快晴の葵空と夕焼け~TOWN編~

東雲 周

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第四話

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 「ゲーセンへレッツゴー!!」
 のかけ声とともに走り出した葵さんについていき、3階のゲームセンターへ直行。
 「いや~、久しぶりのゲーセンはテンションがあがるなぁ」
 「あら、晴人君ってゲームとか好きなの?けっこう意外だわ」
 「じゃあ、私とが合うね!」
 (意外って。俺、自分でもゲーム好きそうな顔してると思うんだけど。渚さんたちの目にはそうは映らなかったってことか。じゃあ、いったいどんな風に───)
 「ところで、晴人君はなんのゲームが好きなの?」
 「う~ん、主にリズムゲーム全般と、シューティングゲームとかですかね」
 「よっしゃあ、じゃあ、みんなで『アレ』しようよ!」
 と葵さんが指さしたのは、迫りくるゾンビを二人で協力して倒していく、いわゆる脱出ゲームである。
 「でもあれって、二人用だった気がするんですけど」
 「なら私は遠慮しておくわ。二人で楽しんで。私は横から見ておくわ」
 「……、もしかして渚、ビビってんの?可愛いわね~」
 「うるっさいわね!ビビッてなんかないし!ただ、二人に楽しんでほしかっただけで……」
 「じゃあ遠慮なく楽しませてもらうね。レッツプレイ!!」
 “ゲームスタート”
 「あれ?なかなかゾンビ出てこないね~。……って、きゃあああっ!びっ、びっくりしたぁ」
 「……あの~、びっくりしたからって抱きつかないで撃ってもらえますかね」
 「……うん。じゃあ、手、ぎゅって握らせてくれる?」
 「は、はぁ、いいですよ」
 と手を差し出すなり、「ぎゅ~っ」と強く握ってくる葵さん。
 (こういうところは可愛いんだけどなぁ……)
 そのとき、
 「きゃーっ!」
 と突然後ろから声がしたので見てみると、
 「びっ、びっくりしたぁぁ……」
 と青ざめた顔で画面を見つめている渚さん。
 (もしかして本当にこういうのが苦手だったのか?こっちの方が意外だなぁ。普段大人な印象があっただけに。)
 と画面から目を離してよそ見しているうちに、
 “ゲームオーバー”
 「あ~ぁ、負けちゃったぁ~。でもドキドキして楽しかったね~」
 「はい。いろんな意味ですごくドキドキしました」
 「ん?まぁいっか。ってあれ?なんで渚は泣きそうになってるの?あ~っ、もしかして晴人君のこと、やきもちやいてる?なんちゃって」
 「や、やいてないし!ちょっとゲームが怖かっただけだから……」
 「へぇ~。……じゃあ、最後にクレーンゲームしようよ!」
 「「はーい」」
 (ん?もしかして、渚さんも俺に?三角関係??んなわけないか……。)

 そしてやってきたのは、たいていの女の子が好きそうな、大きなぬいぐるみが景品のクレーンゲーム、ではなく、お菓子がでっかい箱に詰められているものが景品のクレーンゲームだった。葵さんには俺の「たいてい」は通用しないということだろうか。
 「じゃ~んっ!これが私のオススメの台、題して『わしづかみゲーム』なのだ~っ!コレで、晴人君のハートをわしづかみにするのだ~っ!はっはっは~!!」
 (まじか。そうきたか。マジでこの人の思考は読めん。読めないっ!)
 俺は自分でもわかるくらい赤面しているらしく、
 「めっちゃ照れてんじゃん。これは、葵にベタ惚れしたな」
 と渚さん。
 「いやぁ~。そんなの恥ずかしいですよぉ~」
 と葵さん。
 「……」
赤面状態で硬直する俺。
 「絶対につかみ取って見せるぞ~っ!」
 意気込んだ葵さんが数回トライしてみたが、結局取れなかったので、
 「僕、ちょっとだけやってみてもいいですか?」 
 「どーぞどーぞ。取れるもんならつかみ取ってみなさい、私のハートっ!!」
 「……。じゃあ、とりあえず一回目……」
 ボタンを押すとアームが動いた。慎重に、狙いを定めて、横からも確認して、
 「よーし、とれるかなぁ……」
 “ガコン”
 見事一発でゲットしてしまった。
 「よっしゃー、ゲットだぜ!」
 「……。くっそ~、私のハート、わしづかみにされた~っ!この私が晴人君のものに……」
 「それ、どんな告白の仕方なの?まぁ、葵らしいっちゃらしいけど……」
 「えっ?は?えっ?」
 突然の、しかも謎の告白(?)をされて動揺しまくる俺に、
 「で、晴人君はどうすんの?オッケー?それともノー?はっきりしなさいよ」
 とたたみ掛ける渚さん。
 「えっ、あっ、いやぁ、まだ会ってから数日しかたってませんし、もう少しお互いのことをよく───」
 「好きっていったらすきなの!」

~次回予告~
 突然の告白、それを推し進める渚さん。しかし、その裏の想いとは───?
~続く~
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