6 / 6
第六話
しおりを挟む
───図書室───
「さっきの人たちなんなの?ストーカーとか言ってたけど」
「気にしないでください。ただのしょうもない噂なので」
「そうだよね。私がストーカーなんて呼ばれる理由なんかないもんね」
「はい、そうですよ。まったく、あいつらは───」
「でも、これからもあれが続くのなら、会わない方がいいのかもしれないね。わたしたち」
(もしここで会わなくなれば、早々に離別の危機?!いやいや、それはないな。……なら、メールや電話でやり取りする……?)
「じゃあ、ケータイのアドレス交換しませんか?そういえば、してなかったような」
「うん、そうだね」
持っていたノートの切れ端に、アドレスを書き込んでいく。
「はい、どうぞ」
「じゃあ、こちらも」
アドレスの交換を終えたころに、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「また明日ね」
なぜか少し悲しそうに手を振る葵さん。
「はい。明日は負けませんからね!」
(明日のビブリオバトルでは絶対に勝たなければならない……。)
教室に帰るなりすぐにヤツが問い詰めてきた。
「おーい。大丈夫だった?ケガはねぇか?www」
「だから、さっきから何なんだよ!そーんなにかまってほしいのかよ」
「いいや、俺はお前を心配してるだけなんだよ」
「は?」
「なぁーんてねwww」
「……」
(悔しいが、俺が引き受けて、この災難から葵さんを遠ざけなければならない。しかし、そうなると、明日の闘いはどうなるんだろうか。)
───翌日───
「やっぱり、今日は辞退しよう。お互いのために」
───図書室───
「え~っ?!晴人君が休みだって?!どうしたんだろう。もっ、もしかして……」
「何か知ってるの、あおい?」
「ううん。何もしらないよ」
「ほんとに?」
「ほんとだってー」
「じゃあ、テスト勉強でもしてるのかなぁ。前回のテストでは学年最下位だったらしいし」
「えっ?なんでなぎさがそれを知ってるの?」
「一年の間じゃ結構有名な話だよ」
「ふーん……じゃあ、私と晴人君の噂が一年の間で広まっているっていうのも知ってるの?」
「もちろん知ってるよ」
「その噂は、誰に聞いたの?ねぇ!?」
「誰も何も、昨日図書室で二人でそれについて話してたじゃん。二人で」
「えっ?見てたの?」
「うん」
「そっか……。で、それについて相談したいんだけど……」
「わたしからのアドバイスとしては、もう、晴人君と会わないことね」
「えっ……、それって───」
「そう。あなたが読書会を辞めることね」
「……、そうね。そうするしかないのかな。でも、読書会を辞めても、ずっと友達でいようね。なぎさ……」
「当たり前よ」
───翌日───
その次の日の昼休み、なぜか暗い雰囲気が流れている図書室へと向かった。
(ん?何だろう、この感じ。なんだか悪い予感がする……)
そして、欲しい本を取ろうとするが、
「っと。あの本届かないなぁ。さて、どうしようかな」
(まただ。ってことは、もしかしたらこの前と同じように───)
と思って期待しつつ振り返ってにみたが、
「……。誰もいないか。それじゃあ、この本はまた今度かな」
そう言って、教室へ帰ろうとして、図書室を出るときに、もう一度振り返ってみたが、やはり静寂に包まれた、暗い海の底のように感じられた。
そして、帰宅後───。
「さっきの人たちなんなの?ストーカーとか言ってたけど」
「気にしないでください。ただのしょうもない噂なので」
「そうだよね。私がストーカーなんて呼ばれる理由なんかないもんね」
「はい、そうですよ。まったく、あいつらは───」
「でも、これからもあれが続くのなら、会わない方がいいのかもしれないね。わたしたち」
(もしここで会わなくなれば、早々に離別の危機?!いやいや、それはないな。……なら、メールや電話でやり取りする……?)
「じゃあ、ケータイのアドレス交換しませんか?そういえば、してなかったような」
「うん、そうだね」
持っていたノートの切れ端に、アドレスを書き込んでいく。
「はい、どうぞ」
「じゃあ、こちらも」
アドレスの交換を終えたころに、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「また明日ね」
なぜか少し悲しそうに手を振る葵さん。
「はい。明日は負けませんからね!」
(明日のビブリオバトルでは絶対に勝たなければならない……。)
教室に帰るなりすぐにヤツが問い詰めてきた。
「おーい。大丈夫だった?ケガはねぇか?www」
「だから、さっきから何なんだよ!そーんなにかまってほしいのかよ」
「いいや、俺はお前を心配してるだけなんだよ」
「は?」
「なぁーんてねwww」
「……」
(悔しいが、俺が引き受けて、この災難から葵さんを遠ざけなければならない。しかし、そうなると、明日の闘いはどうなるんだろうか。)
───翌日───
「やっぱり、今日は辞退しよう。お互いのために」
───図書室───
「え~っ?!晴人君が休みだって?!どうしたんだろう。もっ、もしかして……」
「何か知ってるの、あおい?」
「ううん。何もしらないよ」
「ほんとに?」
「ほんとだってー」
「じゃあ、テスト勉強でもしてるのかなぁ。前回のテストでは学年最下位だったらしいし」
「えっ?なんでなぎさがそれを知ってるの?」
「一年の間じゃ結構有名な話だよ」
「ふーん……じゃあ、私と晴人君の噂が一年の間で広まっているっていうのも知ってるの?」
「もちろん知ってるよ」
「その噂は、誰に聞いたの?ねぇ!?」
「誰も何も、昨日図書室で二人でそれについて話してたじゃん。二人で」
「えっ?見てたの?」
「うん」
「そっか……。で、それについて相談したいんだけど……」
「わたしからのアドバイスとしては、もう、晴人君と会わないことね」
「えっ……、それって───」
「そう。あなたが読書会を辞めることね」
「……、そうね。そうするしかないのかな。でも、読書会を辞めても、ずっと友達でいようね。なぎさ……」
「当たり前よ」
───翌日───
その次の日の昼休み、なぜか暗い雰囲気が流れている図書室へと向かった。
(ん?何だろう、この感じ。なんだか悪い予感がする……)
そして、欲しい本を取ろうとするが、
「っと。あの本届かないなぁ。さて、どうしようかな」
(まただ。ってことは、もしかしたらこの前と同じように───)
と思って期待しつつ振り返ってにみたが、
「……。誰もいないか。それじゃあ、この本はまた今度かな」
そう言って、教室へ帰ろうとして、図書室を出るときに、もう一度振り返ってみたが、やはり静寂に包まれた、暗い海の底のように感じられた。
そして、帰宅後───。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる