竜の国の異邦人

風結

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新たな旅立ち

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「ぴゃ~、ぴゃ~、ぴゃ~、ぴゃ~?」

 そして終わった。
 酩酊したラカールラカは、気持ち良さそうに空中を泳いでいた。

「で。何でラカを誘拐したんですか?」

 リシェが地面に降りると、後衛まで下がるリャナ。
 リシェに侍る、エイリアルファルステとランドリーズ。
 グロウを思い起こさせるくらいの美形だが、二竜は女性的な美しさも具えていた。
 ただ、胸は膨らんでいないので、どちらかと言えば男性寄りだ。
 二竜はリシェに忍び寄っていたが、僕は気にすることなくリシェに答える。

「リシェを呼び寄せる為に」
「はぁ、それだけじゃないですよね」
「ラカールラカが竜の国にする為」
「ぴゅ~ぴゅぴゅ~?」

 皆に伝えていなかった、二つ目の目標。
 僕の相反するような言葉に、堪らずワーシュが尋ねてくる。

「ほ? どなことどなこと天竜……」
「我がどうした、娘?」
「……地竜?」
「我は風竜に見えませんか?」
「ほ…ほび?」

 こんなに切羽詰まったワーシュは久し振りに見る。
 古竜と中古竜、新古竜では受ける魔力の質が異なるのかもしれない。
 助けに入ろうかと思ったら、リシェが先手を打ってきた。

「こんなに性急に行わなくてもいいでしょうに」
「そういう時機だった。それに、炎竜祭の準備に入る前に、面倒事の一つがなくなるのは、リシェにとって悪いことではないはず」
「ケモ、ケモっ?!」

 ケモも同意してくれるが、リシェに視線を向けられると速攻で僕の後ろーーどころか、東の竜道まで逃げ込んでしまった。
 ちょこんっと影から顔を出すが、「大邪魔」を見た瞬間、獣速で顔を引っ込める。
 未だナイフを手に持ったままなので、危なっかしくて仕方がない。

「ケモを苛めるのは、良くない」
「どちらかと言うと、僕のほうが苛められているような気がするんですが」
「ラカールラカは、リシェを呼び寄せる為の『エサ』だった。もし、リシェが来なかったら、ラカールラカは竜の国に戻ってしまう公算が大きい。それを阻止する為には、リシェに来てもらう必要があった」

 リシェの意見を無視して、先に進める。
 必要なものを三つ並べたが、リシェ以外の人や竜は、まだ答えに至っていないようだった。
 恐らく、というか確実に、ホーエルの後ろのヴァレイスナは答えに辿り着いているだろう。
 リシェは密着してきた二竜の頭を撫でてから、説明を始めた。

「炎竜祭の一巡り前くらいに、多くの竜が竜の国に遣って来る予定です。それで、たぶん、きっと、スナやラカと一緒に寝ていることを知っている竜たちは、僕と一緒に寝ることを希望すると思うんです。そこで先ず、イリアとリーズと一緒に寝て、問題がないか確かめます」
「何かを遣らかしたラカールラカ。遠ざけるには丁度良かった?」
「わかっていて、聞かないでください。イリアとリーズに竜の魔力を解放してもらったのは、見せ付ける為です。竜の国の外でも、一悶着起こしました。これをどう料理するかはお任せしますーーと言いたいところですが、そこはしくじることはないでしょう」

 二竜から離れたリシェは、話しながらホーエルの後ろに。

「それで隠れているつもりだったのかな? 丸見えだよ、スナ」
「……ひゃふ」

 リシェに抱き締められて、観念して姿を現すヴァレイスナ。
 見付かってしまったことを悔しがっているように見えて、その実、喜びを隠し切れていない。
 世界中のどこに居たとしても、必ず見つけ出す。
 自身で言った台詞だが、リシェなら本当に遣ってしまうーーそう思えるほど、リシェとヴァレイスナの間には、温かなふかい絆があるようだった。
 絆、ということなら僕とケモも負けるつもりはないが。
 竜道のケモ。
 距離的に離れているので少し、分が悪い。

