竜の国の異邦人

風結

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風盗作戦

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「ぴゅ?」

 起きたようなので、皆は足を止めて様子を見る。
 もぞもぞと、頭陀袋ずだぶくろが揺れるがーー無風。
 「光球」が三つ、闇を小さく押し退けている。

「ゅ~」

 再び、寝息が聞こえてきたので皆は歩き始めた。
 先頭は、頭陀袋を抱えたコルクス。
 僕、エルムス、ワーシュ、リャナ、ミャンと続いて、最後尾にホーエル。
 東の竜道は狭く、一列になって進んでいる。
 皆は荷物を背負っているので、擦れ違うことは出来ない。
 対向者が来た場合は、一定区間ごとに左右に掘られている交差所で擦れ違うことになる。
 東の竜道に入ったのは、深つ音を過ぎてから。
 魔法で監視しているのか、歩哨ほしょうは見当たらなかった。
 それから夜もすがら歩いて、一つ音になったかどうか。
 日が昇ったとしても、竜道に居る限り、それを感じ取ることは出来ないーーかと思ったが、獣と虫と毛玉の感覚は特別だった。

「ケモ~、ケモ」
「ギィ~」
「ケモとシロップとギル様が言うには、もうすぐ出口で、竜道を抜ける頃には明るくなっているそうだ」

 口数が少なくなっていた皆の口から、安堵の息が漏れる。
 景色の変わらない一本道。
 それは南も東も同じだが、東のほうが圧迫感が凄かった。
 どこまでも続く、狭い道。
 単調さに、感覚は鈍くなって、永遠に続いているのではないかと錯覚してしまいそうになる。

「……何だか、皆のペースが、途中から……、少し速くなったような気がしていたが……きっと、たぶん、……私の勘違いではないのだろう」
「早く竜道を抜け出したい、という気持ちが反映されたみたいだね。後ろから二番目になれば、押してあげられたんだけど」
「あたしはまだまだ余裕あるよん? 後ろから荷物オシオシするるん?」
「……いや、竜道を抜けたら休憩だろうし……、そこまでは、男の沽券を守って……おくことにしよう……」

 ケモの提案で、半ばを過ぎた辺りから、エルムスは僕の荷物を掴むというズルをしていたのだが、ここは黙っておくことにする。
 エルムスは竜の国に来てから嘘が上手くなったが、きっとリシェの所為だろう。
 それと、もう一つ。
 東域から竜の国へ、それから冒険者として活動していたが。
 エルムスに体力の向上は見られなかった。
 ここまでとなると、身体的な問題があるのかもしれない。
 今更気付いても獣の宴ておくれだが、ヴァレイスナかユミファナトラに相談しておけば良かった。

「ケモ~、ケモ~」
「がん…ば……りゅー」

 ケモは上機嫌で、後ろを向いてエルムスを応援した。
 エルムスは、なけなしの気力を振り絞ってケモに応える。
 因みにケモは、僕が背負っている荷物の上に座っている。
 ケモは歩くと言っていたが、身長差があるので東の竜道では危ないーーということになって、前方警戒要員になった。
 始めは、すまなそうにしていたケモだが、荷物の乗り心地が良かったらしく、途中からは楽しんでくれていた。
 ケモと繋がっている僕の心も軽くなって、皆には悪いが、エルムスという重荷があって尚、僕の疲労は少なかった。

「を? 臭いってか、匂いか? もーすぐみてぇだな」
「ケモっ、ケモ~」
「ギィ~っ!」

 陽の匂い、或いは風の匂いだろうか、朝が弱いシロップもクルクル回転して喜びを分かち合う。

「~ぅ」

 まだ眠っている。
 もう竜道の出口なので、第二関門突破。
 第一関門は、「風盗作戦」の肝である「風盗」ーー風竜ラカールラカの誘拐。
 遣らかし、とやらでラカールラカはリシェの居室には居なかった。
 「双巫女」の部屋かと思って、ワーシュが魔法ーーではなく直接、居室を訪ねて確認するという奇策あらわざ(?)のお陰で、ラカールラカの翼取りじょうほうまで獲得ゲット
 失敗すれば、出発は明日に延期するところだったが。
 ワーシュが得た情報を元に、「飛翔」で上空から捜索していたミャンが、煙突に頭から突っ込んでいた風竜を発見。
 引き抜いてみたら、気持ち良さそうに眠っていたので、そのまま頭陀袋に入れて東の竜道に向かった。
 恐らく、煙突は風の通り道か、吹き溜まりになっていて、眠ったまま飛んでいると時々、嵌まってしまうのだろう。
 風竜除けに、煙突の先端に金網か何かを設置したほうがいいのかもしれない。

