自作小説に転生した作者の、超絶ご都合主義な無双ファンタジー ~最弱職が世界最強になる為に必要な三つの条件~

黄昏時

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第2話 プレゼント

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「おめでとう」
「……」
「ごめんなさいね。ほら、フェリシア」

 ライラさんの言葉に、フェリシアは仏頂面でライラさんの後ろに隠れてしまう。
 祝いの言葉を述べた少年はそれを見て、不服そうな表情を浮かべて他の友人達の元へと走っていった。

「フェリシア、どうしてお礼を言わないの?」
「……」

 ライラさんはどこか悲しそうな声音でフェリシアに対してそう問いかけるが、フェリシアは口を紡ぎ不服そうな表情を浮かべる。
 彼女が不服そうなのは、上辺だけの言葉だと感じとっているからに他ならないだろう。

 フェリシアの家族が家に挨拶に来た翌日、俺と母さんはライラさんに招待されたフェリシアの誕生会に来ている。
 とは言えこれはフェリシアの誕生会であると同時に、この村の子供たちの輪にフェリシアを入れるという目的がフェリシアの両親にはあるんだろう。

 この誕生会に呼ばれた村の人間は皆が皆フェリシアと年の近い子供の居る家庭ばかりだからな。
 だが正直言ってそれは要らぬお節介でしかないだろう。

 両親は娘の事を思ってなんだろうがフェリシア自身は今は他人とは距離を置きたいと考えているはず。
 それなのに無理矢理引き合わされても迷惑でしかない。

 しかも先程の少年のように親に言われるがまま祝いの言葉を言ってくる連中ばかりで嫌気が差したんだろう。
 彼女はそう言う感情を感じとれてしまうからな。

「シルヴァン、私達も先にフェリシアちゃんにお祝いの言葉を言いに行きましょう」
「うん」

 俺は母さんの言葉にそう答えながら、母さんと一緒にライラさんとフェリシアのもとへと向かう。

「ライラさん、本日はお招きいただきありがとうございます」
「ユリアナさん! こちらこそ来てくださりありがとうございます」
「フェリシアちゃん、今日はおめでとう」
「……ありがとう、ございます」
 
 母さんの言葉に、相変わらずライラさんの後ろに隠れながらだがフェリシアは小さな声でそう答える。
 それを聞いたライラさんはとても嬉しそうに笑みを浮かべた。

 母さんの言葉に返答しただけでこの反応……
 もしかして母さん以外にフェリシアは返答しなかったのか?
 フェリシアは人見知りではあるが好意に対しては無下にするような性格ではなかったはず。

 つまり仮に母さん以外に返答していなかった場合、好意的な感情を抱きながら祝いの言葉を述べた人間が居なかったという事になる。
 それは……かなり悲しいだろうな。

 まぁあまりにも急すぎるのだ。
 引っ越した翌日に即誕生会というのは。
 先程の少年もそうだが急に予定を開けられない両親は一定数居り、子供だけ先に参加させているという家庭が多い。

 それは自身の子供がのけ者にされないための行為なんだろうが、そのせいで彼等彼女等は「両親が来ないのに何故知らない人間を祝わなければならないのか」という不満を抱き、本来祝われるはずの彼女が悲しむという不幸の連鎖が起きている。

「ほら、シルヴァンも」
「ライラさん、本日はお招きいただきありがとうございます」
「これは丁寧な挨拶をありがとう」

 やはり子供扱いされるのはどこか気恥ずかしい。
 まぁ見た目は子供だから仕方ないのだが……
 それよりも今は彼女への挨拶が先だな。

「今日は誕生日おめでとうフェリシア。これ、ついさっきとってきたもので申し訳ないけど良かったら受け取って」
「……えっ」

 俺はそう言ってここに来る途中に摘んできた花を手渡す。
 流石に誕生会に招かれてプレゼントが何もないなんて訳にはいかないからな。
 だからと言って勿論適当な花を摘んできたわけではない。

 彼女が好きな黄色と紫のパンジーだ。
 何故好きなのかについては忘れたが、この花が好きだった事だけは覚えている。

「……どう、して」
「ちゃんとしたものじゃなくて申し訳ないけど、誕生日だからプレゼント。綺麗な目の色と同じものを選んで持ってきた」

 言ってから思ったが少し気障なセリフになってしまいかなり恥ずかしい。
 だが正直にこの花が好きなのを知っていたという訳にはいかなかった。

 何せ昨日会ったばかりの人間が聞いても居ないのに好きな花を知っているのは不自然だからな。
 勿論彼女の目が綺麗でそれと同じ色を選んだという事も嘘ではなく本心だ。
 
「……ありが、とう」

 フェリシアは軽く俯き、少し頬を赤らめながらそう言って手渡した花を受け取ってくれた。
 どうやら嘘はついてないとわかってくれたみたいだな。

「よかったわねフェリシア……シルヴァン君、本当にありがとう」
「いぇ」

 ライラさんは俺に対して目に軽く涙を浮かべながらそう言ってきた。
 恐らくフェリシアの家庭がこの田舎に引っ越してきた理由も関係しているんだろうが、それにしても普通の事をしただけで感極まれるとは……

 作者として非常に申し訳ない気持ちになってしまう。
 とは言え本当に申し訳ないが、今はそれよりも優先される事がある。
 それは、この誕生会に参加して居るはずのとある人物を見つけ出さなければならないという事だ。

 しかも厄介な事にその人物を見つけるのにはある制約がある。
 その制約を破ってしまえば仮に彼女・・に会えたとしても全く意味がない。
 何せ教えを乞おうにも俺の能力値では戦いの領域に足を踏み入れる事すら不可能だからだ。

 なので一刻も早く彼女・・に会い目的・・を果たさなければならない。
 何せそれによって俺の今後の人生が決まってしまうのだからな。
 俺は申し訳ない気持ちになりながらも自身にそう言い聞かせ、軽く頭を下げてから他の子達と同じように食事の置かれている場所へと向かう。

「……うっ!」

 だが足を踏み出した直後誰かに服を後ろから引っ張られ、服の襟が喉に当たり思わず声が漏れる。
 一体誰だ!!

 そう思いながら後ろを振り返り確認すると、そこには俺の服の端を掴み俯いているフェリシアの姿があった。
 何でだ!?
 俺何か機嫌を損ねるようなことしたか?

「どうかした?」

 俺の言葉にフェリシアは驚いた様子で素早く服の端を掴んでいた手を引っ込める。
 わからん!
 本当に何をしてしまったんだ、俺!?

 俺がそう考えながら困惑した表情を浮かべていると、隣に立っていた母さんがわかりやすく大きなため息を漏らす。

「本当、誰に似たんだか……シルヴァン、もう少しフェリシアちゃんの側に居てあげなさい」
「え?」
「返事は?」
「……ハイ」

 俺は母さんの笑顔の圧に負け、渋々承諾する。
 この笑顔の時の母さんを怒らせると取り返しがつかなくなるのは、父さんで散々見てきたからな。
 
「はぁ~」
「すいません。そしてありがとうございます、ユリアナさん」
「いぇいぇ。これから長い付き合いになりそうですから」

 俺は母さん達の会話を聞き流しながら頭を抱える。
 非常に困った。
 フェリシアの側を離れられないという事はここを動けないという事……

 つまりは彼女を探す事が出来ないという事になる。
 それでは制約であるレベルが上がってしまう・・・・・・・・・・・……
 なんとか……何とかしなければ!! 
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