ラプラスの悪魔

抹茶氏

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一章【魔王勇者編】

勇者再び

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「落ち着いたかい」
「…うん。でも私はどうして、いや、この身体は私の知らない能力があるってことだね」
一度死に、ある出来事がきっかけで生き還った私。
「私の能力…」
「これからだけど、その能力で君は半永久的に死なない身体ということがわかった。私は時間がどうのこうのとかさっぱりだから、君が死ぬと時間が戻って生き還るのとはわけが違う。このことはまだアダムは知らないはずだ。それに私の予想だが時間を戻す能力の持ち主が君の周りにいる可能性がある」
「あっそれなら心当たりがあります」
文化祭のときに時間が戻った時点はあのカメラのシャッター音がおそらくきっかけになっていると思う。写真を撮られたと思って振り返っても誰もいなかったりと不思議に思っていた。
「なるほど、確かにそれは…学校内か、その場合私は手を貸す事が出来ない。だから、学校内は君が調べてくれ。…ちょっとここに長居し過ぎた。もう出なくては、そうだ私の名を教えておくよ。私の名はエルエル、一応君の味方だ」
そう言って天使エルエルは窓から出ていった。
結局私、若月時雨はーーーー。まだ完全じゃない。これから少しずつ取り戻していくんだ。
あっそういえばまだご飯食べている途中だった。
ーーーーーーーー
「時雨~良かった~。もう何とも無いんだね」
「心配かけてごめん。もう大丈夫だよ、またいつか休みにどこかに行こう」
「うん、じゃあ今度は海かな?でも海で溺れないでね」
「冗談でもそんな事言わないでよ、本当に溺れるかもしれないのに」
「あはは、ごめんね。でも本当に良くなって良かった。もう起きなくなったのかと思ったよ。それに要も一応お見舞いに来てたよ。でも悔しそう?な顔してすぐ帰っちゃったんだ。要にもお見舞い来てくれてありがとうって言っておきなよ」
そっか、要君は私が危険な身にあっているときに助けれなかった事を後悔しているのかな。でも今回はアキラの偽者は来たけど、本者のアキラでさえこの状況に気づけなかったのだから気にしなくていいよと言っておこう。
「おっ噂をすれば」
「噂ってなんだよ。ていうか時雨良くなったんだ、良かった」
「あっ要君、お見舞い来てくれてたんだよね。ありがとう」
「あぁ別に友達が寝込んでるって聞いたらお見舞いに行くのは当然だろ、時雨は気にしなくていいよ」
「ありがとう。あと、私が気を失ったのは防げなかったことだから気にしなくていいよ」
「えっと、俺なんか変な顔してた?」
「リコから聞いたけど私のお見舞いに来てくれたときに悔しそう?な顔してたらしいから」
「確かに、時雨を守ることができなかったのはすまないって思っている。けど問題なのはそこじゃなくて、最近転入生がうちのクラスに来たんだ」
「転入生?」
「時雨は見たらすぐにわかるはずだ。そこの席で何人かに囲まれているやつだよ」
その姿には見覚えがあった。
黒髪黒目で、容姿から溢れ出るカリスマ性。一度文化祭で出会ったことのある人。
「勇者だ」
「時雨どうしたの?いきなり勇者だって。あの人は転入生で、名前は金色 咲黒っていうんだよ」
そうかリコは勿論のこと他の人達も文化祭の記憶が曖昧になっているから、仮に勇者としての金色 咲黒には会ったことがあるとしてもわからないんだ。
リコと私が話していると金色は私に気づいたらしく、私を睨みつけながら近づいてきた。
「やあ、久しぶりに会ったな。改めて自己紹介を、金色 咲黒だ。この学校に一昨日から転入した。これからよろしく」
「お久しぶりです。私の名前は若月時雨。こちらこそよろしく」
自己紹介がお互い終わったが、金色はまだ私から離れようとしなかった。何か伝えたいことがあるのかな。
「要とリコ、ちょっとお願いがあるんだけど。少しの間この転入生と二人っきりにさせてくれない?」
「えっ時雨、大胆」
「時雨!?そ、そんな」
「違う、そんなんじゃないって。要も勘違いしないこと。さっこっちに来て」
ーーーーーーーー
「何か、私に用があるの?」
「そうだ、前にお前と会ったときに言っただろ。何でお前から勇者のオーラが混じっているのかと」
この言葉は確かに文化祭の事件で初めてこの金色に会ったときに言われたことだ。結構当たり強く言われたので印象に残っている。
「確かに言ってたわね」
「前はただ混じっているってだけで気持ち悪いと思ってた。けど今は違う。ほとんど勇者のオーラに変わってしまっている」
「それが何か問題なの?」
「勇者のオーラは宿主の魂を蝕む。つまり寿命が短くなるんだ。勇者である僕もオーラはあるけど、この『聖剣セレイト』のお陰で勇者のオーラが魂を蝕むのを防いでいる」
金色は『聖剣セレイト』と呼ばれる剣を何も無い空間から取り出して言った。
「そうなんだ、でも私には勇者のオーラはあっても聖剣は持っていないよ」