「着ーいーたーのーふぁぶっ!?」

 半分、眠りながら歩いていたので大人しかったミャンが、覚醒した途端にホーエルに口を塞がれる。

「出口から出たら、急な斜面だ! 気を付けろ!」

 ホーエルに合図したコルクスは、皆が竜道に出てくるまで警戒を行う。
 皆は焦らず慎重に荷物を置いて、すぐさま戦闘態勢にーー。

「ほ? ……弱ってた?」
「どうだろう? 巨体の、オークらしき魔物で、鉤爪となれば。あれが南の竜道の案内係が言っていた『巨鬼オーグルーガー』だろう」

 突如、オーグルーガーは生物とは思えないくらい硬直してかたまって、人形のように、ばたりと倒れた。
 皆は警戒を緩めず、ミャンは「聖語」を描いていたので、先ずはミャンの手を掴んで止める。

「ライル! 我の活躍を邪魔するななのだ!」
「邪魔をするつもりはないが、死体に魔法を打ち込んでも魔力の無駄」
「ふぬ?」
「ま、そーだな。魔物が擬死しんだふりってのは、あんま聞かねぇし、石でも投げて反応見てみるか」

 コルクスが手頃な石を探している間に、ホーエルが皆を代表して尋ねてくる。

「ライルはオーグルーガーの死因に気付いてるようだけど、ライルが遣ったわけじゃないよね」
「ああ、僕が遣ったわけではない。ケモが『無音圧殺爪ナグルファル』で瞬殺した」
「ケモ~」

 ケモが両手を挙げると、にょきっと爪が出た。
 結構、鋭い。
 切れ味も良さそうだ。
 灌木の枝くらいなら、スパスパ切れるだろう。
 人前で爪を出す際は、僕の許可が必要、ということにしたほうが良さそうだ。

「ほ?」
「因みに、ギル様の『夢幻千棘ボルソルン』でも可」
「ギィ~っ!」

 ケモに対抗しているのか、ギル様の毛玉の上部が、しゃきんっと尖った。
 たぶん、黒毛を射出することが出来るのだろう。
 これまで披露したことがなかったということは、威力はそれほどでもないのかもしれない。

「んー? じゃーシロップは?」
「ネタ切れなので、ワーシュに任せる」
「ほわっ、そんな期待されてもても!?」

 クルクル楽し気に回って、ワーシュの「創作技名ひっさつわざ」を待ち侘びるシロップ。
 ミャンが次々に技名を叫ぶが、意外に厳しいシロップにすべて却下されてしまう。
 誰も見ていない中、石を投げたコルクスは、不貞腐れながら戻ってくる。

「ライルが冗談を言うとは。ーー何か、深刻な事態でも発生したのか?」
「そういうわけではない。ただ、僕も皆と旅をして、竜の国に来て、リャナやミャン、竜や多くの人と出逢って、成長したかわったところを見せたかった」
「ケモ~、ケモ~」

 僕は変わった。
 ケモも変わった。
 それは、皆のお陰だ。
 ーー「魔触」。
 その切っ掛けとなった少女は。
 ーーまだ、ウジウジしていた。

「オーグルーガーを倒したのは、『針』だ」
「っ……」

 おかしい。
 リャナの瞳を見ればわかる。
 出逢った頃とは異なる、強さの証し。
 であるのに、どうして未だに、自身に自信が持てないのだろう。
 性格、ではあるのだろうが、他にも何か、要因があるようだ。

「審査員が『刹那の魔力』と言っていた。『針』を、更に細分して、対象に。対象に当たる寸前に、纏まって『針』となる。オーグルーガーは認識することすら敵わず、雄叫びを上げようと口を開いたところで、『針』によって絶命した」
「ちょっ、ちょっちょっ、ちょっと待って!? なにっ、その絶技っていうか、必殺技!?」

