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第7章 ふたたびの王都

第155話 それは業務に含まれますか

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翌日の昼前、

エレン達は王都の宿屋にいた。

「エレン様、

私はなるべく早く用件を済ませてきます。

そのあとはいくらでもお付き合いしますから、

どうかこの部屋でおとなしくしていてください。

おそらく私が商業ギルドにいる間に旦那様からも連絡がくるでしょう。

私が帰ってきたら旦那様からの指示も含めて話し合いましょう。」

変態が変態の汚名を返上するようにまともなことをいった。

ゼノが今回王都に急に来ることになったのは商業ギルドに来るためだった。

ウィルは隣国や王都とも活発に商売をしていたが、

ウィルは平民のための学校を領内に作ったり、

前例にとらわれない自由な男だったので、

味方も多かったが、敵も多かった。

今回も王都のとある商人から平民のための学校に関して横槍をいれられたので、

「こいつは早めに叩き潰した方がいいね( ´_ゝ`)グズ」

という風邪をひきながらも冷静なウィルの指示で王都の商人ギルドに『話し合い』という名の焼きをいれにきたのだ。

「ん~~まぁとりあえずいってらっしゃい(°▽°)」

エレンは基本的に約束できない約束はしない。

「……エレン様、

エレン様は王宮に行くつもりじゃないでしょうね?」

「(°▽°)ギクッ」

ゼノが珍しく怖い顔をしてエレンに言った。

「はぁ、エレン様、

前回は旦那様が王妃様に招かれた形だったからエレン様は王宮に入れたんです。

今回は旦那様はいないんです。

いくらエレン様でも、

王宮に不法に侵入したら厳罰は免れません。

エレン様がそんなことになったら!!

わ、わたしはどうすればいいんですか!!」

ゼノはぶるぶる震えながら言って、

自分の台詞の内容に耐えられなくなって、

立ち崩れて号泣し始めた。

まだ変態の汚名は返上できそうにない。

「ワカッタワカッタ(°▽°)棒読

不法に王宮に侵入したりしないよ(°▽°)

約束するからゼノはちゃんとお仕事しておいで(°▽°)」

号泣しているゼノの頭を撫でながらエレンが言うと、

ゼノの号泣に拍車をかけた。

「ジン!!

くれぐれもエレン様を頼んだぞ!!

世界平和はお前にかかっている!!」

ひとしきり号泣したあとのゼノに迫られ、

「まったく自信がありません!!」

半泣きになりながら叫んだ。

荷物持ち兼御者として雇われたはずの若者は、

急に魔王を討伐する勇者レベルの仕事を任された。

特別手当てがもらいたいジンであった。
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