「そこが問題なんだ。このままだと君は死んでしまうだろう。だから放課後僕と一緒に王国騎士本部に来てほしい」
王国騎士本部ってここから結構遠い所だし、それにあまりいい印象は無い、けど滅多に入れるものじゃないし。
「わかったわ。今日は何も予定は無いものね」
ーーーーーーーー
「ここが王国騎士本部だ」
ぱっと見だと大学や城の様な建物で、よほど大きな用事が無い限りは近づくことすらためらう威圧感だ。
「何度か写真を見たことがあるけど、実物はやっぱり大きい」
「それじゃあ中に入ろうか、その前に何で石上君がついて来ているのかな」
振り返って見るが、要どころか人、一人もいない。
「え?どこにもいないと思うけど」
「僕にはオーラが見えるって君にも言っただろ、一人一人そのオーラは違うんだ。だから君がどんなに隠れていようとも僕には無意味だよ…はあ、中について来てもいいからその魔術?魔導具?を発動するのやめなよ」
すると目の前に霧がかった後に要の姿が浮かび上がってきた。
「かっ要?!どうしてここに」
「時雨の事が心配なのはわかってるよ石上君。僕はよくある鈍感系主人公じゃないからね。それにもし君がこのまま隠れて本部に入ったらどうなるか、想像出来るよね?」
「わかってるよ。あと鈍感系主人公ってなんだよ」
「わからなくて結構。じゃあ石上君も一緒に、今度こそ行こうか」
建物の中に入ってみると、内装は意外と…ここって何だか見覚えが
「なぁ時雨、ここって何だか『ラプラスの悪魔』の場所にそっくりじゃないか?」
「うん、確かに似ている。だとしたらあそこに隠し通路が」
「おい二人とも、何をしている。そもそもここに入れるのは王国騎士になった人でも一部の人間しか入れないんだから、勝手な行動をされると流石に僕でも擁護は出来ないから」
そう言って金色は長い廊下を歩き、いくつものの部屋を無視して奥に進み、遂に目的の場所についた。
中に入ると、様々な見た目の剣が収められており、どれも同じ剣はなかった。唯一同じ点はどの剣からも凄まじい程の魔力を感じた。
基本魔力は物に宿ることは無く、神聖な物に対して結びつきやすいという事がわかっている。しかし人間に魔力があるのは未だ不明だ。
「さあ、この中から時雨と相性のいい聖剣を探すわけだが…何か感覚的に感じる物はあるか?」
とりあえず周りを見渡して見るがあまり何も感じない。
「いいえ、特には」
「そうか、じゃあこの両隣の部屋も一応聖剣の武器倉庫だから見てくれ。僕は少し仕事が出来たからすぐ終わらせてくるよ。あっあと石上君は聖剣に触らないほうがいいよ。意識を乗っ取られるかもだから」
そう言って金色はここから出ていった。
「なぁ時雨、さっきはあいつがいたから言えなかったけど、ここにある聖剣って元々は持ち主がいたんじゃないのか?だとしたらこの聖剣は」
「確かに、勇者のオーラというのが勇者自身を蝕むのだとしたらこの聖剣は必須になるはず。それにおとぎ話でも勇者は聖剣を持って現れていた。となると」
「「勇者は聖剣を持って現れる」」
だとしたらこの聖剣だらけの武器倉庫に一般人の私達がいる状況はかなりまずいなのでは?
知ってはいけないことを知ってしまったのでは?
「早くあいつが帰って来ることを願うしかないな」
「そうね、とりあえず私は自分に合う聖剣を探すわ」
今いる倉庫内の聖剣を一通り見たが何か感じる物はなかったので隣の倉庫に入ってみた。流石に最初の倉庫よりも狭く、聖剣の数は半分かそれ以下だった。
「ここにある聖剣も、違う」
そして反対側にある倉庫にも入ってみたが、やっぱりなかった。そりゃそうだ、勇者一人ひとりに自分に合った聖剣が現れるんだから、私に合った聖剣なんて無いに決まっている。
「やっぱり私に合う聖剣なんて無いよ、要~」
「うーん、俺に頼ってくれるのは嬉しいけど、どうにもならないよな。…そうだ、一時的だけど時雨に合う聖剣を作れるかもしれない」
「作れるってもしかしてアキラに頼むの?」
「そうだよ、俺と相性のいい聖剣エクスカリバーをアキラは作ったんだ。きっと時雨のだって作れる」
確かにアキラは文化祭のときに目の前で聖剣エクスカリバーという武器を作り出した。それを使って要はあの魔族と同等の力で戦うことが出来ていた。
「そうだね、それが最適解だ…
(中央の扉を貴方の魔力でノックして)
…ね?」
久しぶりに声が聞こえた。もうこの声の正体を私は気づいて
「どうした?」
中央の扉って私達が入ってきたこの扉のこと?魔力でノックってこんな感じかな。
手に魔力を込めてノックをすると扉が光りだし、止むと扉が勝手に開いた。倉庫内が明るいため、扉の先は暗くて見えない。
「何をしたんだ?!」
「えっと、なんか隣の倉庫で秘密の合言葉みたいなの見ちゃって」
「…まぁ、どうするんだ?この中は安全なのか?」
「わからないけど、ここに私に合う聖剣があるのかも」
そうして私は先の見えない開いた扉の奥に入って行った。
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