 魔法に造詣ぞうけいが深い分だけ、その高過ぎる難易度を実感したのか、ワーシュはリャナに詰め寄った。
 それとは逆に、拗ねたような口調でミャンは淡々と言った。

「前から言っているのだ。リャナは凄いのだ。今はまだーー、リャナのほうが『魔女』に近いのだ」
「そういえば。シィリさん以外は皆、シィリさんを褒めてたよね。『魔法王』やヴァレイスナ様にも目を掛けられてたみたいだし、自分のことが一番……」
「って、そーんなことよりもっ! どーやって『針』打っ刺した、とゆーか、刺しただけ、とゆーかーっ!?」

 暴れ竜どっかんになったワーシュを、エルムスとホーエルが止める。
 これ以上、引き延ばすと、ワーシュが暴れ獣ぼっかんになるかもしれないので、本人から説明してもらうことにする。

「オーグルーガーの体内に入ってからのことは、僕にはわからない。ケモも、はっきりとはわからなかった。ワーシュを正常に戻す為にも、説明して欲しい」
「……その、ライルさんは、どうして『針』に気付いたのですか?」
「僕は以前より深く、リャナを感じている。前は、リャナの魔力を見逃さない、言ったが、今の僕は。触れた魔力リャナの感触を、心地を、生涯、忘れることはない」
「っ……」

 何故だろう。
 リャナが説明する番なのに、彼女は反対側を向いてしまった。

「ケモ、ケモ」
「持病も? え? 僕のほうの持病?」
「ラぁ~イルぅ~っ!! いたい娘をゆーわくしてないでっ、魔法使いはどんぶらこっ!?」
「オイオイ、け、が抜けてんぞ。『いたい』じゃなくて『いたいけ』だろ」
「突っ込むのなら、『どんぶらこ』のほうじゃないかな」
「『どんぶらこ』は、重みのある物などが水に浮き沈みしながら漂うさま、という意味だ。ワーシュの精神状態を表現したということなら、あながち間違いとも言えない」
「ギィ~~っっ!!」

 収拾が付かない。
 ミャンまで加わったら、終獣ーーと諦めようとしたところ。
 「針」を行使しようと奮闘する魔法娘は、竜の領域あっちのせかい
 そして。
 ここまで騒がしくすれば当然、ラカールラカは目を覚まーーさなかった。

「ケモ、ケモ」
「うん、一緒にやろう」
「~ゅ」

 紐を解いて、垂れ耳風竜を頭陀袋から引き出そうとしたら。
 竜に嫌われ体質の、僕の気配を察知したのか、僕から距離を取るラカールラカ。
 そんなことをすればどうなるかというと。
 頭陀袋が坂を転がり落ちていった。

「ぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃ~~っ!?」

 頭陀袋の中に居るので、状況が理解出来ていないらしい。
 なので、新しい造語を作ることにした。

頭陀袋ふくろに入れば、風竜も転がる」
「ケモ!」
「魔法で止めます!」
「たぶん、ラカールラカに魔法を使おうとしても、竜の魔力に遮られて効かないと思う。ラカールラカは竜だし、自力で何とかしてもらおう」
「ぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅ~~っ?!」

 無理そうだったので、コルクスに頼むことにする。

「コルクス。ラカールラカはまだ必要だから、拾って、宥めてきてくれ」
「了解。ってか、避けられてんのは知ってるが、もー少し風竜様にも、ケモの半分くらいでいーから優しさ分けてやれって」
「善処する」

 僕の答えには期待していなかったのか、返事を聞く前に、すでに行動に移っていた。
 靴の踵と側面を利用して、コルクスは滑るように斜面を下っていった。

「リャナ。ワーシュを炎竜から地竜にする為に、コルクスが戻ってくるまでに説明してあげて欲しい。対象に察知されないように、地面すれすれを移動させたところまではわかっている」
「ほ? それゆけそれゆけ天竜雷竜?」
「ケモ、ケモ」
「うん。魔力の緻密さから、ケモの魔力感知には引っ掛からなかったが。僕の目と、リャナへの僕の執着が、捉えることを可能にした」
「……っ」

 再び、反対側を向こうとしたリャナを、恨めし気な顔のミャンが止めた。
 予想出来たことだが、ミャンは「針」を使うことは敵わなかったようだ。

「出来ないのだ。コツを教えるのだ」
「……わかりました。実演してみせます」

 リャナが人差し指を曲げると、氷というより硝子のような透明な「針」が出現した。
 それを見て、エルムスが率直に尋ねる。

「これだけの透過率となると、高透過ガラスなのか?」
「硝子ではありませんが、属性は地です。あたしが使える属性であれば、同じような『針』を作ることが出来ます」
「……ほ? いやいやいやんいやんっ、複数の属性でこんなこと出来るって、……マジマジ?」
「その……、これは皆さんにわかるようにしましたが、行使する際は視感反射率をーー、こうします」

