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第五話
しおりを挟む「好きっていいったらすきなの!」
「……、……オッケーですけど……」
「ほんとに?!」
「でっ、でも一つだけ条件があります」
「「じょっ、条件?!」」
(いや~、ふたりしてそんな驚かれても、そんな大したことじゃないんだが……)
「はい。それは、僕と渚さん以外に甘えた態度を見せないこと、です」
「なぁんだ。そんなこと、言われなくてもわかってるよっ」
「じゃあ、改めてよろしくお願いします」
「は~い!よろしくねっ!」
こんな感じで、俺の読書会で過ごす初めての日曜日は終わっていった。
───翌日───
(今日も葵さんいるかな~。)
今日は、いつもより早く昼食を済ませてある。少しでも早く会いたかったからだ。葵さんに。そして図書室に行くと予想通り───
「って、はやっ!もう来てたんですか?」
を上回るはやさで来ていた葵さんは、
「し~っ。図書室では静かに」
「はい……。ところで葵さんは、何の本を読んでるんですか?え~っと……『被疑者Yの分身』って、えっ?!僕もこの本今持ってますよ!ほら!」
「これは家から持ってきたものだよ。どうしても読みたかったから」
「えっ、じゃあなんで教室で読まないんですか?」
「も~うっ。晴人君は鈍感だねぇ~」
(気づきやすいほうですけど~っ!)
「あっ、あぁ。そういうことだったんですね。なるほど~」
という間にチャイムが鳴ってしまったので、
「晴人君、ばいば~い。また明日ね~」
「は~い」
(このやり取り、なんか照れくさいなぁ。)
───四日後───
「やべ~っ!ビブリオバトルは明後日なのに、何も思いつかね~っ!くっそ、今日は徹夜だ徹夜~っ!」
───翌日───
「よしっ、これはいけるぞ」
そして登校後。俺が教室へ入ると、
“ザワザワ”
「あれってもしかして───」
「多分そうだよ───」
「え~、ないわぁ。ありえない───」
などと、俺(?)に対して、冷たい視線と共に、謎の声が浴びせられた。
(ん?俺、なんかしたっけ?もしかして、葵さんとのことが噂になって───)
と、ぼーっとしていると、突然後ろから、
「よう!調子はどうだい?変態」
と、ミスター欠点(通称 アホ)が声をかけてきた。
「へ?変態?は?俺なんかした?」
唐突の質問に、平凡な答えを返す。すると、挑発するように、
「俺らはしってるぜ~。ここ一週間のお前のこと。二年の杉浦さんにくっついて、ストーカーまでしてるってことをよぉ」
「スッ?は?ストーカーなんかしてねぇし」
「じゃあ、ストーカーされてるのか?クックック」
「いや、どっちでもねぇから!それに、杉浦さんって誰だよ。そんな人知らねぇし」
「でも顔は赤いんだな」
「……」
俺はそのまましばらく固まったまま思考を巡らせていた。
(俺と葵さんの関係はいったいどこから流れた?っていうか、ストーカーって、どこ情報だよ、それ。くそっ。これから葵さんと会いにくいじゃん……。誰がこのアホに告げ口したんだよ……。)
その後の授業ももちろん頭に入ってくるわけもなく、迎えた昼休み。
「どうしようかなぁ……。図書室に行って、葵さんに聞いてみるか……」
と教室から出て図書室へ向かおうとしていた、そのとき。
「やっほ~。晴人く~ん!さぁ、はやく行くぞ~っ」
と突然現れた葵さん。そして当然のごとく、
“ザワザワ”
「あれが噂の───」
「やっぱり本当だったんだ───」
ざわめく教室内。まずい、と感じた俺は、
「そ、そうですね。行きましょうか」
とクラスメイト達を無視して行こうとした時、ミスター欠点が、
「あっ!ストーカー女だ!ストーカーの現場を目撃!!」
とはやし立てる。
「えっ、なになに?」
「ストーカーだってよ」
「まじか」
集まり始めた野次馬の群れを縫うようにして、葵さんの手を引っぱって行く。図書室に向った───。
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