神器とオリジナルを手に入れた転生王子は、最強への道を歩み始める

黄昏時

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第5話 真面目な兄

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「こんなに豪華なの、ホントに着なきゃならないの?」
「はい、流石に寝間着という訳にはいきませんので」

 ナタリーにそう言われ、俺は椅子に腰かけながら、執務机のようなものに肘をつきため息をつく。
 現在俺は転生した時に目覚めた部屋ではなく、社長室のような部屋に居る。
 そして服装も昨日までのラフで動きやすいものではなく、豪華でキラキラとしたものを着ている。

 何故豪華な服を着てこの部屋で待機しているかというと、早朝にナタリーから言われた「今日は色々な方がお見舞いに来てくださるそうです」という言葉が原因である。

 正直俺としては、毒を盛られたかもしれないという事を昨日聞いたばかりで誰かと会うというのは不安しかない。
 とは言えここで断ってしまえば、今後にどう影響するかわからない。

 こんな些細な事ですら敵を作ってしまう可能性はゼロじゃないからな。
 本当に面倒くさいよ……
 それに何でお見舞いされる側の人間が服装を整えなきゃならないんだ……
 いや、王族なんだから威厳だ風格だのの為なんだろう事はわかってるがな。

「……それで? 最初に来る人はどんな人なの? 僕これでも記憶が無いから、事前にどんな人でどういう立場の人なのか説明しといてもらわないと、流石に困るよ?」
「それは勿論承知しております。ですがもし仮に相手方に失礼があったとしても、レオモンド様が記憶喪失なのは知っておいでなので、問題はないと思われます。それにレオモンド様はこの国の王族であらせられます。そのようなお方の行為を失礼と考えるのは不敬でございますから」

 ナタリーは俺の後ろに立ちながら、胸を張ってそう言った。
 この感じは本心でそう言っているのだろうな。
 だが俺は、見知らぬ誰かをそこまで信じる事は出来ない。

 それにいくら王族だと言っても、派閥はあるだろう。
 俺は仮にも第三王子という事らしいから、第一王子や第二王子が上に居るという事。
 要するに俺は三番目という事だ。

 この国の王位継承権がどうなっているのかはわからないが、普通に考えれば生まれた順番。
 つまり、今俺がわかっている範囲では俺は王位継承権三位という事だ。

 この先甘い蜜をすすりたいと考えている者は、俺ではなく上の二人についている事だろう。
 仮に第一王子に不幸な事故・・・・・が起こるとしても、次に王位継承権があるのは第二王子だ。

 継承権が三位の俺に無条件に媚びへつらってくるような人間はほどんど居ないだろう。
 幼い俺を懐柔し、国を自身の思い通りに動かしたいと考える者以外はな……

 もしかしたらそう言ったことが起こるのを防ぐために、俺は命を狙われたのかもしれない。
 とは言え、そんな事で命が危険にさらされるなんてごめんだがな。

「そうかもしれないけど、一応知っておきたいんだよ。ダメかな?」
「いえ、そんな事は決してありません! レオモンド様が望まれるのであれば、何なりとお答えいたします」
「それじゃぁ、これからどんな人でどんな立場の人が来るのか教えてくれる?」
「かしこまりました。まず最初にお越しくださるのは王族の方々です。順番に第一王子のアルフレッド様、第二王子のコルネリウス様、第一王女のシャルロッテ様がお越しくださいます。国王陛下と王妃様は緊急の用件入ったらしく、今日はお越しになりません。アルフレッド様は真面目で優しいお方ですが、コルネリウス様は少し気難しい方だと思います。シャルロッテ様はまだ少し人見知りなところがおありだと存じております」

 まずは王族、ね?
 レオモンド少年が良好な関係を築いてくれていればいいんだがな。
 果たしてどうなることか……
 気がかりなのは第二王子と第一王女だろうな。

 しかし国王と王妃に会えないのは残念だ。
 一応この世界での父親と母親という事になるんだろうからな。
 顔ぐらいは見ておきたかった。

「そして王族の方々の後に、地位の高い方が数名お越しになります。その方々に関しましては、その都度お話しさせていただきます」

 地位の高い人間数名、ね。
 流石に王族だけあって、そこら辺は色々と決まりがありそうだな。
 ある程度の地位が無ければ会う事は出来ない、みたいなのがな。

 だがまぁ~、何事もなく終わってくれればそれに越したことはない。
 俺はそう思いながら椅子に深く腰掛け、小さく、ゆっくりと息を吐く。


 それから待つ事数十分。

「すまない! 少し遅れてしまった」

 部屋に入ってきた十代前半ぐらいの少年は、軽く息を切らしながらそう言った。
 少年の後ろには腰に剣を携えた男性が二人、少年を守るかのように立っている。

 恐らくあの二人は護衛だろう。
 という事はこの少年が第一王子…………

「いえ、時間ピッタリございます」

 ナタリーは部屋に入ってきた少年に向かって、優しく微笑みながらそう言った。
 時間等に関しては俺は全く持って知らない。
 その辺りの事は俺が記憶喪失な事を考慮して、ナタリーが全てやってくれた。