「ここからなら、同盟国のクラバリッタ国が近いので、そこで噂の補強をしてください。スナが居てくれれば、適度な事件を起こしてくれます。それにスナとラカが居れば、ケモの状態を今より良くすることが出来ます」

 リシェは善意で溢れた笑顔を浮かべていた。
 どうやら、それ程までに嫌なようだ。
 リシェに容赦する気は毛頭、獣の毛の先っぽほどもないので、行き先の変更を告げる。

「クラバリッタ国ではなく、サーミスール国に向かう。サーミスール王と話してみたい。リシェの名を出せば、会ってくれるかもしれない。どうせ行くのなら、確実に会いたいから、紹介状を書いてくれると助かる」
「僕って、そんなにお人好しじゃないんですけど」
「それは理解している。だが、竜が係われば、その限りではない」
「あー、はいはい。スナ、お願い」

 ヴァレイスナはリシェの胸の中で微動だにしていないが、「大邪魔」の前に氷の板が出現する。
 また、それだけでなく、至れり尽くせりな氷竜は、紙とペンまで用意していた。

「ふがーっ! つまりっ、どういうことなのだ!」
「がーっ! この魔漏まも! 暴れんな!」

 リャナを見ると、頷いてくれたので、ミャンを放すように二人に合図した。
 自由になると、ケモが居ないことを確認してから、僕に突っ込んでくる。
 そのままの勢いだと痛そうだったので、ミャンの肩に手を置こうとしたのだが。
 僕は対応を間違ってしまった。
 魔力を纏って止めるべきだったのだ。

「たーうっ、なんだぞ……?」

 突然、ミャンは跳び上がったので、僕の両手はミャンの胸に。
 掌に納まる大きさ。
 伝わる優しい心地に、背中から込み上げてくるものがーー。
 そんな感じで硬直してしまった僕の口と。
 気づけば。
 ミャンの口がくっ付いていた。
 時間が止まる。
 いや、引き延ばされたような錯覚。
 ミャンの目が、これまで見たことがない色を宿す。
 僕の首に回した手が、より強く求めてきて。

「ぎゃぼっ??」

 仕舞った。
 獣も怯える程の、殺気。
 ミャンを押し返すべきだったが、動転して僕だけ逃げてしまった。
 無言で突き上げられた拳。
 僕とミャンの顎に当たるはずだった魔法拳は、ミャンの顎を打ち抜いて一瞬で意識を刈り取った。
 ミャンが倒れる前に、後ろに回って彼女を支える。

「ありゃりゃ~、リャナちゃんパンチは~、ミラクルパンチ~」
「え、あ…の、……えっと?」

 どうやら自身が何をしたのか、明確には自覚していないようだ。
 もしかしたらリャナは、ワーシュ以上の危険娘みさかいなしなのかもしれない。
 後ろからリャナに覆い被さったワーシュは、紹介状を書き終えたリシェに尋ねる。

「結局のキョクキョク、リシェさんは何がしたいのんのん?」
「そうですね。僕が皆さんにちょっかいを出していたのには、理由があります。皆さんは、兄さんの依頼を受けて、エタルキアを捜索します。僕はーー。エタルキアには依り代になってもらおうと考えています」
「ほ? 依り代? え~と、さっぱりパリパリ~、困ったときの~エルムス!」

 ワーシュはエルムスを指名するが、結論だけを伝えられてもどうしようもない。
 エルムスもそれがわかっているようで、リシェの趣意を明らかにした。

「つまり、東域に戻った私たちが判断しろ、ということだろう。リシェ殿がこれまでやってきたことは、言うなれば『先行投資』。目的を達成するコマとなり得ると判断して、導いて、もとい裏からこそこそと策謀を巡らせてきた」
「はは、そんな風に面倒臭く考えなくもいいですよ。竜の国で皆さんは、自分で考え、自分の意志で行動しました。今居る場所は、そうして歩いて、駆け抜けてきたからこそ、辿り着いた場所です。これからも皆さんは、小さな勇気を胸に、前に進んでください」
「ケモ~、ケモ~」
「ケモが言っている。リシェは嘘吐きだ」

