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27、ドッチボールは避ける専と投げる専がいる。

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「体育っ!!体育だね!!」

「俺は見学する。」

「せんせー!恭ちゃんが仮病使って休もうとしてまーす」

「何!東雲!どうしたんだ!いじめられてるのかっ?!いじめられてるんだな?!何があったんだ!先生に言ってみなさい!」

「あ、はい。クラスメイトにいじめられてます。」

「本当か!誰だ!誰にいじめられてるんだ!」

「全員ですかね。」

「なにぃ!!先生がなんとかするから東雲は着替えてすぐに校庭に来い!」

「いや、あの、体育やりたくないんですけど」

ボソボソと呟いた俺の声は聞こえてないらしい。
体育科の熱血教師はうぉぉぉぉとか変な雄叫びを上げながら走って行った。


横ではサクヤとトモがニヤニヤしてるので顔面を鷲掴みにしてやった。



「さぁ恭ちゃん!着替えていーよ!!」

「カメラ持ちながら言うな。あとお前に関してはマジで鼻血をしまえ。出血多量で死ぬぞ」

「今日のために僕、一眼レフ持ってきたんだから!」

「学校に持ってくるもんじゃねーだろ。俺、トイレで着替えてくるわ…。」

「あ、マジ?まぁ、背景トイレでもいっか!」

「いやついて来る気かよ」

「「当たり前じゃん」」

もう本当になんなの?裸とられて喜ぶ奴が居ると思うか、こんにゃろう。

まぁ、他の奴らが先に行ってていないだけマシか。

「………じゃあ撮った写真を絶対ばら撒くな。」

「ぇぇ…」

「サクヤの場合は売るな。売ったらマジで1週間口聞かないからな」

「やだぁ!売らない!頑張る!」

頑張んなくても売るな。

「トモも売ったら同じことするからな。あと兄さんに言ってボコボコにしてもらうから。」

「ひっ!それは嫌です!」

「売らない見せないばら撒かない。分かった?」

「「はーい」」

もういいや。これで妥協しよう。

1つため息を吐いて着替え始める。超特急で。

特に上はワイシャツのボタンを外してすぐに上から体育着を被って後からワイシャツを抜く。

「ちょっと待って!酷くない?!その着替え方はズルイ!!」

「ずるいもクソもあるか!撮らせてやっただけ感謝しろ!!」

「………うーん…恭、背中にキスマーク4つ付いてるよ!」

「は?!」

ちょっと待て。そんなん聞いてないんだけど!は?!

鏡で確認しようにも自分じゃ見れない。

サクヤは俺の背中を写真に写すとそれを俺に見せてきた。

「……………あいつらぁ…!!」

「独占欲ってやつですかねぇ……それとも我慢できずにつけちゃったとかですかねぇ…うふっ」

「ネタ提供ありがとうございまーす」

ツヤツヤと満足げに笑う2人の横で俺は更衣室のロッカーに頭をゴンっとぶつけた。


すぐにチャイムが鳴って、走って校庭に向かうけど、乳首につけてるスポールバンが透けないか心配でならない。

しかも昨日摘まれたせいか、前よりもジンジンしてるし。

さっき着替える時に腕が乳首に当たってピクッと反応してしまったのも、関係がないとは言えない。


あぁ、クソが。そう思いながらドッチボールの球を投げる。

「待って東雲!それ投げたら俺っ死っぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

「落ち着け恭!!お前なら理性を取り戻せる!!待っいだぁぁぁぁぁっ!!」

相手チームの男子生徒はそのボールが速くて怖すぎてチビりそうになっていたことを俺は知らない。


ただ、体育の授業ではないような悲鳴と、ドッチボールの勝敗が分かれた後の地獄絵図は誰がどっからどう見ても恭のせいだった。

熱血教師は「東雲は元気だな!いいことだ!球も速いし…陸上部に来てみないか?!」とか呑気なことを言っていて、他の生徒から非難の目を向けられていた。




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