 正直俺に任されたとしても今はまだこの国の上下関係等がわからないし、しきたり等もあった場合わからないのでそれはよかった。
 だが確認ぐらいは取ってほしかった。

 多分色々な都合があったんだろうが、それも一応確認は欲しかった。
 もし次があるならその辺りの事を言っておいた方が良いかもしれないな。

「それはよかった。……それで、レオモンド? でいいのだろうか?」

 少年はそう言って胸をなでおろしてから、俺の顔を見ながら不安げにそう尋ねてきた。

「はい……と言いたいところですが、残念ながら貴方の知るレオモンドではなくなってしまっていると思います」

 俺がそう答えると、少年はハッとした表情を見せる。
 だがその直後、少年の表情は少し残念そうなものへ変わった。

「そう、みたいだね。でも君が僕の弟であることに変わりはないよ。無事でいてくれて本当に良かった」

 少年はそう言いながら、俺に向かって優しい笑みを向けてくれた。
 あぁ、この人は本当に優しい人なんだろうな。
 記憶が無くなった弟に対して、心の底からその弟を気にかけているような表情。

 これが嘘や演技であったとしても、今はそう思わずにはいられない。
 と言うか、これを嘘や演技とは考えたくない。

「すまないが、レオと呼ばせてもらって構わないか? 実は昔からそう呼んでいて、そっちの方が呼びやすいんだ」
「はい、大丈夫です」
「ありがとう、レオ。一応レオにとっては初対面という事になるだろうから、軽く自己紹介をさせてもらうね。僕の名前はアルフレッド・エオルド・ダイアー。君の一番上の兄になる。僕の事は気安くアルと呼んでくれて構わない」
「流石にそれはアレなので、アル兄さまと呼ばせていただきます」
「フッ、そうか」

 俺がそう言うと、アルフレッドは嬉しそうに少し笑いながらそう言った。

「どうかされましたか?」
「いや、何も。ただお前はやはりレオなんだなと思っただけだ」
「?」

 俺がアルフレッドの言葉に首を傾げていると、アルフレッドの後ろに居る男性の一人が、申し訳なさそうにしながらアルフレッドの耳元で何かを話し始めた。
 そしてその話が終わったかと思うと、アルフレッドは小さくため息をついた。

「すまないレオ、この後まだやらなければならない事があるらしいだ」
「いぇ、お忙しいところ態々ありがとうございます」
「こちらこそ元気な姿を見れて良かったよ。……でも次会う時には、もう少し他人行儀じゃなくなっていたら嬉しいな」

 アルフレッドは小声でそうつぶやきながら、名残惜しそうに護衛の二人を連れて部屋を出て行った。
 他人行儀じゃなくなってたら嬉しい、か……

「……ナタリー。昔の僕って、アル兄さまとどんな風に話してたの?」
「どんな風ですか? そうですね……レオモンド様はアルフレッド様の事をかなり慕っておいででしたから、砕けた感じではありましたがそれなりに敬意をはらっておられたと記憶しております」

 要はかなり懐いていたって事か……
 そりゃ今まで慕ってくれていた奴が、急に他人行儀になればそうも思うか。
 とは言えそれが理解できるからと言って、俺にはどうしようもない。

 彼からすれば久しぶりなのかもしれないが、俺からすれば初対面の相手でしかないのだ。
 今後どんな関係になるかはわからないが、とりあえず今は近づき過ぎず、離れすぎない、そこそこの関係で様子を見る方が良いだろう。

「ありがとう」
「いぇ、この程度の事お礼を言われるほどの事ではございません」

 ナタリーはそう言いながら丁寧に頭を下げる。
 それを言うなら、この程度の事で頭を下げられるほどの事じゃない。
 だがそれを言ってしまえば押し問答になるのはわかりきっている。
 
 なので俺は口には出さず、そう思うだけにとどめる。

「次に来るのは第二王子だったよね?」
「はい、その予定です」
「確か気難しいって話だったけど、僕はその人とはどんな風に接してたの?」
「……コルネリウス様とレオモンド様は、私が知る限りあまり仲がよろしくなかったので、会話自体それ程なかったと存じます」

 ナタリーは少し言いにくそうにそう言った。
 第一王子とは違い、第二王子とはあまり良好な関係を気づけていなかったという事か。
 果たしてそれがレオモンド少年に原因があったのか、はたまた第二王子に原因があったのか気になるところだ。

 だがそんな疑問は、数分後に部屋に入ってきた騎士風の男性によって解決する事になる。
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