  リャナがゆっくりと人差し指を曲げていくと、「針」は薄くなっていって、ーーそして、見えなくなる。
 指を元の位置まで戻すと、再び「針」が見えるようになる。
 他の四指を曲げると、「針」が細分化される。

「この状態で、ライルさんが言ったように地面近くを滑空させ、そこから『針』に戻した上で上昇。斜めに突き刺す、その半ばで、再び細分化させます。その後に、状態を変化させます」

 細分化された「針」の欠片は、リャナが手を握るのに合わせて、形を変えた。
 向きを変えたり、尖ったり膨らんだり、それに、属性の範囲内で性質も変えているように感じられる。
 これが、オーグルーガーの頭部で起こっていたこと。
 その事実に思い至った瞬間に、皆は何も言えなくなる。
 だが、リャナの「針」はこれだけではないはず。

「ホーエル。そこら辺の石を拾って、魔力を纏わせてくれ。出来れば、全力で」
「……あ、うん、わかったよ」

 皆と同様に、絶句していたホーエルだが、僕が頼むと素直に従ってくれる。
 ホーエルも興味があったのか、手頃な大きさの石に全力で魔力を注ぐ。
 僕がリャナを見ると、彼女は諦めたように頷いてから、「針」を生み出す。

「ケモ、ケモ、ケモ」

 ケモが言ったように、三本の「針」。
 それぞれに、異なった性質。
 一本目の「針」は砕けて、二本目が穴を開けて、三本目が石に吸い込まれると、破砕。
 一瞬の出来事。

「ケモっ、ケモ~」
「僕たちの中で、最も魔力操作が得意なホーエルでも防げない。でも、幾つか弱点はありそうだ」
「はい。恐らく、ミャンが魔力を纏えば、『三針』は跳ね返されます。また、『針』は脆いので、硬い皮膚の魔物や防具を貫通することは出来ません」
「そ、そうなのね……」
「でも、『針』は一つの手段にしか過ぎない。リャナには、他にもあると思う」
「……ほけ?」
「あ、はい。元々、色々と考えていました。ただ、私には使えないと思っていました。魔験の際に、思い切ってやってみたらーー、多くの『術』を使うことが出来ました。たぶん、『地竜の杖』のお陰です」

 リャナはそう言うが、「地竜の杖」を持った魔法使いが、彼女と同じことが出来るとは、とてもではないが思えない。
 「地竜の杖」の恩恵があったとしても、その大部分はリャナ自身の力だろう。

「え?」
「ケモ! ケモ!!」
「ぴゅー。問題なー」

 リャナが周囲を見渡して、ケモは鋭く警告を発した。
 そこにコルクスが戻ってきて、彼にくっ付いていたラカールラカが乾燥した風のような声を出した。

「周囲を……、千、いえ、万を超える『針』で、……取り囲まれています」
「僕には感じ取れないが、この『術』を成した存在の正体はわかる。というか、ヴァレイスナしか居ない」
「あら、どうしてわかったですわ?」

 ひょこっとホーエルの背中から、氷眼と氷髪が、笑顔と共に現れる。
 誰よりも先ず、ケモが仰天した。

「ケモノーーっっ?!」
「僕が答える前に、どうやってケモの鼻をたばかったのか教えて欲しい」

 即座に僕の後ろに隠れたケモの手は、プルプル震えていた。
 ケモにとっては、それほどの、有り得ない事態だったらしい。

「そうですわね。単純に、ケモに経験が足りてないだけですわ。私は、私自身に気配を留め、それから、他のすべてが、私を通過するように偽装したのですわ。しばらくすれば、ケモなら『偽装』を見抜けるようになりますわ」
「……ケモ」
「ひゃふふのふ。当然、『偽装』が見抜かれたところで、他に手段は幾らでもありますわ。そんなことより、ケモは私にお礼くらい言えですわ」
「ケモ? ケモっ、ケモ~っ!」
「ケモは、ありがとう、と、ごめんなさい、を一緒に言っている。僕からも、ありがとう、と言わせてくれ。ヴァレイスナのナイフのお陰で、僕は今も、ケモと一緒に居られる。それから、ーーナイフをありがとう」
「ケモ?」

