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第5章:王子とオタクの境界線、揺れるお泊まり会
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駅前のコンビニはやたら混んでいて、人の熱気にちょっと辟易しながら棚を眺める。
「こんなに服とかまであるのか……」
「まあ欲しいモノは大体あるよな」
下着やちょっとした部屋着まで揃っている。
その棚の前で、吉沢は興味深そうに覗き込んでいる。
「なに、お前コンビニもあんま使わねえの?」
「必要なものは常に持ち歩いているからな。立ち寄る必要がないんだ」
「なるほどな」
ここしばらく一緒に過ごして知ったことだが、吉沢の行動には極端に無駄がない。
意思と行動が直結してるから、余計な寄り道をしない。
予定が決まってれば、必要なモノだけきっちり揃えてくるし、抜かりもない。
一方でコンビニってのは、今日のお泊り会みたいに予定外のときこそ力を発揮する。
吉沢に縁のない場所なのも、道理だ。
「へぇ……お前ってサイズMなんだ」
吉沢が手に持って見比べているパンツを見て、なんの気なしに言う。
「――っ!? な、なぜそれを声に出す!」
「え、だって普通に見えたから……」
吉沢は耳まで真っ赤にして、俺をギロッと睨むと、勢いよく手からカゴを奪い取った。
パンツとシャツを突っ込んで、レジに向かってズカズカ歩いていく。
「お、おい! まだ歯ブラシとか買ってねえだろ!」
慌てて吉沢を引き留めて、今度は泊まり用のグッズの棚に連れて行く。
「お前が、変なこと言うから!」
「変って……俺よりちっせぇなって思っただけだよ」
「そんなの当たり前だろ!」
そう、吉沢の言う通り当たり前だ。そんなの見りゃわかる。
ただ――俺の基本サイズはXLだし、Mって言うと姉ちゃんみたいな女子サイズってイメージがあるんだよな。だから、男でもLじゃないやつっているんだな、っていう。純粋な驚きに近い。
うちは親父も190近いし、弟も中一にしてはデカい方だ(もっとも、あいつは縦より横にデカいけど)。
なんかこう、改めてこいつ、俺よりちっちゃい生き物なんだなって思っただけだ。
「まあまあ、怒んなって。別にいいだろ、アソコがちっせーとか言ってる訳じゃねぇんだし」
「……あそこ?」
眉間に皺を寄せて考え込む吉沢。
マズい。やっぱりこの手の下ネタも通じねえのか。
こういうとこ、吉沢ってマジで王子様のイメージそのまんま。
俺の言動はラノベと深夜アニメの影響がモロ出ちまうから、通じないってこと結構多い。
ほんと、扱いに困る。
……言っちゃなんだけど、お前の場合、サイズよりその可愛いチェック柄のパンツ選んでる方がよっぽど問題だと思うけどな。
そこ黙ってスルーしてやってんだから、許せよ。
「あーもういいから、さっさと要るモン買って帰るぞ」
「待て、“あそこ”とはなんだ。意味はわからんが、お前が失礼なことを言ったのは分かるぞ」
「はいはい、そーです、ごめんなさいね」
口だけで謝る俺に、「誠意が足りない!」と吉沢はさらにご立腹だ。
ああもう、めんどくせぇ……。
「なあ中村、パジャマはお前のを借りてもいいんだよな? それと、このお菓子で手土産は足りるだろうか?」
「パジャマは貸すし、手土産もそれで十分です!」
ようやくレジに並び直した頃には、なんだか疲労感がすごかった。
こんなので俺、一晩耐えられるのか?
