16 / 71
第二章 王都アニマ
14.助太刀する器用貧乏
しおりを挟む
◇
「ん? あれは……?」
空を飛びながら移動することおおよそ二時間。ちょうど森を抜けたころだった。
少し先から喧騒が聞こえたので周囲を見回すと、開けた場所で数台の馬車が足を止めているのが確認できた。
そして、その乗組員と思わしき人間たちが、複数の魔物と戦闘を繰り広げている真っ只中のようだ。
「ウルフの群れか」
犬に酷似した四足獣の魔物、ウルフだ。だが以前俺が対峙した個体とは違い、体毛が灰色ではなく真っ黒だ。そして身体も一回り以上大きく、体長二メートル近くはある。
となると、あれはウルフの上位個体、ブラッドウルフだな。師匠のとこで魔物の知識は叩き込まれているし、実際に戦ったこともあるから間違いない。
ブラッドウルフの群れの数は十二。それを迎撃している人間は四人だ。
他人が横槍を入れるべきではないだろうと、しばらく俯瞰して見ていたが、ブラッドウルフの群れは馬車を包囲しており、完全に防戦一方のようだ。
どう見ても人間側の劣勢……放っておけば全滅は免れないだろう。この状況、さすがに見過ごすわけにもいかないか。
俺は馬車の方へと進路を変更し、一足飛びに戦場へ飛んだ。
「残りの魔力は……ちょっと心許ないか。よし、ここは剣だけで戦おう」
移動中は魔法を使いっぱなしだったので、さすがに魔力が尽きかけていた。
魔力が尽きれば気を失ってしまうので、この場は魔法無しでなんとかするしかない。
使用し続けていたグラビティコントロールの魔法効果を解除し、次元収納からひと振りの剣を取り出す。
羽のようにふわりと浮いていた身体が、適正な重力を受けることで急激に落下していく。そのままの勢いで、俺は馬車の前へと着地した。
「手を貸すぞ」
「なっ、誰――――いや……申し訳ない、援護を頼みます!」
急に空から見知らぬ人が降ってきて驚いたのだろう。戦闘していた男のうちのひとりが、目を見開き驚いていた。
だが、突然現れた怪しい人物にすら、すがらなければならないほどに窮地に立たされていたのだろう。俺の言葉に一瞬だけ迷いを見せたが、すぐに表情を引き締め、助けを求めてくる。
「魔物は俺が相手する。あんたたちは馬車を守っていてくれ」
まずはさっと戦場を見回す。ブラッドウルフの群れは、俺という突然の乱入者に対応しきれておらず、連携が乱れていた。
その隙を逃さぬよう、ぐっと地面を蹴り、一気に加速しながら最も近い位置にいた一匹へと突撃する。
「まずはひとつ……はあっ!」
すれ違いざまに素早く一閃。
俺の乱入に対応しきれていなかったブラッドウルフの胴を、素早く下から斬り上げる。
鮮血が舞い、一匹のブラッドウルフは力なく倒れる。
……ふむ、両断するつもりだったんだが、想定より刃が通らなかったな。さすがに魔法のサポートなしだと厳しいか。
俺の【剣術】スキルレベルは3。【筋力上昇】などの身体能力強化系の常時発動型スキル込みで、ブラッドウルフを倒せるぐらいの力はある。それがわかっただけでも収穫だ。
「グルルルルル……!」
仲間をやられたことで、群れ全体の敵意が俺へと集中するのを感じる。
その結果、馬車を対象としていた包囲網が、俺個人へ向けられるのにそこまで時間はかからなかった。
群れはあっという間に俺の周囲に集まり、警戒しながらも着実ににじり寄ってくる。