 ケモには上手く伝わらなかったようだ。
 僕の身代わりとなって、粉々に砕けたナイフ。
 そう、ナイフは粉々に砕けてしまったのだ。
 ナイフを作った本竜ヴァレイスナは、どう思ったことだろう。
 恐らくヴァレイスナは、ナイフが壊れることを想定していなかったはず。

「一日使って、今度は一から造ったですわ。ケモは私に近付きたくないでしょうから、ホーエルから……」
「ケモっ!」

 僕が前屈みになると、ケモは僕の背中からホーエルの肩に。
 ヴァレイスナの気配に慄いて退きそうになるが、ケモはーー。

「ケモ、ケモっ!」

 しゃがみ込んで、氷竜から直接ナイフを受け取ってから。

「ケモ~」
「一日分の代金に、相応のものを貰ったですわ」

 そう言って、ヴァレイスナはホーエルの背中の後ろに消えていった。
 どうやら、ケモで楽しんでしまってまんぞくして、僕の答えは要らないようだ。
 ケモのナイフ。
 前ケモナイフと似ていたが、一つ、異なっている箇所があった。
 持ち手の下の部分が空洞になっていた。
 ケモはまったく気にしていないようで、僕の許に戻ってくる。
 僕にナイフを渡そうとしてきたので、逆に、ケモの背負い袋を差し出した。

「ケモ、ケモ!」
「うん。今度は、ケモがきちんと管理しないとね」

 受け取った背負い袋に、ケモがナイフを仕舞おうとしたところでーー。

「ケモ? ケモっケモっ!」
「ーー来たようだ。ただ、ケモが言うには、見知らぬ気配が二つ、同行している」
「おややん? ってことは、『風盗作戦』は成功ってことん?」
「ぴゅ~?」
「半分は成功。あと、『氷盗作戦』のことは皆、黙っていてあげて。僕の予想だと、リシェを謀るのは無理」
「そんなことないですわ。やってみせますわ」
「ヴァレイスナ。リシェの執着を甘く見ないほうがいい。恐らくリシェは、ヴァレイスナが世界中のどこに居たとしても、必ず見つけ出す」
「ひゃふ……」
「……ケモ」

 ヴァレイスナの気配が完全に絶たれた。
 こんな近くに居るというのに、ケモでもわからないようだ。

「凄いわねぇ。見えないし、感じられないし、触ろーとすると認識を阻害されるし、それに気付くことも出来ないっぽい?」

 ホーエルの後ろに回ったワーシュが様々に試すと当然、大人しくしている魔法娘たちではない。
 コルクスがミャンを止めたので、僕はリャナを止める。

「あー、ほれほれ。そろそろあっちからでも見えるだろーし、しとけって」

 コルクスの言葉で、準備を始めるミャン。
 「聖語」を描いて、先制攻撃を行うようだ。
 リャナも、心の準備はしておいたほうがいいと思うのだが、彼女はこの先の展開が読めていないようだ。
 二つの竜影が山脈から現れたところで、天壌てんじょうから溢れるようなミャンの「聖語」がほとばしる。


   星の光を導くは魔力の茅生ちせい
   穂に蓄えし揺るぐ地上の天環
    果てを識れ
   めぐる機会に星霜を語らしめよ
   源輪よ 窺知きちするに足る火群ほむら
   夢凪よ よみする者のうべなう先に
    おもてを揚げよ
   写しの波間に輝くは魔力の砂州さす
   礫が紡ぎて拾い上げし地鳴
    魔は廻る
   舞われ 舞われ 舞われ
    魔はまさ
   舞われ 舞われ 舞われ
   明日に踏む 先にこそらせ
   天児あまがつとして捧ぐ仮初めの母地へ


「『天雅』」

 ミャンが描いた「聖語」に応えて舞い踊る、天を焦がす圧倒的な光群。
 大炎のように揺らめくそれは、天壌てんじょうを繋ぐ夢の架け橋。
 空から舞い降りる竜をも呑み込む、光の波濤がーー。

「『竜巻』」
「『光臨』」

 竜に挑んだ魔法使いの如く、吐息のような儚さで消滅してしまうのだった。

「うーわー。これは酷いわー」
「草の海の竜巻よりも凶悪な、風の暴虐。天の柱、とでも表現したくなる、光柱の顕現。恐らく、これでも全力ではないのだろう」
「ふがーっ! 遣り直しを要求するのだ!!」
「ギィ~~っっ!!」
「ケモ、ケモ?」
「コルクス。ラカールラカが寝ているから起こして」
「を? ……マジだ、気持ち良さそーに寝てんぞ」

 二竜の魔法の前に、皆はお手上げ状態。
 わかっていたことだが、グダグダになる。
 二つの魔法で、広範囲の地面が穿たれ焼かれて、酷いことになっている。

「せ~のっ」

 コルクスは心を竜にしてーー気持ち良さげに眠る風竜を起こせなかったので。
 心を獣にしてラカールラカに頭突きをした。
 良心の呵責を緩める為の代償行為のようだ。

「ひゅー?」
「我は『千竜王』が右角! 天竜エイリアルファルステなり!」

 風と光が治まると、空中に浮かんでいる、ぼんやりとした髪の青年が名乗りを上げた。
 頭の天辺から立派な角を生やしている天竜。
 風髪の青年は、じろりとエイリアルファルステを見遣るが、気を取り直して名乗りを上げた。

「我は『千竜王』の左角! 風竜ランドリーズである!」

 ランドリーズはリシェの右側に居る。
 恐らく、ランドリーズは「右角」のほうが良かったのだろう。
 どちらも東域の竜のようだが、風竜よりも天竜のほうが厄介そうに見える。
 だが、ランドリーズはラカールラカと同じ風竜。
 となれば、こちらも油断は出来ない。
 ランドリーズは、ラカールラカと同じ位置から角を生やしているが、こちらは渦を巻いていない。

「両角の主たる『千竜王』が問う。如何なる理由によって風竜をかどわかしたか」

 魔力を宿した言葉と共に、風が舞う。
 風の隙間から現れるように、四本の巨大な「氷柱」が出現。
 見下ろす少年のおもてには、一切の慈悲はなく。
 正にこの世の悪のすべてを集めて顕現する、邪の極み。
 「千竜王」ーーランル・リシェ。
 当然、「魔女」を越えることを目標と定めるミャンが黙っているはずがない。

「ついに現れたのだっ、『邪魔王』! 我の目が黄金の輝きを宿す間はっ、悪が蔓延はびこる余地など与えないのだ!!」

 最前に出るミャン。
 僕はコルクスを促してから、ケモと一緒にミャンの横に並んだ。

「ケモ~っ! ケモ~っっ!!」
「獣の眼は真実を見極める! 悪の栄えた試しなし! 『邪魔王』に降る鉄槌! 今こそまさに断罪の時!」

 ケモの言葉を拡大解釈してリシェに叩き付ける。
 あと、ミャンの「邪魔王」発言に、リシェは眉をぴくりと動かしていたので、僕も「千竜王」ではなく「邪魔」の部分を強調することにした。
 そして、ミャンの斜め後ろで、ラカールラカをくっ付けたコルクスが叫ぶ。

「世界の敵っ、『邪魔王』! 世の平安を乱そうとはっ、不届き千万! 風竜様の風下にも置けるものか!!」
「ひゅー?」

 自身には関係ないと思ったのか、また寝入ろうとするラカールラカ。
 だが、それでは困る。
 目を覚ましたばかりで、状況を理解していないラカールラカを唆すことにする。

「ラカールラカ。『邪魔王』を倒せば、リシェは『不滅の寝台エターナルバース』になってくれるかもしれない」
「ぴゅ~?」
「え、あの……」

 ラカールラカに言ってから、最後にならないようにと目線で伝えたが、リャナには了解してもらえなかった。
 だが、リャナもダニステイル。
 昔はリャナもそうだったらしいから、たぶん大丈夫だろう。

「びゅ~っ! りえはもう少し、わえに優しくするのあ! ちょっと遣らかしたくらいで、寝床禁止なのは良くなー!」
「あれ、ラカ? 僕の耳がおかしくなったのかな? 今、『ちょっと』、とか言いませんでしたか?」
「びゃっ!? ……風竜は聞いたのあ! りえを倒せば『不滅えいきゅうの寝台しゅうしょく』なのあ!」
「……は?」