 竜道からケモが教えてくれる。
 皆はジト目でリシェを見る。
 リシェは誤魔化す気満々なのか、酔いどれのラカールラカを風で引き寄せてコルクスに。
 ヴァレイスナをホーエル、ではなく、リャナに渡した。
 リシェもリャナを危険娘きかくがいと判断したようだ。

「イリアとリーズには、僕を武器として使ってもらいました。一竜では二竜に勝てない。とはいえ、相手はラカ。ラカは全般的に能力が高いですが、すべてで他竜を上回るわけではありません。イリアとリーズの長所を活かして、ラカに竜酒を飲ませました」
「うむ。『千竜王』は酷いぞ。卑怯という言葉が、『千竜王』のあまりの卑怯さに号泣して裸足で逃げ出すくらいに卑劣だ。作戦を聞いたとき、我はあまりの酷さにドン引きした」
「ええ、すらすらとあのような作戦を思い付くなど、始めはラカールラカが嫌いなのかと勘違いしてしまうところでした」

 二竜がリシェを褒めたので、「大邪魔」は満面の笑顔やけくそで紹介状を渡してくれた。

「というわけで、サーミスールを出るまでは、スナとラカを預かってください。ーーと、そうでした、僕にとっては些事ですが、皆さんにとっては重要なことを忘れていました」

 リシェは掌を上に、肩の高さまで上げた。
 すると、エイリアルファルステとランドリーズが、色彩が躍るような幻想的な球体を、リシェの手の上に乗せた。

「えっと、イリア、リーズ、こんな大きな『竜の雫』じゃなくて……」
「何を言っている。『千竜王』に求められたのであれば、最大の竜玉ものを渡すに決まっている」
「我も同じく。それ以外の選択肢など存在しません」

 リシェはリシェで大変なようだ。
 これからグリングロウ国に竜がわんさか遣って来るらしいが、リシェの気苦労が増えるだろうことは言を俟たない。

「……わかりました。これは僕が貰っておきます。次は、ほどほどの竜玉をください。彼らに渡す報酬ですので」
「そういえば、迷宮や『砂糖事件』の報酬をもらってなかったね」

 団のお金を管理しているホーエルの目が、獣の輝きを宿す。
 二竜がリシェに「竜の雫」を渡すと、そのままホーエルの手に。

「ええ、てっきり翠緑宮の、僕のところまで受け取りに来るのかと思っていましたが、来てくれませんでした。カレンも、『砂糖事件』のあとに渡そうと考えていたようですね。時機が合わなければ、報酬を渡せないところでしたーーとはなりませんけど」
「僕たちでは、リシェを欺くことは出来ても、ヴァレイスナは無理。仮にリシェから貰えなくても、ヴァレイスナがリシェに恩を売る為に、僕たちに渡してくれる」
「ひゃっこい」
「ひゃっこいっ……です」

 冷気を噴出して、リャナを凍えさせるヴァレイスナ。
 さすがに氷竜相手では、「青魔法使いリャナ」も形無しのようだ。
 すると別の魔法使いがリシェに尋ねた。

「はいは~い、リシェさんに質問も~ん!」
「ラカの『遣らかし』についてですか?」
「ぴゅ~、ぴゅ~、ぴゅ~、ぴゅ~?」
「くぅ~、違うって言いたいけど~、他に思い付かないわ~」
「そうですか? それでは僕の勝ちということで。まだまだ色々と隠し事があるんですが、最後に『双剣事件』を語ってから帰るとしましょう」

 ワーシュはエルムスを見たが、彼は諦めろとばかりに首を振った。
 二竜も言っていたが、卑怯さでは僕もエルムスもリシェには敵わない。
 ここらが潮時ということだろう。

「ラカはーー実行犯ですね。共犯、若しくは主犯は、別に居ます。勿体付けても仕方がないので言ってしまうと、犯人はそこのよだれを垂らしている魔法娘まほっこです」
「す、凄い顔をしてるね」

 三周期の恋も冷める、そんな顔で気絶していたので、僕が布で涎を拭いて、ホーエルは顔全体を整えた。
 ミャンも女の子なので、リャナかワーシュにやって欲しいところなのだが、二人は見ているだけだった。
 二人とも僕を見ていたので、手を出さなかったのには何か理由があるようだ。