「この感じ……懐かしいな」
ふと思い出したのは、八年前にウルフの群れに囲まれた時のことだ。
普通ならトラウマになっていてもおかしくない状況だったが、どこか懐かしさを感じられるほどに、今の俺には余裕がある。
なせならば、これ以上の過酷な状況下に幾度となく立たされた経験があるからだ。数があのときの倍に増えていて、上位種族になったぐらいでは、今の俺は毛ほども恐怖を感じない。
「俺をビビらせたければ師匠のゴーレムを百体は連れてこいってんだ」
実際にゴーレム百体と対峙した場面を頭の中で思い浮かべ、思わず失笑してしまう。人間ってのは、マジで理不尽な場面だと笑うしかないんだな。
……などと考えている間に、俺の失笑を挑発と受け取ったのか、ブラッドウルフの群れは合図も無しに一斉に俺へと襲いかかってきた。
「ガァウ!」
「グルァ!」
余計なことを考えていたが、もちろん意識は常に敵へ向けられていた。襲撃に反応し、すぐさま迎撃体勢をとる。
首筋に食らいつかんとする獰猛な牙、そして心臓を引き裂かんとする鋭利な爪。俺を殺すために、的確に急所を狙いながら飛びかかる二匹のウルフの同時攻撃を見極め、最小限の動きで躱す。
「ふっ!」
そして、すれ違いざまに一匹のウルフを素早く斬りつける。【弱点看破】を駆使して、あばら骨の合間を縫い、心臓を切り裂くようにした一撃だ。
魔法は使わないと決めたが、他にも有用なスキルは山ほどある。遠慮なく使わせてもらおう。
急所を斬られ、空中で息絶えたウルフは、着地がままならずに地面をゴロゴロと転がっていく。
「ふたつ」
続けて襲い来る爪を剣で受け流し、体勢を崩したところで喉元を一閃。
「みっつ」
ブラッドウルフの襲撃はまだ終わらない。
百六十センチある俺の身長を優に超える跳躍で、頭蓋を噛み砕かんと上空から襲来する牙には、剣を喰わせてやる。
口内から脳天を貫かれたウルフは、当然即死だ。
「よっつ」
剣を引き抜き、ウルフの身体はずさりと音を立てて大地に転がる。
この時点で、ウルフたちの追撃は止まっていた。
彼我の実力差を認識したのだろう。俺がこの場に降り立ってから、わずか一分足らずの戦闘であったが、四匹の仲間を葬られたことで『この人間を襲うのは割に合わない』と思わせるに至ったようだ。
よし、これなら最後にもうひと押しすれば大丈夫だろう。
俺はウルフの群れへ向けて【威圧】スキルを発動させる。
「失せな……!」
俺の一言に、ブラッドウルフたちは毛を逆立ててピタッと動きを止めた。やつらに人間の言葉を理解する知能はないだろうが、意思は伝わったようだ。
やがて【威圧】に耐えきれず群れの中の一匹が逃げ出すと、それに続くように残りも尻尾を巻いて去っていった。
……よしよし、初めて【威圧】スキルが役に立ったぞ。
このスキルは、相手に精神的な圧力を与え、畏縮させる効果がある。場合によっては今のように逃亡してしまうというわけだ。
使い得なスキルではあるが、いかんせん俺のスキルレベルは3しかない。敵と対峙していきなり使ったとしても、効果は殆どないだろう。だから、今のように実力差を見せつけてた後で使用する必要がある。
……よく考えたらあんま使いどころないかもな。師匠のゴーレムのような非生物はもちろん、一定以上の実力者には効果ないし。今回のようにウルフの群れを散らすぐらいにしか使えないんじゃないか?
