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第四章 悪魔
(三)
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道端に手を伸ばしながら、その人物はかがみ込んだ。水をすくうように地面近くで手のひらを返し、握りながら再び上げる。
きらきらと光の粒子を振り撒きながら、それは軽く持ち上げられた。
鳥の羽根と同じ輪郭なのに、鳥の羽根よりももっと柔らかで、眩しい。
指の間に挟んだ羽根の先を、もう片方の手に手渡す。
そこにはすでにいくつもの同じ輝きが束ねられていた。
その者は新たな一本が束に加わるのをしっかりと確かめ、立ち上がる。
まだきっと、もっと必要だ。
足りない。こんなものでは。
力が必要だ。
全ての人間の気に負けないくらい、強い力が。
「どうしよう……」
声がかすれた。全身が怯えを表して、助けてと叫んでいる。
「もし、羽根が」
これは、いけない。
「『もし』、でしょ」
ララナはきっぱりと断言した。ディレスが目をまんまるにして、ぴたりと黙る。
不安は伝染する。ララナも一緒に不安になったら、ディレスももっと怖くなる。どうなるのだろうという気持ちは、未来に行って結果を知るまで消えてくれはしない。気になって気になって仕方ない。
ララナもここ数日、ずっとそんな気持ちを抱えていた。今年の祭りはどうなるのかなって。落ち着かなくて、ちょっとイライラして、どきどきして、また胸がざわめく。
でも全部、「もし」の話だ。
ディレスの真紅の瞳を見返して、ララナはもう一度言った。
「『もし』、で怯えてたら何もできないよ。ピリトのことと同じだよ。羽根がどうにかなっちゃったらそのとき考えるしかないよ。それよりもまず今は、優先するべきはピリトでしょう」
「でも」
「『でも』はなしって言ったよね? もしかしたらピリトに関係してるかもしれないじゃない。だからまず、できることからしないと。ディレスが休息日にしなきゃいけないのは、ピリトの約束を守ることでしょう」
いろんな事件が重なってしまうと不安はどんどんむくれあがる。きっとピリトのことが衝撃すぎて、ディレスは悪い方に悪い方に考えてしまうのだ。
ピリトの事情がわかればきっと、ディレスもいい方に考えられるはずだ。ララナだって嬉しいことが重なったら、未来は嬉しい方に進むと希望を持つもの。
だからまずは、森に行かないと。
ディレスが一番気にかけていることを、確かめないと。
「ディレスが少し歩けるようになったら行こう。怖いって言ったって行くからね」
こういう時は気持ちの問題だ。ふさぎ込んでいたらどんどん悪くなる。それに——ララナは胸を張った。
「大丈夫。私が連れていってあげる——私だって、ディレスの友達でしょ」
きらきらと光の粒子を振り撒きながら、それは軽く持ち上げられた。
鳥の羽根と同じ輪郭なのに、鳥の羽根よりももっと柔らかで、眩しい。
指の間に挟んだ羽根の先を、もう片方の手に手渡す。
そこにはすでにいくつもの同じ輝きが束ねられていた。
その者は新たな一本が束に加わるのをしっかりと確かめ、立ち上がる。
まだきっと、もっと必要だ。
足りない。こんなものでは。
力が必要だ。
全ての人間の気に負けないくらい、強い力が。
「どうしよう……」
声がかすれた。全身が怯えを表して、助けてと叫んでいる。
「もし、羽根が」
これは、いけない。
「『もし』、でしょ」
ララナはきっぱりと断言した。ディレスが目をまんまるにして、ぴたりと黙る。
不安は伝染する。ララナも一緒に不安になったら、ディレスももっと怖くなる。どうなるのだろうという気持ちは、未来に行って結果を知るまで消えてくれはしない。気になって気になって仕方ない。
ララナもここ数日、ずっとそんな気持ちを抱えていた。今年の祭りはどうなるのかなって。落ち着かなくて、ちょっとイライラして、どきどきして、また胸がざわめく。
でも全部、「もし」の話だ。
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「『もし』、で怯えてたら何もできないよ。ピリトのことと同じだよ。羽根がどうにかなっちゃったらそのとき考えるしかないよ。それよりもまず今は、優先するべきはピリトでしょう」
「でも」
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「大丈夫。私が連れていってあげる——私だって、ディレスの友達でしょ」
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