「ポンさんは、『魔女』を超えることを目標としています。そして彼女は目撃してしまいました。クーさんの双剣を。ーーそこでポンさんは考えました。氷竜の剣を手に入れたのだから、次は風竜の剣を手に入れようと。なわけで、ポンさんはラカから『風剣』を貰おうとしました」
「……オイオイ、そりゃ無茶ってもんだ」
「ええ、知らないということは恐ろしいことです。まぁ、そこはラカもわかっていたので、ポンさんに『風剣』は渡しませんでした」
「だが、そこで諦めるミャンではない」

 僕の言葉に異議を唱える者はいなかった。
 とはいえ、「遣らかした」のはラカールラカとのことだから、ミャンはコルクスのような無茶はしなかったようだ。

「双剣を用いる際の参考にしたかったのか、他に何か企んでいたのか、ポンさんはラカに『宝剣ヴァレイスナ』を渡しました。ですが宝剣は、異常さひどさでは『風剣』より二段階くらい落ちます。双剣で一緒に振ると、宝剣は壊れてしまう。……はぁ、こういうときのポンさんは、みー様と仲良くなったことからもわかるように、頭だけでなく口も回るようで、あと妙な勢いというか煽動というか、……結局、ラカは乗せられてしまいました」
「竜の国では、宰相と竜騎士団団長が魔法剣を持っているが、それも『風剣』には及ばない。そうなると『風剣』と共に用いることが出来る剣は、一剣しかない」

 僕がリシェの「折れない剣」に視線を向けると、皆は納得してから溜め息を吐いた。
 「風剣」と「折れない剣」。
 想像するだに愚かしい。
 駄目な方向に、魔法使いと風竜は意気投合してしまったようだ。

「ポンさんの発案でしょうが、ラカは『折れない剣』を盗んでいきました。これだけでも『おしおき』するには十分なのですが当然、二人の目的はまだ達成されていません。ーーラカは、本気を出すと凄いんです。僕は、『折れない剣』が盗まれたことに気付けませんでした。気付いたのは、スナだけでした」
「ひゃふ。気付いたのは私だけですわ。そして、私だけでは、便ことは出来なかったのですわ」
「コウが運良く戻ってきたか、或いは運良く他竜が通り掛かった」
「本当に、ライルは勘が鋭いですわね。逆に、私のほうが要らなかったのですわ。ーーそこに居たのは。竜の国のことが、父様のことが気になって、こそこそと覗きに来ていたリグレッテシェルナ。あの雷竜が魔力を散らしたので、私の出る幕はなかったのですわ」
「リグレッテシェルナがヴァレイスナより強いわけではなく、リグレッテシェルナの性質がいい方向に働いた?」
「ですわ。あの雷竜は、どうも自身の力の使い方がよくわかっていないようですわね。父様が東域から竜の国に戻ってくる際の、あの一件で学んだようですが、ーー一竜では成し得ないのかもしれないのですわ」

 リグレッテシェルナのことを心配しているわけではなさそうだ。
 力を使い熟せていない雷竜に、もどかしさと怒りを感じているらしい。

「東域から竜の国に戻ってきたあと、レッテは、その、スナとナトラ様の『結界』を、あれやそれやで、二竜は角にきてしまって。そのときも、『千風』というか、原因の一端はラカだったので、色々と、微妙な確執があるとかないとか……」

 リシェは言い訳、というか、要領の得ないことを言う。
 竜と竜との間で、板挟みになっているようだ。
 リシェが無条件で自身の味方をしてくれないので、ヴァレイスナは拗ねてしまっている。
 どうやら氷竜の内の、怒りの成分の半分以上は、優柔不断のリシェに向けられているようだ。

話も終わったので、僕は戻りますーーと、そうでした。ザックさん、わかっていますよね?」
「は? へ…な、何を…かな……?」

 印象付ける為だろうか、リシェはあえてわかり難い尋ね方をした。
 僕たちにとっては大した内容ではないと予想出来るので、口を出すのは控えておく。

「最近、ちょっとラカを都合よく使い過ぎたのではないかと反省しています。なので、皆さんと行動する間、ラカにはゆっくりまったりほっこりしてもらうつもりです。その『竜の雫』には、ラカのご飯代とお菓子代も含まれています。ーーザックさん。あまりケチらないで下さいね?」
「け、獣に誓って……」