「お、おお……! あのブラッドウルフをこうもあっさり……なんてすごいんだ!」
「ああ……助かった」
「死ぬかと思った……」
ふと、馬車のほうから安堵の声が聞こえた。
どうやら本当にまずい状況だったらしい。馬車を守るようにして戦っていた四人は、それぞれ九死に一生を得た表情をしている。
「無事だったか?」
俺は、俺に援護を要請した人物……四十代手前だと思われる柔和な顔のおっさんに声をかけた。
「ん? あれは……?」
空を飛びながら移動することおおよそ二時間。ちょうど森を抜けたころだった。
少し先から喧騒が聞こえたので周囲を見回すと、開けた場所で数台の馬車が足を止めているのが確認できた。
そして、その乗組員と思わしき人間たちが、複数の魔物と戦闘を繰り広げている真っ只中のようだ。
「ウルフの群れか」
犬に酷似した四足獣の魔物、ウルフだ。だが以前俺が対峙した個体とは違い、体毛が灰色ではなく真っ黒だ。そして身体も一回り以上大きく、体長二メートル近くはある。
となると、あれはウルフの上位個体、ブラッドウルフだな。師匠のとこで魔物の知識は叩き込まれているし、実際に戦ったこともあるから間違いない。
ブラッドウルフの群れの数は十二。それを迎撃している人間は四人だ。
他人が横槍を入れるべきではないだろうと、しばらく俯瞰して見ていたが、ブラッドウルフの群れは馬車を包囲しており、完全に防戦一方のようだ。
どう見ても人間側の劣勢……放っておけば全滅は免れないだろう。この状況、さすがに見過ごすわけにもいかないか。
俺は馬車の方へと進路を変更し、一足飛びに戦場へ飛んだ。
「残りの魔力は……ちょっと心許ないか。よし、ここは剣だけで戦おう」
移動中は魔法を使いっぱなしだったので、さすがに魔力が尽きかけていた。
魔力が尽きれば気を失ってしまうので、この場は魔法無しでなんとかするしかない。
使用し続けていたグラビティコントロールの魔法効果を解除し、次元収納からひと振りの剣を取り出す。
羽のようにふわりと浮いていた身体が、適正な重力を受けることで急激に落下していく。そのままの勢いで、俺は馬車の前へと着地した。
「手を貸すぞ」
「なっ、誰――――いや……申し訳ない、援護を頼みます!」
急に空から見知らぬ人が降ってきて驚いたのだろう。戦闘していた男のうちのひとりが、目を見開き驚いていた。
だが、突然現れた怪しい人物にすら、すがらなければならないほどに窮地に立たされていたのだろう。俺の言葉に一瞬だけ迷いを見せたが、すぐに表情を引き締め、助けを求めてくる。
「魔物は俺が相手する。あんたたちは馬車を守っていてくれ」
まずはさっと戦場を見回す。ブラッドウルフの群れは、俺という突然の乱入者に対応しきれておらず、連携が乱れていた。
その隙を逃さぬよう、ぐっと地面を蹴り、一気に加速しながら最も近い位置にいた一匹へと突撃する。
「まずはひとつ……はあっ!」
すれ違いざまに素早く一閃。
俺の乱入に対応しきれていなかったブラッドウルフの胴を、素早く下から斬り上げる。
鮮血が舞い、一匹のブラッドウルフは力なく倒れる。
……ふむ、両断するつもりだったんだが、想定より刃が通らなかったな。さすがに魔法のサポートなしだと厳しいか。
俺の【剣術】スキルレベルは3。【筋力上昇】などの身体能力強化系の常時発動型スキル込みで、ブラッドウルフを倒せるぐらいの力はある。それがわかっただけでも収穫だ。
「グルルルルル……!」
仲間をやられたことで、群れ全体の敵意が俺へと集中するのを感じる。
その結果、馬車を対象としていた包囲網が、俺個人へ向けられるのにそこまで時間はかからなかった。
群れはあっという間に俺の周囲に集まり、警戒しながらも着実ににじり寄ってくる。
「この感じ……懐かしいな」
ふと思い出したのは、八年前にウルフの群れに囲まれた時のことだ。
