狂気の最凶復讐鬼 ~最強の魔法を開発したので、勇者も聖女も両親も、いじめた奴らを全員嬲り殺して、殺して、殺して、殺して、殺すことにする~

輪島廻

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第一章 復讐の焔は村を包み込む

6、復讐心だけの結び付き、それだけの関係。

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 一通りの試し撃ちを済ませたソータとルーシャは、プラメト村の中を歩いていた。

 痩せたソータの顔はバランス良く整っており、ルーシャと並んで歩いていても露骨に驚かれたり、恨みの籠もった目で見られたりはしなくなっていた。

「そうだ、アンタ今からあたしんち来ない?」
「はぁ?」

 唐突にそう言い出したのはルーシャ。ソータはそれに驚きを隠せない。
 そしてソータは、それを聞いた村の男達に、今度こそ恨みがましい目で見られているのを感じた。顔が良くなって少しは目立たなくなったとはいえ、目の前で美少女の家に招待されていたら嫉妬するのが男の性だ。

「……どうしてそうなった?」

 ソータは、成り行きを見守る男達をスルーしながらそう聞き返す。
 全く招待されるような心当たりはないし、わざわざ行きたいとも思わない。

「あたしんちは代々この村の伝統料理を引き継いできてるのよ。それで、明日でこの村も滅びるし、アンタにも食べといてもらいたいと思って」

 この説明で納得がいったかと言われると、ソータはあまり納得がいっていなかった。
 村が滅びても、ルーシャが作り方を知っているのならまた作ることが可能だし、ルーシャが食べたいだけならばわざわざソータが付いていく必要もない。

「絶対に美味しいから……お願い!」

 普段は高圧的な態度を取ることが多いルーシャが、頭を下げた。
 何かそこまでして家に来てほしい理由があるのかという疑問と、もう二度と食べられない料理があるのなら、それを食べてみたいという好奇心が、躊躇うソータを後押しした。
 結局ソータは付いていくことにした。

 歩き出すと、遠目に様子を伺っていた男達の視線乗った感情が一気に増幅した気がしたが、ソータはそれに構わない。

「で? ルーシャの家まではどれくらいなんだ?」
「歩いて一〇分くらいよ」
「案外近いんだな」
「この村狭いんだからたいていの場所はそれくらいで行けるじゃない」

 それ以降静寂が訪れる。

 ソータは新たな話題を提供する気にもならず、久しぶりに見た村の田舎な風景を見回す。
 ここだけ見れば穏やかな村だ。
 しかし、長年ここを舞台にいじめられてきたソータには、ここがとても恐ろしい場所に感じられた。
 長年ソータを育ててきた村。今まで溜めてきた復讐心思いが眠る場所。
 それを明日燃やすのだ。
 ソータの口元がニヤリと笑う。

 そのまま会話のないまま歩き続け、二人は目的の場所に到着した。
 木の枝や草を中心にして造られた、小さな家だ。この世界の農村では、このような家がほとんどである。

「ここよ。入って」

 そう言いながら、ルーシャは家の扉を開ける。
 ソータはそれに従ってその中に入っていく。
 外見に違わず、そこは普通の家だった。広くも狭くもない、普通の家。

 ソータは通された居間で座って、目的である料理を待ちながら、部屋の様子を気にして顔を回す。
 その部屋は、綺麗に片付けられ――というか、物がほとんどなかった。テーブルと椅子があり、キッチンに料理の痕跡がある以外は、生活感がない。
 まるで、この部屋では誰も暮らしていないかのような――

「両親なら死んだわ。あたしが研究に没頭している間にね」

 背後から聞こえた声に、ソータは振り向く。
 部屋の様子を気にしていたことは、どうやらバレバレだったらしい。

「事故よ。どっかの馬車に轢かれたらしいわ」

 悔しそうな顔をしていた。
 当然だ。ルーシャにとって、両親とはそれほど大きい存在だった。唯一の心の拠り所だった。

「あたしは後悔したわ……。くだらない復讐心なんかに捕らわれて引きこもらなければ良かったって。……あたしにとっては復讐よりも両親の方が大切なのよ」

 やはりか、とソータは思う。
 ルーシャの復讐心は驚くほどに強く、ゾッとするくらいの迫力を持っていた。だからソータは、ルーシャの行動原理が復讐のみに影響されているのだと勘違いした。
 しかし、復讐以外のこと以外にも、いろいろなことが彼女の行動に影響していたのだ。

『あたしがどんな見た目になろうと同じように接してくれる……』

 確かそう言っていたなと、ソータは過去の言葉を思い出す。
 あの時、ソータは信頼を寄せられても困ると言った。ソータにとっての最優先は飽くまでも復讐であり、ルーシャはそれを盛り上げる為に、共犯者にしたに過ぎない。
 だからソータにとってルーシャは、少し特別な関わりがあるだけの、その点以外は別に重用する必要がない人間なのだ。

 しかし、ルーシャはソータの予想とは違った。
 彼女には両親に代わる、心の拠り所が必要だったのだ。
 そして、共通の目的を持ったソータが選ばれた。
 けれど、ソータとしては、ルーシャが復讐以外のところで自分を必要としても助けるつもりがない。むしろ、復讐の妨げになる可能性がある彼女を、ソータは切ろうとする。

「俺に必要なのはお前本人じゃない。その能力と復讐心だけだ。復讐以外のところで俺に負担をかけさせるのなら、俺はお前とは組まない」

 しばしの静寂が部屋を包み込む。
 そして、ようやく紡がれる言葉。

「……続きをつくってくるわ」

 ソータはそう言いながら台所の奥に消えていくルーシャを見つめる。
 その足取りは、どこか緊張しているかのような重いものだった。

 ルーシャがここで手を切る選択をするのなら、ソータはそれを止めようとは思わないし、村に愛着を持ってしまってソータの敵に回るようなことがあれば、手加減はしない。

 ソータは危ういルーシャに、警戒心を少し強めた。
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