 獣にも竜にも、勢いで押し切って、戦う気満々のラカールラカ。
 藪獣のような気がしないでもないが、竜の本能なのか、戦って勝ち取ることを選択したようだ。
 リシェの本心はわからないが、ラカールラカが勝てば、それなりの譲歩はするはず。
 そもそも、他竜本願なので、ラカールラカに戦ってもらえないと、炎竜氷竜どっちらけになってしまう。
 ラカールラカがいい勝負をしてくれれば、ヴァレイスナも角を貸してくれるかもしれない。

「天下御免っ、竜は御免! 獣の一行っ、獣は天下の回りもの! 天罰覿面っ、『邪魔王』は御免!!」
「きっと晴れるさっ、明日も天晴れ! 雨が降ってもっ、やっぱり竜日和! 獣日和にっ、『邪魔王』の居場所なし!!」

 獣にも尻尾にも、発意のままに叫ぶ、エルムスとホーエル。
 ワーシュは、ちらりとリャナに視線を向けた。
 最後が良かったらしいが、その役はリャナに譲るようだ。

「魔力のくびきを解き放て! 限界はいつでも夢の向こう! 望みがあるなら掴み取れ! 邪魔ジャマしい『邪魔王』に『おしおき』よ!!」

 エルムスとホーエルが後衛に並んだので、仕方がなくワーシュもコルクスの横に並んだ。
 というわけで、一番前が空いている。
 前衛、後衛ーーどちらに入っても、隊形フォーメーション均衡バランス均衡が崩れてしまう。

「ギィ~~っっ!!」

 当然、ギル様は大喜び。
 リャナの潰れ三角帽子の上で跳び回っている。

「え、あの……っ!」

 ようやく気付いたリャナ。
 見ている。
 皆だけでなく、獣も四竜も見ている。
 ーー真打ちトリ
 最後に、思いっ切り打っ叩くことを期待されている。
 待ち切れないギル様は、帽子を引っ張って、主役リャナを強制移動。

「えっ!? えっ?!」
「ギィ~っ! ギィ~~っっ!! ギギィィ~~~!!!」

 大絶叫。
 耳を塞がなかったのは、リャナとリシェだけだった。
 ミャンが前に出ようとしたので、後ろのコルクスが止める。
 暴れ始めたので、ホーエルが加勢。

「ケモっ、ケモ~っ!」
「ギィ~、ギィ~っ!」

 ケモもギル様も、大応援。
 たぶん、リャナの頭の中は今、真っ白だろう。
 それでも、真面目なリャナは、大混乱でリシェに指を突き付けた。

「『邪魔王』さん!!」
「……はい。何でしょうか?」

 「邪魔」という言葉が本当に嫌なのか、無理やり感情を殺してリャナに尋ねるリシェ。
 ここでリャナは、予想外のことを口にした。

「『邪魔王』さん! 謝ってください!!」
「え? あ、……はい。ーーごめんなさい」

 素直に、頭を下げる「邪魔王」。
 どうやら、これで一件落着のようだ。
 正義リャナは勝った。
 リシェは滅びた。

「いいえっ、そうではありません! あたしが言いたいのはっ、少しは自重してくださいってことです! ファタ様やマホマール様もっ、『邪魔王』さんがほったらかしにするからっ、遣りたい放題です!」
「いえ、それは確実に僕の所為じゃないと思いますけ……」
「黙りなさい!!」
「……はい」
「あとっ、フィア様が可哀想です! 何をしているのかは知りませんがっ、破廉恥なことをし過ぎです! それにっ、浮気性も駄目です! わからないんですか! 後ろの二竜! 確実に『邪魔王』さんを狙っています!」

 公開説教。
 苦笑いで見ていたエイリアルファルステとランドリーズだが、自身に飛び火してきたので、リシェと同じく神妙な顔付になる。
 まだまだ言い足りない様子のリャナだったが、しょんぼりしている「邪魔王」を見て我に返ったのか、破れかぶれで最後にラカールラカを嗾けた。

「ラカールラカ様! 『不滅の寝台ゆめ』は叶います! 『邪魔王』さんを『王邪魔』さんに変えてください!!」
「えー」
「びゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃーーっっ!!」

 大邪魔おじゃま、の響きのほうが、王様より嫌だったようで、本気で嫌がるリシェ。
 しかし、そんな「大邪魔」の声は、風竜の激風ラーとつの前に掻き消される。
 速過ぎて、僕たちの視界から消えるラカールラカ。
 三竜の魔力で大気が渦巻いて、炎竜の息吹たたかい空を焦がしたはじまった
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