 ここで止めておけばいいのに、余計なことを言ってしまうワーシュ。
 いや、ここで突っ走ってしまうのが、ワーシュらしいというか何というか。

「ところでコデコデ~、風竜が付いていきたいって言ったら、東域までお持ち帰りしてもいいのねんねん?」
「はい、勿論です。僕はラカに、自由であって欲しいと願っています。ラカが東域に行きたいと言うのなら、風の吹くまま、竜の息吹です」

 リシェの言葉に、喜ぶワーシュだが、彼女はヴァレイスナの表情が見えていない。
 ヴァレイスナがくっ付いているリャナを、後ろから抱き締めているのだから仕方がないことではあるが、ワーシュはまだリシェが「竜患い」であることを理解していないようだ。
 リシェは、これまでで最高の笑顔を浮かべながら、ドロリと毒を垂れ流した。

「ただ、それはお勧めしません。いえ、だって、そんなことになったらーー。それは、僕を敵に回すということになってしまいます。そう見えないかもしれませんが、僕は皆さんを気に入っています。でも、僕は竜が好きなので、必要なら人間みなさんを滅ぼします」

 ホーエルの後ろに隠れたワーシュが顔を覗かせるまで、呼吸三回。
 リシェの本性に触れてしまった皆は二回、或いは一回だったかもしれない。
 ーー狂気おもい
 そう見えたが、それだけではないような気がした。
 エイリアルファルステとランドリーズは、リシェのことを「千竜王」と言っていた。
 リシェの、根本を告げるような二つ名。
 しかし、薄ら寒い空隙も、わずかな時間で解ける。
 もはや僕たちとの間に、交わす言葉はなく。
 二竜と共に去っていった、ーー竜の国の侍従長。
 リシェを見る、ヴァレイスナの表情が語っていた。
 は、僕が語れるような単純なものではない。

「ケモ?」

 こんなときだというのに、炎の追加やってきた
 いや、こんなときだからこそ、ありがたい。
 待ち切れないケモが、竜道から出てくる。

「ふ…ぬ?」

 遣って来る前にミャンを起こそうかと思ったが、必要なかったようだ。
 だらりとなっていたミャンの四肢に力が入ったので、離そうとしたところーー。

「……っっ?!」

 一足早く、炎竜が現れて。
 全開魔力でリャナの後ろに退避。

「ちょっ、ミャン!? 魔…力っ、抑えなさい! から…だが……」
「んー? 無意識、というか本能みたいねぇ。多過ぎる魔力は毒になるんだから、あたしが……をぉぉ~、これは…クルわぁぁ~~」

 リャナから剥ぎ取って、自身の背中を貸したワーシュは、プルプルと震えていた。
 隠れる前の、僕を見た、ミャンの顔は。
 持病に似ていたが、それにしては激し過ぎる。
 心配になってミャンの状態を確かめようとしたら、何故か笑顔のリャナが通行止め。
 そうこうしている内に、炎竜ならぬ仔炎竜が直前で「人化」。

「さーう、けもけも~っ!」
「ケモ~っ!」

 みーが炎を纏って舞い降りた場所は、あやまたず場所の選定を終えていたケモの隣。
 ケモは振り返らない。
 手に持っていたナイフを横に置いて。
 みーが遣って来ると信じて、僕を、僕たちを見ている。
 そして。
 獣と竜が並んだ瞬間。
 ーーケモの想いが伝わってきた。

「ケモノ~ケモノ~ケモケモノ~、ケモノ~ケモノ~ケモケモノ~」
「ものけ~ものけ~ものものけ~、ものけ~ものけ~ものものけ~」

 笑顔。
 獣も竜も、笑っている。
 ーー別れ。
 それを知っていて、仲間ともだちと踊るケモ。
 これまで何十、何百と一緒に練習してきたのだろう。
 技術だけでなく、何より、ケモの魂が僕の内側で響く。
 ーー心残り。
 仲間だからこそ、ケモは勇気を振り絞る。
 僕もケモに、ケモから貰った勇気を燃やして、ケモに投げ渡す。