不安になっているところに一言。
「楽しみだな!」
そう言って、振り返った吉沢の笑顔があまりに無邪気で眩しくて――。
「……俺も」
口にした瞬間、なんかもう、この笑顔は守るしかねぇって気がしてきたから不思議なもんだ。
「これがチャームの力ってやつか」
「ちゃーむ?」
ポソリと呟いた俺に、すかさず吉沢が聞き返してくる。
「また俺の知らない言葉を使って……」
ちょっと拗ねたように言う吉沢に、その意味は一生知られたくねぇなって思った。
「こんなに服とかまであるのか……」
「まあ欲しいモノは大体あるよな」
下着やちょっとした部屋着まで揃っている。
その棚の前で、吉沢は興味深そうに覗き込んでいる。
「なに、お前コンビニもあんま使わねえの?」
「必要なものは常に持ち歩いているからな。立ち寄る必要がないんだ」
「なるほどな」
ここしばらく一緒に過ごして知ったことだが、吉沢の行動には極端に無駄がない。
意思と行動が直結してるから、余計な寄り道をしない。
予定が決まってれば、必要なモノだけきっちり揃えてくるし、抜かりもない。
一方でコンビニってのは、今日のお泊り会みたいに予定外のときこそ力を発揮する。
吉沢に縁のない場所なのも、道理だ。
「へぇ……お前ってサイズMなんだ」
吉沢が手に持って見比べているパンツを見て、なんの気なしに言う。
「――っ!? な、なぜそれを声に出す!」
「え、だって普通に見えたから……」
吉沢は耳まで真っ赤にして、俺をギロッと睨むと、勢いよく手からカゴを奪い取った。
パンツとシャツを突っ込んで、レジに向かってズカズカ歩いていく。
「お、おい! まだ歯ブラシとか買ってねえだろ!」
慌てて吉沢を引き留めて、今度は泊まり用のグッズの棚に連れて行く。
「お前が、変なこと言うから!」
「変って……俺よりちっせぇなって思っただけだよ」
「そんなの当たり前だろ!」
そう、吉沢の言う通り当たり前だ。そんなの見りゃわかる。
ただ――俺の基本サイズはXLだし、Mって言うと姉ちゃんみたいな女子サイズってイメージがあるんだよな。だから、男でもLじゃないやつっているんだな、っていう。純粋な驚きに近い。
うちは親父も190近いし、弟も中一にしてはデカい方だ(もっとも、あいつは縦より横にデカいけど)。
なんかこう、改めてこいつ、俺よりちっちゃい生き物なんだなって思っただけだ。
「まあまあ、怒んなって。別にいいだろ、アソコがちっせーとか言ってる訳じゃねぇんだし」
「……あそこ?」
眉間に皺を寄せて考え込む吉沢。
マズい。やっぱりこの手の下ネタも通じねえのか。
こういうとこ、吉沢ってマジで王子様のイメージそのまんま。
俺の言動はラノベと深夜アニメの影響がモロ出ちまうから、通じないってこと結構多い。
ほんと、扱いに困る。
……言っちゃなんだけど、お前の場合、サイズよりその可愛いチェック柄のパンツ選んでる方がよっぽど問題だと思うけどな。
そこ黙ってスルーしてやってんだから、許せよ。
「あーもういいから、さっさと要るモン買って帰るぞ」
「待て、“あそこ”とはなんだ。意味はわからんが、お前が失礼なことを言ったのは分かるぞ」
「はいはい、そーです、ごめんなさいね」
口だけで謝る俺に、「誠意が足りない!」と吉沢はさらにご立腹だ。
ああもう、めんどくせぇ……。
「なあ中村、パジャマはお前のを借りてもいいんだよな? それと、このお菓子で手土産は足りるだろうか?」
「パジャマは貸すし、手土産もそれで十分です!」
ようやくレジに並び直した頃には、なんだか疲労感がすごかった。
こんなので俺、一晩耐えられるのか?
不安になっているところに一言。
「楽しみだな!」
そう言って、振り返った吉沢の笑顔があまりに無邪気で眩しくて――。
「……俺も」
口にした瞬間、なんかもう、この笑顔は守るしかねぇって気がしてきたから不思議なもんだ。
「これがチャームの力ってやつか」
「ちゃーむ?」
ポソリと呟いた俺に、すかさず吉沢が聞き返してくる。
「また俺の知らない言葉を使って……」
ちょっと拗ねたように言う吉沢に、その意味は一生知られたくねぇなって思った。
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