(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

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第二章

あるわけある?

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「でも、ジョッシュ。なんで、あの特別な離れにラルフを泊まらせたの? あそこを使う時は、国賓級のお客様だけでしょう?」
と、アイシャがジョッシュさんに聞いた。

「ええ、そうです。あの離れにお泊りになったのは、今のところ、私用で来られていた王妃様だけです。今回、ラルフ様に泊まっていただいているのは……」

「私の指示だ」
そう言いながら、部屋に入って来たのは、ジョルジュさんだ。

「え? お兄様が指示したの? 何故?」
と、アイシャが不思議そうに聞いた。

が、ジョルジュさんはそれには答えず、まっすぐに、私に視線をあわせた。

「リリアンヌ嬢、おはよう」

え? 私を名指し……?  

「おはようございます、ジョルジュさん」

とまどいつつも、ご挨拶を返す。

「ちょっと、お兄様? 私の質問を無視して、何故、リリーにだけ挨拶してるのかしら?」

アイシャが不満げな声をあげる。

「そうしたいと思ったからだが? それで、アイシャの質問は、ラルフに離れを使わせた理由だったな。リリアンヌ嬢からできるだけ離れた部屋を用意したら、あの部屋だった。それだけだ」

「はあ!? なんだ、それは!?」
と、声をあげたのはラルフ。

が、ジョルジュさんは、そんなラルフを無視して、また、私に視線を向けて聞いてきた。

「リリアンヌ嬢、ゆっくり休めただろうか?」

「あ、はい! 素敵なお部屋で、ゆっくり休ませていただきました」

「あの部屋は気に入ったのか?」

「はい、もちろんです! すばらしいお部屋ですね!」

私が興奮気味に答えると、ジョルジュさんの顔がふっとゆるんだ。

もしや、笑ってらっしゃる? と、思った途端、ジョッシュさんが感嘆したような声をあげた。

「はああ、ジョルジュ様の笑顔が見られるなんて、朝からなんという幸運! 私の寿命がのびました! リリアンヌ様、本当にありがとうございます! そうだ。あのお部屋、リリアンヌ様専用にいたしましょうか、ジョルジュ様?」

「ああ、それがいいな。そうしてくれ」

ん? 私専用の部屋? なんで? あ、もしや、冗談……?

「あの……、おふたりとも、真顔なのでわかりかねるのですが、今のは冗談なんですよね……?」
と、恐る恐る確認する私。

「ああ。質の悪い冗談だな。まるで笑えない」

苦々しい口調で言ったのは、隣の席に座っているラルフ。

ラルフくん、爽やかな朝には似つかわしくない声がでてるよ……。

そんなラルフの真ん前の席に、挑むように座ったジョッシュさん。

「まさか、本気も本気ですよ。ねえ、ジョルジュ様?」

すると、ジョルジュさんは、私の前の席に座りながら答えた。

「ああ、もちろん、本気だ。ドラヤキのため、リリアンヌ嬢は、ここへ通ってくれると言った。基本は寮へ帰るとしても、帰れなくなることもあるかもしれない。専用の部屋を用意しておくのは当然だ」

「は? 帰れなくなることもある? あるわけないだろう!?」

ラルフの口調が荒れてきた。

すると、ジョッシュさんが、ラルフの方へ、身をのりだして反論した。

「あるわけあるに決まっております! 急に嵐になり帰れなくなるとか、急に馬車が全て動かなくなるとか、急にドラゴンが現れて道をふさぐとか、急に吸血鬼が町中にあらわれて帰れなくなるとか、色々あるでしょう!」

「ドラゴンに吸血鬼って……。ジョッシュ、物語が好きなのはわかるけれど、それはさすがにないわ」
と、あきれたように言ったアイシャ。

え!? ジョッシュさん、物語が好きなの!? つまりは、本好きのお仲間?!
思わず、そこに反応してしまう。

が、ジョッシュさんはラルフだけを見ている。

「他にも、急に帰れなくなる理由としては、リリアンヌ様が帰りたくないと言われるとか、ジョルジュ様が帰したくないと言われるとか……。これらは、大いに、あり得ると思いませんか? ねえ、ラルフ様」

そう言って、ジョッシュさんが不敵な笑みを浮かべた。

はああ!? ちょっと、ジョッシュさん!? 
大人な雰囲気をまき散らせながら、なんてことを言うの!?
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