「ケモノ~ケモノ~ケモケモノ~、ケモケモケモケモっケモケモノ~」
「ものけ~ものけ~ものものけ~、ものものものものっものものけ~」

 ケモとみー。
 同時に向かい合って。

「ケモ~っ!」
「もの~っ!」

 ぱーん、と小気味よい音が響き渡る。
 ケモとみーが両手を合わせる。
 踊りの最後。
 前回は、ケモが逃げてしまった。
 転んでしまった、みー。
 そう、転んでしまう程に、真っ直ぐに。
 ーーケモの透明に色彩いろが。
 また一つ、ケモの心が響き渡る。

「はーう、けもけも、ないふだすのだー」
「ケモ?」

 始め、みーが何を言っているのかわからなかったケモだが、理解した瞬間、そんなに慌てなくてもいいのに、というくらい一生懸命にナイフを拾ってみーに見せる。
 すると、みーは背中の小袋ポーチに手を回してーー動きを止めた。
 どうやら、一回で目的の物を取り出すことが出来たので、本人、ではなく、本竜も驚いてしまったようだ。

「みゃーう、『けもけもがもってたほーがいー』ってこーがいってたんだぞー」

 そう言いながらみーは。
 ナイフの柄の、穴の開いている場所に「竜の雫」をーーいや、違う、あれは。

「『八竜石』?」
「ケモ、ケモ?」
「ふーう、こーがつくってくれたのだー」

 原石とは比べ物にならない輝き。
 「八竜石」とは言い得て妙だ。
 見る角度によって、様々に変化する。
 光の芸術。
 一つとて、同じいろは見せない。

「けもけもー、りゅーのつばさはいっとーしょー! こんどはみーちゃんがあいにいくのだー!」
「ケモ~~っっ!!」

 言いたいことを全部言うと、早々に飛び立つみー。
 ケモだけでなくみーも。
 どこかで振り切らないと、心にけりが付かないことをわかっている。
 僕たちはこれから東域に戻るが、ケモは生まれ故郷である「竜の狩場」から旅立つことになる。
 繋がったケモに、ずっと一緒だと伝えようとしたところでーー。

「ケモっ!!」

 ケモが振り返って。
 そして。
 僕の魂を突き抜けるような強さで、伝えてきた。

「本当に、いいの?」
「ケモ!」

 ケモは一歩一歩、揺るぎない足取りで僕に近付いてくる。
 僕は膝を突いて、右手をケモの背中に。
 外套ローブの上から、ケモに触れる。

「ケモ」
「うん」

 皆が見守る中、僕は右手をゆっくりと動かす。
 緊張で硬くなりそうな体から、努めて力を抜くケモ。

「ケ…モォ……」

 外套の上から撫でていると、ケモの緊張が解けていくのがわかる。
 僕は優しい速度で、その手をケモの頭に。

「…ケェ…ェ…モッ…」

 一瞬の硬直のあとに、緩やかになるケモの輪郭。
 触れているのに、触れていないかのような、繊細なケモの毛並み。

「ケモォ~、ケモォ…ォ」

 肩を撫でると、身を捩って耐えるケモ。
 外套の内側に、背中に手を回すと、ケモの息遣いが荒くなる。

「ケ…ケェ……、モォノォ……」
「てごめのコメコメ? 何だか見てると、小さな子供に悪戯してるみたいに見えちゃうわねぇ」
「コラ、変なこと言うなって。ケモが頑張ってんだからよ」
「何よー、ちゃんと応援してるわよー。ケモちゃんがナデナデに慣れてくれれば、あたしだってモフモフしまくりなのよー」
「ケ…ケ……、モ……モ…」
「シロップが居んだろ。リシェさんのこと浮気性とか言ってたが、人のこと言えねぇじゃねぇか」
「わかってないわねぇ。シロップは『特別』なのよ。ケモちゃんはねぇ、『別モフ』なのよ」
「いや、今度は騙されねぇぞ、お前……」
「ケモォ…ノ……、ノ、ケ……モ…」