普通ならトラウマになっていてもおかしくない状況だったが、どこか懐かしさを感じられるほどに、今の俺には余裕がある。
なせならば、これ以上の過酷な状況下に幾度となく立たされた経験があるからだ。数があのときの倍に増えていて、上位種族になったぐらいでは、今の俺は毛ほども恐怖を感じない。
「俺をビビらせたければ師匠のゴーレムを百体は連れてこいってんだ」
実際にゴーレム百体と対峙した場面を頭の中で思い浮かべ、思わず失笑してしまう。人間ってのは、マジで理不尽な場面だと笑うしかないんだな。
……などと考えている間に、俺の失笑を挑発と受け取ったのか、ブラッドウルフの群れは合図も無しに一斉に俺へと襲いかかってきた。
「ガァウ!」
「グルァ!」
余計なことを考えていたが、もちろん意識は常に敵へ向けられていた。襲撃に反応し、すぐさま迎撃体勢をとる。
首筋に食らいつかんとする獰猛な牙、そして心臓を引き裂かんとする鋭利な爪。俺を殺すために、的確に急所を狙いながら飛びかかる二匹のウルフの同時攻撃を見極め、最小限の動きで躱す。
「ふっ!」
そして、すれ違いざまに一匹のウルフを素早く斬りつける。【弱点看破】を駆使して、あばら骨の合間を縫い、心臓を切り裂くようにした一撃だ。
魔法は使わないと決めたが、他にも有用なスキルは山ほどある。遠慮なく使わせてもらおう。
急所を斬られ、空中で息絶えたウルフは、着地がままならずに地面をゴロゴロと転がっていく。
「ふたつ」
続けて襲い来る爪を剣で受け流し、体勢を崩したところで喉元を一閃。
「みっつ」
ブラッドウルフの襲撃はまだ終わらない。
百六十センチある俺の身長を優に超える跳躍で、頭蓋を噛み砕かんと上空から襲来する牙には、剣を喰わせてやる。
口内から脳天を貫かれたウルフは、当然即死だ。
「よっつ」
剣を引き抜き、ウルフの身体はずさりと音を立てて大地に転がる。
この時点で、ウルフたちの追撃は止まっていた。
彼我の実力差を認識したのだろう。俺がこの場に降り立ってから、わずか一分足らずの戦闘であったが、四匹の仲間を葬られたことで『この人間を襲うのは割に合わない』と思わせるに至ったようだ。
よし、これなら最後にもうひと押しすれば大丈夫だろう。
俺はウルフの群れへ向けて【威圧】スキルを発動させる。
「失せな……!」
俺の一言に、ブラッドウルフたちは毛を逆立ててピタッと動きを止めた。やつらに人間の言葉を理解する知能はないだろうが、意思は伝わったようだ。
やがて【威圧】に耐えきれず群れの中の一匹が逃げ出すと、それに続くように残りも尻尾を巻いて去っていった。
……よしよし、初めて【威圧】スキルが役に立ったぞ。
このスキルは、相手に精神的な圧力を与え、畏縮させる効果がある。場合によっては今のように逃亡してしまうというわけだ。
使い得なスキルではあるが、いかんせん俺のスキルレベルは3しかない。敵と対峙していきなり使ったとしても、効果は殆どないだろう。だから、今のように実力差を見せつけてた後で使用する必要がある。
……よく考えたらあんま使いどころないかもな。師匠のゴーレムのような非生物はもちろん、一定以上の実力者には効果ないし。今回のようにウルフの群れを散らすぐらいにしか使えないんじゃないか?
「お、おお……! あのブラッドウルフをこうもあっさり……なんてすごいんだ!」
「ああ……助かった」
「死ぬかと思った……」
ふと、馬車のほうから安堵の声が聞こえた。
どうやら本当にまずい状況だったらしい。馬車を守るようにして戦っていた四人は、それぞれ九死に一生を得た表情をしている。
「無事だったか?」
俺は、俺に援護を要請した人物……四十代手前だと思われる柔和な顔のおっさんに声をかけた。
64
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる