ある雪の降る日に

喜市

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3話

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ーーー「はーい、ムシュルム通りで降りるやつは降りろよー。」

「僕降りますー!」

ガサガサと人の合間を縫って馬車から降りた。


流石王都と言ったところか。城下町には人がわんさか集まっているのが見える。

新天地に浮き足立つような気持ちのまま、《ムシュルムへようこそ》と書かれたゲートをくぐった。





ーーーーー「わぁっ!すっ、すみません!」

いやいやいや、人多すぎでしょ!さっきから人とぶつかってばかり。
まだ朝の6時半だよ?店だって空いてるところはまちまちなのに。
今日は何か催しでもあるのだろうか?

背が小さいながらも頑張って背伸びをする。

「うーん…あっ!」

人の合間をかいくぐって掲示板前を覗く。何やら新聞が人々を惹き付けているようで、新聞売りは威勢のいい声で客引きをしていた。 

「ーー見出しはなんと言っても、今噂のあの!公爵家の次期当主争いだっ!順当に嫡子があの家を次ぐのか、それとも元愛人である後妻の夫人の連れ子が選ばれるのかっ!!詳細は本紙でっー」


…ちょっと気になる。

「まだ時間もあるし…。」

好奇心には抗えず。新聞売りから1部、買い取った。
早速ベンチに座り新聞を開く。

「……なっ!やっぱり連れ子か!?」


夢中になって新聞を読んでしまった。

ゴシップ系の新聞は小説のように書かれており、スラスラと読めてしまう。



「…ん?」

端の方に店の広告に紛れて書いてある記事を見つけた。

『魔法学園マギア在学中の6年生5人、5年生3人、4年生1人が全員無事、前線から帰還した。学園ではこれを祝い、パーティが行われた。』

内容としては、ネピアと緊張状態にあった隣国の《リベルタリア大公国》にはこの国からも援軍を送っていた。主力となる人材は各地から集められ、当然学園内の生徒も集められていた。
2年前の奇襲の日、集められた生徒も騎士団やその他の集ったメンバーの中に混じり、応戦に向かった。

生徒は学業に専念するため、最初の1週間は戦場などにいたが、その後は1年のうちの半年ほど通い、整備や監視役などを行っていたとのこと。

「それが、つい最近両国間にあった緊張が解けた…?」

まだ原因の発表はされていないみたいだが、リベルタリア側から撤退要請が出たらしい。



「…いや、決して…思い出してなんか、」

あー。なんかやばいかも。

新聞を読むふりをして、顔を隠し下を向く。
鼻がツーンと痛くなり、目頭が熱くなる。

朝、思い出したせいだ。山が懐かしく思えて、村が恋しくなって。

落ち込まないって決めたんだけどなぁ。





「ーーー君、大丈夫?」

ちょっと湿った空気になっていた僕の頭上から声が降ってきて、思わず飛び退いた。

「わぁっ!?なっ、何?」

なんか、この声聞いた事ある気がする。

「ごめんごめん、びっくりさせたね。うちの制服着たままベンチの隅に座ってるもんだから、てっきり道に迷ったのかと思ってさ。」

僕はぼうっと声をかけてくれた人を見ていた。


先輩も獣人かな?種族はシロクマ…?でいいのかなぁ。やけにしっぽが長い、ハーフなのかも。

この低く響く声、どこかで聞いたことあるんだけどなぁ。思い出せない。

背、高いなぁ。流石シロクマ、ガタイが良い。顔の端正さも相まってすごく…


「…おーい?」

「っあ、や、えーと」

しくった、考え事してる場合じゃない!
先輩が小首を傾げてこちらを覗いている。

「先輩、あの…」
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