 ケモと感覚を共有する。
 周囲が静かになったので、ケモの状態を確認しつつ、手を動かしていく。
 ケモのお腹から脇に。
 それから少しずつ下に、腿まで下げてから円を描くように撫でていく。

「こほんっ。その、今回は初回だし、それくらいにしておいたほうがいいんじゃないかな……?」

 似合っていない空咳のあと、おずおずと提案してくるホーエル。
 リャナとエルムスの表情を確認してみると。
 ホーエルと同意見のようだった。
 ただ、リャナのほうは欲望を隠し切れておらず、僕と代わって欲しそうな顔をしていた。
 確かに、ケモと繋がった感触を楽しみ過ぎて、遣り過ぎてしまった感は否めない。
 僕はケモの脚から尻に向かっていた手を止めて、心に入り込んでいたケモの感触を手放した。
 最後に、真ん丸の、兎尻尾に触れたかったのだが、断獣の思いで我慢する。

「ところでコデコデ~。ケモちゃんって男の子なのん? 女の子なのん?」
「ケモ?」
「『終末の獣』に子孫を残す必要があるとは思えない。竜と同様に、どちらでもないのではないか?」
「それじゃあ、詰まらないわ! ケモちゃんっ! どっちナノナノ!」

 エルムスの意見を一蹴したワーシュは、ケモに直接尋ねた。
 キョトンとした顔のケモは、ワーシュに説明した。

「ケモ、ケモ、ケモノ」
「ライル、説明、よろ」

 外套に掛けられたヴァレイスナの魔法はすべて解けているので、ケモの言葉はまったく伝わっていないようだ。
 ここで嘘を吐くのは良くないだろう。
 ケモの真似をして頼んできたワーシュに、ケモの言葉をそのまま届けた。

「自身の性別がどちらなのかは、ケモ自身わからない。ただ、子供を産むのなら、僕の子供を産む、とケモは言っている」
「けっ、ケモちゃんっ!?」

 獣の言葉ぼくのほんやくに、途端に反応したリャナは。
 ヴァレイスナをくっ付けたままケモに抱き付こうとするも、氷竜がくっ付いているのでケモに逃げられてしまう。

「よ…よくわからないけど、よくわからないのだ」
「みゃ、ミャンっ、引っ張らないで!?」

 ワーシュの背中よりリャナの背中のほうが安心出来るのか、たどたどしい動きで移動するミャン。
 気を利かせたのか、リャナから離れて定位置ホーエルに戻るヴァレイスナ。
 リャナにくっ付いて安心したのか、顔を上げたミャンと僕の視線が合うと。
 魔力ドバドバでリャナを盾にして、じりじりと退いていった。
 ミャンの魔力を浴びて、身動きが取れないリャナだが。
 その表情からして、あとでミャンに「おしおき」するようだ。
 大人しい、というより、挙動不審なミャン。
 僕は元気なミャンが好きなので、元に戻って欲しいのだが、どうしたらいいのかがわからない。

「ケモ~」
「あーらまー、こりゃライルの持病はまだ治ってないよーね」
「まぁ、今はケモとの距離を縮めてるところだからね、その間は大丈夫じゃないかな」

 ケモ、ワーシュ、ホーエルだけでなく、コルクスもホーエルも、序でにヴァレイスナと、シロップとギル様(何となくそんな雰囲気)まで呆れた表情を向けてくる。

「用が済んだのなら、とっとと出発するですわ」

 ホーエルの背中でヴァレイスナが手を振ると。
 無音で地面に穴が開いた。
 焼かれて凍って、原形を留めていないオーグルーガーが穴に落ちて。
 そこに穴があったことなど信じられないくらい、元通りに修復されていた。

「そんな目で見るなですわ。オーグルーガーは毒があるから、他の魔物や動物が食べないように処置しただけですわ」
「氷竜に質問も~ん! 風竜は酔っぱ雷竜なので、サーミスール国まで一っ飛び!」

 ワーシュには珍しく、迂遠な尋ね方をした。
 未だヴァレイスナとの間には、拭い切れないみぞがあるようだ。
 氷竜に負担を掛ける。
 そのたぐいのことをヴァレイスナに答えさせるのは良くないので、先回りをする。

