マシュマロ王子と無愛想な婚約者の前途多難な婚約破棄(-_-)

第60話 辛いこと

自信を失っていたシャルロットはアーノルドに

『婚約者として認めない』

と言われたとき、

『ああそうだろうな』と素直に納得した。

自分と婚約したい人なんかいないのだと思った。

ジョージアはシャルロットに対して優しかったが、

ジョージアが優しかったのはシャルロットに対してだけでなく、

他の三人の候補者たちにも平等に優しかった。

しかし、リーゼロッテの態度が悪化したのと同時期に、

ジョージアも変わってしまった。

シャルロットに対して急に冷たくなり、

事件の際にはリーゼロッテの味方をした。

シャルロットは、

リーゼロッテが言う通り、

ジョージアはシャルロットを婚約者候補として恥ずかしいと思っていたのだろうと思った。

リーゼロッテは

『公爵令嬢が料理をするなんて恥ずかしい…』

『気の利いた話のひとつもできないなんて恥ずかしい…』

『笑顔もないなんて恥ずかしい…』

『地味なドレスを着るなんて恥ずかしい…』

『刺繍が下手なんて恥ずかしい…』

恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしいと

シャルロットのすべてをひたすら否定した。

シャルロットは自分のことを否定されるのも辛かったが、

一番辛かったのは、

いつもリーゼロッテが最後に言うことだった。











『でもシャルロット様の母上は、

身分の低い家の方だから…

シャルロット様が恥ずかしいことばかりするのも、

仕方がないですね…

母親は選べませんものね。

シャルロット様はお可哀想……』







シャルロットは自分の出来が悪いせいで、

母親のことを悪く言われるのが一番辛かった。






『私は恥ずかしい人間なんだ……』






強いストレスを感じ続けたシャルロットは、

次第にそう思い込むようになった。