさん。
「皆様、おはようございます!」

うん、朝から、すごい声量……。

「そこで少し聞かせていただきましたが、おもしろいお話をされておられますね!」

「立ち聞き? ジョッシュ、趣味が悪いわよ」
と、不満そうに言うアイシャ。

すると、ジョッシュさんは、華やかに微笑んで言った。

「それは失礼いたしました。アイシャ様。ですが、あまりに奇妙なお話でしたので、つい、足が止まってしまいましてね。私は、この公爵家の別邸で住み込みで働かせていただいておりますが、初耳でしたよ。あの離れの話は」

「ほら、やっぱり、アイシャの嘘だろ。リリー」  
と、ラルフ。

「え、でも、ラルフ、昨日より疲れた顔をしてるよ? ほんとに、何かに憑かれたとかない……?」
自分で言って、ぶるっとした。

「おい、なんでそうなる? アイシャの嘘にひっぱられすぎだろ、リリー……。俺の顔が疲れて見えるとしたら、ここへ来るまで色々ありすぎて、一気に疲れがでただけだ」
と、ため息をつきながら答えたラルフ。

すると、いきなり笑い出したジョッシュさん。
みんなの視線が集中する。

「これはこれは失礼しました……。社交界で大人気のラルフ様。ご令嬢たちに言い寄られても一刀両断と噂で聞いております。確かに、泣かせたご令嬢たちの生霊が憑いていそうですよねえ? それに比べて、ジョルジュ様は、告白どころか、むやみに令嬢を近づかせるような隙さえ与えませんから、さすがです!」

きらきらとした目で、ジョルジュさんを称えるジョッシュさん。

「おい、適当なことを言うな。ジョッシュ」
と、いらだった声をあげたラルフ。

「いえ、適当ではございません。その可能性は多いにあるかと。リリアンヌ様。令嬢の恨みを買うような、隙ありのラルフ様より、そんな心配がみじんもないジョルジュ様のほうが、断然おすすめでございます」

「は? 勝手にすすめるな。リリー、ジョッシュの言葉は聞かなくていい!」
すかさず、反論するラルフ。

「まあ、でも、一理あるわね。ラルフのファンの令嬢たちに妬まれて、リリー、よく睨まれてるもの。その点、お兄様なら、令嬢たちも遠巻きで見るのが一番という感じだし、そういう心配はないわよね」
と、アイシャ。

「おい、アイシャ。リリーは、俺のせいで、にらまれてるのか?」

ラルフの眼光が鋭くなる。

私はあわてて言った。

「にらまれるって言うか、見られてるだけだよ。ラルフかっこいいから、一緒にいると目立つしね」

「なんと、お優しいいリリアンヌ様! 令嬢たちからいじめられているにも関わらず、ラルフ様に気をつかわれるなんて……!」

「え? いや、いや、私、全くいじめられてませんよ、ジョッシュさん!?」

あわてて反論する私に、ジョッシュさんは、よくわからない笑みを浮かべて、うなずいた。

「そんな必死にかばわれて、お可哀想に、リリアンヌ様……。ですが、ジョルジュ様とご一緒になれば、令嬢たちは永遠に黙りますから。どうぞご安心を」

ん? 永遠に黙る?
そっちのほうが怖いんだけど……。
 
すると、ジョッシュさんは、はっとしたように言った。

「そうそう、リリアンヌ様。さっきのアイシャ様の話に戻りますが、離れに、何の不信なところもございません。それに、特別なお客様が来られた時のために、去年、建てたばかりでして、まだ一度しか使っていないですからね。それに、生きている人間であろうが、死んでいる霊であろうが不審な者が、この屋敷に侵入することを、この私が許しません。だから、リリアンヌ様。安心して、滞在してくださいね」

「あ、……ありがとうございます、ジョッシュさん」

確かに、霊がいたとしても、霊のほうがジョッシュさんを怖がりそうだよね……。


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

処理中です...