「たぶん、ヴァレイスナに乗ってサーミスール国に行くと、二竜と旅する時間が減る。また、それだけでなく、二竜に乗って行けば『侍従長のお気に入り』という噂を助長してしまうことになり兼ねない」
「東の竜道で、私たちとリシェ殿は戦った、ということになっている。サーミスール国に入るのは、あの戦闘の傷痕の噂が十分に広まってからで良い」

 エルムスが補足説明すると、ホーエルの肩の上に見えていた氷髪が、すすすっと下がっていった。
 どうやら、ヴァレイスナの機嫌を損ねずに済んだようだ。
 リシェと別れたばかりなので、今は氷竜を刺激するのは得策ではない。
 エルムスの言葉で、皆は無残に抉られた地面に視線を向けた。
 リシェの頼みで、エイリアルファルステとランドリーズが放った魔法。
 その威力は、人間の魔法の比ではなく、街を半壊させるに十分なものだった。
 どうやったところで、リシェの悪評が増す。
 リシェは自身の目的の為、と言っていたが。
 ーーいや。
 これ以上は考えないことにする。
 そんな余裕はない。
 東域もくてきちに居るのは。
 ーーニーウ・アルン。
 リシェより酷いてごわい男。
 これからしばらくリシェは、自身のことで手一杯で、僕たちにちょっかいを掛けるどころではなくなるだろう。
 結局、最後まで彼を好きになることは出来なかったが。
 不思議と、もう一度だけ会いたいとーーそう思わせるだけの何かを、僕の心に残していった。

「ケモ!」

 旅立ちの獣声。
 皆は荷物を背負って。
 こういうときに引っ張っていくのは、ワーシュ。
 リャナの背中からミャンを引き摺り出すと、大きく息を吸って。
 それに気付いたケモとミャンも一緒に。

「え~んっ、りゅ~っっ!!」
「えんりゅーっ、なのだ!!」
「ケ~モ~っっ!!」

 遠くの空へ。
 シロップが魔力に乗せて。
 二人と一獣の想いこえを、みーが羽搏く大空へ。
 程無くして届く、炎竜の咆哮。
 別れの余韻がケモに訪れる前に、ホーエルが前に出る。

「ひょ~っっ、りゅ~~っっっ!!!」
「ひょ~りゅ~っ!」
「ギィ~~っっ!!」

 ホーエルの馬鹿でかい声に、リャナとギル様の呼び声が重なる。
 仕方がない、といった体で、顔を出すヴァレイスナ。
 最後はコルクスと、残った男二人が付き合う。

「ふ~っ、りゅ~っっ!!」
「ふうっ、りゅ~っっ!!」
「ふ~りゅ~っ!」

 男三人の呼び声は、残念ながらコルクスの胸で寝入ってしまった風竜には届かなかったようだ。
 ーー旅立ちの儀式は済んで。
 胸に溜め込んだ分だけ、勢いよく歩き出すワーシュ。
 僕から出来るだけ離れたいのか、ワーシュの隣に並ぶミャン。
 僕を見て、怒ったような困っているような顔をしてから、ミャンを追い掛けていくリャナ。
 シロップが楽し気に回って、ギル様は潰れ三角帽子の上で跳び回る。
 コルクスとエルムスとホーエルは、それぞれ笑顔で坂を下る。
 竜の国に来たときとは、異なる光景。
 「魔触」を使わなくてもわかる。
 交わした言葉と、触れ合わせた想い。
 積み重ねたものたちが、透明せかいを輝かせていく。

「ケモ……」
「ひゃふ」

 ケモの寂しさを含んだ声に、手を差し出そうとしたところで。
 ホーエルの荷物の上で、氷竜が振り返って僕を見る。
 僕は一歩、出遅れてしまった。
 ーーやはり、ヴァレイスナには敵わないようだ。
 一緒に歩く、ということがどういうことか氷竜に教えられる。
 一歩、早く踏み出したケモ。
 それは細やかな優しさあたたかさとなって僕の胸に。

「ケモっ!」
「うん、行こう」

 ケモから差し出された手を。
 僕は、しっかりと握ったのだった。


          ケモ~、ケモ~
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