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28、たまに出来もしない英語を披露する奴が居る
しおりを挟む俺は今、とてつもなく嫌悪感をあらわにした顔をしていると思う。
なぜなら、先ほど兄さんに頼まれたらしい男が俺に弁当を届けてきだからだ。
今日ものすごく早く起きて学校に来たのでもちろん弁当は作ってない。
今日は購買でなんか買って食べようと思ってた矢先、手作り弁当が運ばれてきたのである。
ちなみに兄さんたちは俺が入学して1ヶ月したくらいに1年フロア出禁になっている。
来るたびに騒ぎがすごくて窓が5枚ほど割れたのである。
それでもたまに来るけど。
恐る恐る開けると2段目のおかずは別に普通だった。(少なくとも見た目は。)
あれ?なんだ。ふつーじゃん。良かった。
そう思って数秒後、1段目を開けて目にも留まらぬ速さで閉めた。
なんか、赤い。
「恭~おにーさんたちの手作り♡弁当どう?」
「いや俺は何も見てないし何ももらってない」
「隠さないで見せてみ~ほらほら~」
何を察したのかワラワラ寄って来るサクヤとトモに続いてクラスメイトも寄って来る。
何こいつら本当に嫌なんだけど。
「オープンッザッランチボックス!!」
「は?おいっ勝手に開けるなっ」
調子に乗ったトモの掛け声とともに開けられたお弁当。
周囲にはどよめきが広がった。
「待って。恭ちゃん。これってそういう事?!」
「おめでとう!!」
「やっとかよー」
「そこんとこ詳しく!!」
「違う。何を思ってるか知らねーけど多分お前らの思ってるのとはぜっっっったいに違う。だから大人しく席に帰れ。」
兄さんたちは何を血迷ったのか1段目のお弁当箱にはお赤飯がいっぱいに詰められていた。
ご丁寧にもち米で炊かれている。
「もうっ!恭ったら!水臭いなぁ!!言ってくれれば良かったのにぃ!」
「うるせぇニヤニヤすんな。違うっつってんだろ。おい、マジでその顔やめろ。なんか全て察したって言うしたり顔何なんだよ。お前らはなんも察してねぇよ。だからマジでやめてくださいお願いします」
もうダメだ。HPが0だわ。俺死ぬわ。
こーゆーの精神的ないじめだからな?
PTAに言いつけるぞ。
「大丈夫!全然問題ナッシング!!逆に僕はこの日をずっと待ちわびてたんだよ!」
「問題ありありだわ。この日ってなんだよ。メンタルやられてるからね、俺。そろそろ窓から飛び降りるよ。」
「まぁまぁ、みんなそのくらいにしとこーぜっ!ほら、恭はランチタイムだから!」
みんなを宥める学級委員に感動しそうになったけど言ってる内容はとてつもなく不快だわ。
ニヤニヤすんじゃねぇ。
クラスメイトが俺ら3人を残して散っていった後、俺は生温かい視線に耐えながら弁当を食べることになる。
俺が作るよりも美味しいのがとてつもなく癪だった。
「今日さ、僕ん家に泊まるでしょ?だからさー、今日のためにゲーム買ったんだぁ!」
「へー…」
「なにその反応!恭にやらせないよっ?」
「お前らのせいで生命力ゼロに等しいんだよ…ほっとけ。」
「ちぇ!トモはやるでしょ!」
「もちのろん!!俺っちも色々持ってきたからね!オールでたのしもー!」
「勘弁してくれ…………」
渾身の呟きもきゃっきゃしてる2人の前では全く聞こえないらしい。
俺は今日の朝から数十回目かになるため息を吐いた。
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